14 民事法律扶助(裁判)等

(当事務所の取扱業務)

① 法律扶助を受けるための手続

(目次)

(1) 法律扶助制度

① 法律扶助制度の意義

② 法律扶助業務の取扱い

③ 法律扶助業務の内容

(2) 裁判事件における当事務所の具体的業務方法

(3) 法テラス業務の追加(平成30年1月24日実施)
追加業務:DV等被害者法律相談援助事業

(1) 法律扶助制度

ア 法律扶助制度の意義
法律扶助制度とは、民事事件において、「法律専門家たる弁護士・司法書士の報酬」や「裁判費用」を捻出することが困難な人達のために、公的資金で援助を行う制度のことです。

イ 法律扶助業務の取扱い

・民亊扶助制度は、平成18年10月1日までは、日本弁護士連合会が中心になって設立した法律扶助協会が実施していました。

・平成18年10月2日からは、日本司法支援センター(通称:法テラス)が、その業務を引き継いでいます。

* 日本司法支援センター(通称:「法テラス」)

(ア) 日本司法支援センター(法テラス)とは
刑事・民事を問わず、国民の誰もが、法的なトラブルの解決に必要な「情報やサービス」の提供を受けられるようにしようとの構想の下、「総合法律支援法という法律」に基づき、平成18年4月1日に設立された法務省所管の公的法人のことです。

・つまり、法的トラブルを解決するための「総合案内所」のことです。

(イ) 法テラスの役目
法的トラブルが惹起された場合、「誰に相談したらよいのか、どのように解決したらよいのか」分からないのが一般的です。

・そこで、法的問題解決の「道案内」をするのが、法テラスの役目です。

(ウ) 法テラスの業務内容

① 情報提供業務
問い合わせの内容に応じ、解決に役立つ法制度や「地方公共団体」、「弁護士会」、「司法書士会」、「消費者団体」などの関係機関の「相談窓口」を「法テラス・サポートダイヤル」や「全国の法テラス地方事務所」で、無料で案内しています。

* 「法テラス秋田地方事務所」は、下記のとおりです。
〒010-0001
秋田市中通5-1-51北都ビルディング6F
TEL 050—3383-5550

② 民事法律扶助業務
経済的に余裕のない方が、法的トラブルにあったときは、「無料法律相談費用」や「弁護士・司法書士費用の立替」を行っています。

③ 犯罪被害者支援業務
犯罪の被害に遭われた方などへの支援業務です。

ウ 法律扶助業務の内容

(ア) 利用対象者
民事裁判等手続の準備や追行(民事裁判等手続に先立つ和解の交渉で、特に必要と認められるものを含む。)のため、「弁護士」「認定司法書士」に依頼する報酬及び裁判費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を来たす「日本国民」若しくは「日本に住所を有し適法に在留する者」であること。

* あ 民事裁判等手続の意味
裁判所における「民事事件、家事事件、行政事件」に関する手続のことです。

い 認定司法書士の意味
「簡裁訴訟代理等関係業務」
を行うのに必要な能力を有することを判定するための試験に合格し、そのことを法務大臣が認定した司法書士のことです。

・認定司法書士は、簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件(訴訟の目的物の価額が140万円を超えない民事事件)については、代理人となって業務を執行することができます。

・簡裁訴訟代理等関係業務とは、簡易裁判所における下記業務です。

 民事訴訟手続

 訴え提起前の和解(即決和解)手続

 支払督促手続(支払命令手続)

 民事保全手続

 民事調停手続

 少額訴訟手続(訴額60万円以内の事件については、1の審理で決着が付きます。)

 少額訴訟債権執行手続

 裁判外の和解手続

 仲裁手続き

 筆界特定手続(争いのある隣接地の合計評価額が5600万円以内)

う 司法書士の裁判業務の変遷

・司法書士は、元来、「裁判所若しくは検察庁に提出する書類の作成権限」があったので、「訴訟書類・告訴状等」を作成することが出来ました。

・さらに、平成14年司法書士法改正により、簡裁訴訟代理等関係業務をなす権限を付与され、簡易裁判所の民事事件(訴額140万円以内の民事事件)につき、代理人(裁判外・裁判上の代理人)として業務をなすことができるようになりました。

(イ) 法律扶助を受ける要件

あ 「代理援助」・「書類作成援助」を受ける要件

 申込者の資力(収入・資産)が、一定以下であること

 勝訴の見込みがないとはいえないこと

 民事法律扶助の趣旨に適すること

い 「法律相談援助」を受ける要件

 申込者の資力(収入・資産)が一定以下であること

 民事法律扶助の趣旨に適すること

う 収入等の基準額・資産の基準額

(あ) 収入等の基準額
「代理援助、書類作成援助、法律相談援助」を受けられる申込者の手取り収入等(賞与を含めた平均月収)の基準額は、下記のとおりです。

① 単身者  金182,000円以下

② 2人家族 金251,000円以下

③ 3人家族 金272,000円以下

④ 4人家族 金299,000円以下

⑤ 家族の人数が4人を超える場合
1名増加するごとに、上記①~④の金額に金30,000円を加算した金額以下となります。

* (ⅰ) 家賃・住宅ローンがある場合
申込者又は配偶者が「家賃・住宅ローン」を支払っている場合、上記の基準額に現在支払っている「家賃・住宅ローン」の額を加えたものが基準額となります。

