15 家事事件(家庭内の紛争等に関する事件)

(当事務所の取扱業務)

① 家庭判所等へ提出する裁判書類の作成

② 家庭裁判所へ提出する書類の作成事務の相談

③ 和解書等各種文案書類の作成代理
各種文案書類作成の相談

(目次)

(1) 家事事件の意義

(2) 家事事件案内

(3) 審判手続一般

(4) 調停手続一般

(1) 家事事件の意義
家事事件は、家庭内の紛争やその他の法律で定める家庭に関する事件については、家庭裁判所が、それにふさわしい非公開の手続で、どのようにすれば家庭や親族の間で起きたいろいろな問題が解決されるのかということを第一に考え、職権主義の下に、具体的妥当性を図りながら処理する仕組みになっています。

* この家庭に関する事件は、一般に家事事件と呼ばれ、「審判事件及び調停事件」の2つに分かれています。また、家庭裁判所では、履行勧告手続など、これらに付随する手続も取り扱います。

(2) 家事事件案内
家庭に関する事件は、一般に家事事件と呼ばれ、下記の2つに分かれます。
① 審判事件
② 調停事件

ア 審判事件
主な審判事件は、下記のとおりです。
① 成年後見制度に関する審判
② 行方不明者に関する審判
③ 親子に関する審判
④ 相続に関する審判
⑤ 保護者選任に関する審判
⑥ 戸籍上の指名や性別の変更などに関する審判
⑦ 年金分割の割合を定める審判

イ 調停事件
主な調停事件は、下記のとおりです。
① 夫婦関係や男女関係に関する調停
② 親族関係に関する調停
③ 子どもに関する調停
④ 相続に関する調停

(3) 審判手続一般

ア 審判事件とは
審判事件は、大きく下記の2つに分かれています。

① 家事件手続法別表第1に掲げる事項に関する事件

② 家事件手続法別表第2に掲げる事項に関する事件

(ア) 別表第1事件

あ 別表第1事件の例
①子の氏の変更許可 ②相続放棄 ③名の変更の許可 ④後見人の選任 ⑤養子縁組の許可等

い 別表第1事件の性質
公益に関することから、家庭裁判所が国家の後見的な立場から関与するものです。
・これらの事件は、一般に当事者が対立して争う性質の事件で はないので、当事者間の合意による解決は考えられず、専ら審判のみで扱われます。

(イ) 別表第2事件

あ 別表第2事件の例
①親権者の変更 ②養育費の請求 ③婚姻費用の分担 ④遺産分割など

い 別表第2事件の性質
これらの事件は、当事者間に争いのある事件なので

A 一次的には、
当事者間の話合いによる自主的な解決が期待されます。

B 二次的には、
審判によるほか、調停でも扱われます。

う これらの事件の通常の取扱い
最初に、調停として申し立てられ、話合いがつかず調停が成立しなかった場合
審判手続に移行し、審判によって結論が示されることになります。

* ただし、当事者が審判を申し立てても、裁判官が、まずは話合いによって解決を図るほうが良いと判断した場合には、調停による解決を試みることができるようになっています。

イ 審判の手続

(ア) 審判手続の意味
審判事件は、裁判官が、当事者から提出された書類や家庭裁判所調査官が行った調査の結果等種々の資料に基づいて判断し、その決定をします。

(イ) 決定(審判という。)に対し不服がある場合
審判に対し不服があるときは、2週間以内に不服申立をすることにより、高等裁判所に再審理をしてもらうことができます。

* A 不服の申立ができる事件
不服申立ができる事件は、法律によって定められています。よって、全部の事件につき不服申立をすることはできません。

B 審判が確定する場合

① 審判の通知が届いてから2週間が過ぎた場合

② 高等裁判所で不服申立が認められなかった場合

ウ 審判の効力
審判が確定した場合には、その内容に応じて

① 戸籍の訂正等を目的とする場合
戸籍の届出を行うことができる。

② 金銭の支払を目的とするような場合
その支払を受けることができる。

* 支払義務がある人がこれに応じない場合
地方裁判所で強制執行の手続を取ることができます。

(4) 調停手続一般

ア 調停事件とは
調停は、裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、話合いによりお互いが合意することにより紛争の解決を図る手続です。
・家事調停事件は、家事事件手続法別表第2に掲げる事項に関する調停(別表第2調停)のことで、下記の2つに分かれています。
① 特殊調停
② 一般調停