・なお、申込者又はその配偶者の収入が上記基準額を上回る場合でも、「医療費、教育費、職業上やむを得ない出費等の負担」を考慮して、援助の可否の決定がなされます。

・詳細については、法テラス・民事法律扶助のホームページ」をご覧いただくか「法テラスコールセンター(TEL0570-078374)」へ相談してください。

(ⅱ) 収入等の算定方法
申込者と同居している家族で、申込者の生計に貢献していることが明らかな場合は、貢献している範囲内で申込者の収入に加算されます。

(い) 資産の基準額
「代理援助、書類作成援助、法律相談援助」
における「申込者又はその配偶者」が保有する不動産その他の資産(預貯金や有価証券等も含まれる)の基準額は、下記のとおりです。

① 単身者  金180万円以下

② 2人家族 金250万円以下

③ 3人家族 金270万円以下

④ 4人家族 金300万円以下

(ウ) 法律扶助を受けた金員の返済

あ 法律扶助制度は、立替制度なので、援助を受けた後、月金5000円~金1万円(無利子)を返済しなければなりません。

い 生活保護受給者
法テラスで立替えた「弁護士・司法書士の費用」について、援助係属中に生活保護を受給している場合は、原則として、援助終結まで立替費用の償還を猶予するとともに、援助終結時に生活保護を受給している場合には、立替費用の償還を免除することができます。

(エ) 法律扶助の利用方法

・利用者の住所地や勤務地の法テラスの地方事務所を通じて行います。

・法テラスと契約している弁護士や司法書士を通じて利用することもできます。

(オ) 業務の内容

① 代理援助
民事裁判等手続の準備や追行のため、代理人(弁護士や認定司法書士)に支払うべき報酬及びその代理人が行う事務の処理に必要な実費の立替えを行うことです。

② 書類作成援助
依頼を受けて、裁判所に提出する書類を作成することができる者(弁護士、司法書士)に対し、民事裁判等手続に必要な書類の作成を依頼して支払うべき報酬及びその作成に必要な実費の立替えをすること。

(利用例)

(ⅰ) 司法書士が作成する「民事事件、家事事件、又は行政事件」に関する訴状、準備書面等の作成

(ⅱ) 司法書士が作成する「自己破産申立」や「個人民事再生申立」の書類作成

③ 法律相談援助
法律相談を取り扱うことを業とすることができる者による法律相談(刑事に関するものを除く)を実施すること。

* 法律相談を取り扱うことを業とする者
「弁護士」及び「司法書士は訴額140万円以内の案件」

 ①~③の業務に附帯する業務(①に附帯する民事保全手続における立担保を含む。)を行うこと


(2) 裁判事件における当事務所の具体的業務方法

ア 催告書・内容証明書・和解書・示談書等の書類作成・提出

イ 簡易裁判所における事件(訴訟物の価額が金140万円を超えない民事訴訟事件)の訴訟代理人

* 代理人として、「① 内容証明書の作成・提出」や「② 本人に代わって、法廷に出頭」します。

 地方裁判所・家庭裁判所等における事件の裁判書類作成
裁判所へ提出する書類(訴状・答弁書・準備書面等)を作成することにより、本人支援型訴訟(本人が法廷に出頭する裁判)業務を遂行します。

(書類作成業務の主な例)

 弁護士に依頼せず、本人が自ら訴訟を追行する意思がある場合

 弁護士に依頼しようとしたが、「証拠が不十分であったり」、「訴訟の相手方と依頼した弁護士の間に利害関係があるため、受任して貰えなかったが、どうしても納得がいかず、裁判で戦ってみたいとき」。

* 当事務所は、このような事件を度々受託しています。

 破産申立、個人民事再生申立における書類の作成

 家庭裁判所へ提出する書類の作成

・成年後見の申立

・相続放棄の申立

・限定承認の申立

・遺言執行者の選任申立

・遺産分割に関する処分の申立

・離婚の申立

・離縁の申立

 訴額140万円を超過する簡易裁判所管轄事件の民事調停申立

 行政訴訟事件の訴状・準備書面等


(3) 法テラス業務の追加(平成30年1月24日から実施)

ア DV等被害者法律相談援助事業の実施
法テラスは、従来の「支援業務」に追加して、「総合法律支援法の一部を改正する法律」が平成30年1月24日から施行されたことにより、「DV」・「ストーカー」・「児童虐待」の被害を現に受けている疑いがあると認められる方を対象に、資力の有無を問わず、再被害の防止に関して必要な法律相談を実施することとしました。

イ 法テラスの支援業務

(ア) 従来からの「支援業務」

① 相談窓口の設置

② 法制度に関する情報の提供

③ 犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士(精通弁護士)紹介

④ 民事法律扶助業務

(ⅰ) 無料法律相談

(ⅱ) 離婚・DV防止法の保護命令等手続代理

(イ)「総合法律支援法の一部」改正により追加された支援業務
「DV」、「ストーカー」、「児童虐待」による被害の防止に関して必要な法律相談援助

(事業内容)

① 刑事・民事を問わず相談できます。

② 一定の資力のある方には、相談料が掛かります。

③ 相談は、弁護士との面談相談です。

* 弁護士費用が心配な方
従来のとおり、民事法律扶助による代理援助等や日弁連委託援助(犯罪被害者法律援助・子どもに対する法律援助)を利用できる場合があります。

* ただし、利用するには、いずれも条件があります。

(ウ) DV等被害者法律相談援助制度の内容

① 利用できる方
「DV」、「ストーカー」、「児童虐待」を現に受けている方

② 相談できる内容
再被害の防止に関して必要な「刑事」、「民事」の相談

* 法律相談は、弁護士との面談相談です。

③ 費用
下記の「資産基準」を超える方には、後日、相談料(一件金5,400円)が掛かります。

* 資産基準
法律相談実施時に有する処分可能な「現金・預貯金」の合計額が金300万円以下であること。

* ただし、「DV」、「ストーカー」、「児童虐待」の被害により、法律相談実施日から一年以内に支出する治療費等の費用は、「現金・預貯金」の合計から控除されます。