(ア) 別表第2調停

あ 別表第2調停の例
①親権者の変更 ②養育費の請求 ③婚姻費用の分担 ④遺産分割など

い 別表第2調停の性質
これらの事件は、第一次的には当事者間の話合いによる自主的な解決が期待され、主に調停によって取り扱われます。

* ただし、最初から審判として扱うこともできます。

う  調停と審判の関係

(あ) 事件が、最初に調停として申し立てられ、話合いがつかず調停が不成立となった場合
審判手続に移行し、審判によって結論が示されます。

(い) 事件が、最初から審判として申し立てられた場合
裁判官が、まず話合いによって解決を図るほうが良いと判断した場合は、審判ではなく調停による解決を試みることもあります。

(イ) 特殊調停

あ 特殊調停の例
①協議離婚の無効確認 ②親子関係の不存在確認 ③嫡出否認 ④認知などです。

い 特殊調停の性質
本来は、人事訴訟で扱われる事件とされています。

* ただし、家事調停の手続において、当事者間に審判を受 けることについて合意が成立しており、申立に係る原因事実について当事者間に争いがない場合は
家庭裁判所が、必要な事実を調査した上で、その合意を正当と認めるときは、合意に相当する審判が行われます。

(ウ) 一般調停

あ 一般調停の例
家庭に関する紛争事件のうち、別表第2調停及び特殊調停を除いた事件をいいます。

い 主な事件例
離婚や夫婦関係の円満協議など

イ 調停の手続

(ア) 調停委員会の構成等
調停事件では、裁判官1人と民間の良識ある人から選ばれた調停委員2人以上で構成される調停委員会が、当事者双方の事情や意見を聴くなどして、双方が納得して問題を解決できるように助言やあっせんをします。

(イ) 当事者間で合意が成立した場合
合意事項を書面にして調停は終了します。

(ウ) 特殊調停で、当事者間に原因の有無について争いがない場合で、必要な事実を調査するなどの一定の手続を経た上、家庭裁判所が正当と認めたとき
当事者間で合意した内容につき、調停の成立に代えて、合意に相当する審判が行われます。

ウ 調停の効力等

(ア) 調停事件が終了した場合の効力等については、事件の種類によって次のように取扱いが異なります。

① 別表第2調停の場合

 合意が成立し、その合意が調停調書に記載された場合
その記載は、確定した審判と同一の効力があります。

 調停が不成立の場合
自動的に審判手続が開始されます。

② 特殊調停の場合

 合意に相当する審判が確定した場合
確定判決と同一の効力が認められます。

 調停が不成立の場合
最終的な解決のためには、改めて家庭裁判所に人事訴訟を提起することが必要となります。

③ 一般調停の場合

 合意が成立し、その合意が調停調書に記載された場合
その記載は確定判決と同一の効力があります。

 訴訟の対象にもなる事件について調停が不成立となった場合
最終的な解決のためには、改めて家庭裁判所に人事訴訟を提起することが必要となります。

* 離婚及び離縁に関する事件の場合
人事訴訟の手続によることになります。

(イ) 調停不成立の場合
原則として、調停事件は終了します。

 調停が成立しない場合であっても、裁判所が様々な事情を考 慮して、審判の形で一定の結論が示すことが相当だと判断した場合
調停に代わる審判の形で結論が示されることがあります。

* (あ) この審判に対して2週間以内に異議が申し立てられることなく確定した場合
この審判は確定判決と同一の効力をもちます。

(い) この審判に対して異議が申し立てられた場合
その審判は効力を失います。