1 訴訟・調停・訴え提起前の和解・裁判外和解(裁判)

(当事務所の取扱業務)

① 簡易裁判所(民事訴訟・民事調停)の代理、法律相談

② 地方裁判所・家庭裁判所等へ提出する裁判書類の作成
裁判書類作成事務の相談

③ 和解書等各種文案書類の作成代理
各種文案書類作成の相談

(目次)

(1) 代理人型訴訟・本人支援型訴訟

(2) 簡易裁判所における民事訴訟事件

(3) 少額訴訟

(4) 地方裁判所・家庭裁判所における本人支援型訴訟

(5) 訴え提起前の和解

(6) 裁判外和解

(7) 「簡裁訴訟代理関係業務」以外の当事務所が取り扱っている事件例

(8) 「事件」や「事故」によって発生する損害賠償請求権のルール改正(令和2年4月1日施行)

(1) 代理人型訴訟と本人支援型訴訟

ア 代理人型訴訟
簡裁訴訟代理認定司法書士は、訴訟物の価額が金140万円以下の民事訴訟事件については代理権がありますので、弁護士と同様に代理人として法廷に立っております。

イ 本人支援型訴訟
地方裁判所の民事事件・家庭裁判所の家事事件については、簡裁訴訟代理認定司法書士には代理権がありませんが、司法書士(簡裁訴訟代理認定司法書士であろうとなかろうと)は、訴訟書類(訴状・答弁書・準備書面等)の作成権限を有しています。

・そこで、口頭弁論期日に自ら法廷に立って争う意思のある人(会社の場合は、代表取締役あるいは支配人)であれば、その依頼に応じて「訴状・答弁書・準備書面等」の作成業務を取り扱っております。

・なお、訴訟の詳細については以下「(2)~(7)」のとおりです。


(2) 簡易裁判所における民事訴訟事件(訴訟物の価額金140万円以下・代理人型訴訟)
法務大臣の認定を受けた司法書士は、簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件(訴訟の目的物の価額が、金140万円を超えない請求事件)について、代理人として訴訟業務を取り扱うことができます(「簡裁訴訟代理等関係業務」といいます)。

司法書士が、簡易裁判所において、訴訟代理人として取り扱うことができる民事事件の例

あ 民事訴訟手続

① 貸金請求

② 売掛金請求

③ 請負代金請求

④ 過払金返還請求・債務整理

⑤ 境界紛争

⑥ 労働債権請求(未払い賃金・残業代・退職金等)

⑦ 借地借家問題(賃料請求、土地建物明渡請求)

⑧ マンション管理費等請求

⑨ 交通事故の損害賠償請求

⑩ その他の損害賠償請求(例:隣家からの雪害、騒音等)

⑪ その他、訴訟の目的物の価額が金140万円を超えない民事訴訟事件

い 支払督促(支払命令)

う 民事調停

え 訴え提起前の和解(即決和解)

お 裁判外和解

か 民事保全手続(仮差押・仮処分)

き 証拠保全手続

く 少額訴訟事件の強制執行手続(債権執行手続)

け 筆界特定手続

* 土地の所有者として登記されている人などの申請に基づいて、筆界特定登記官が、外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて、現地における土地の筆界の位置を特定する制度です。


(3) 少額訴訟

ア 意義・要件・通常の手続への移行

(ア) 意義
少額訴訟とは、特別の事情がある場合を除き、原則として1回の口頭弁論期日で審理を終結し、即日判決を言い渡すという特別な訴訟手続をいいます。
(制度創設の目的)
一般市民が、紛争額(少額)に見合った時間・費用・労力で紛争を解決することができるように、簡易裁判所の訴訟手続の特則として、少額訴訟手続が設けられています。

(イ) 要件

あ 訴額等の制限、利用回数

① 訴額が、金60万円以下の金銭の支払請求に限られます。

② 同一の簡易裁判所において、年に10回までの利用に限定されます。

い 申述・届出

① 訴え提起の際に、少額訴訟による審理、裁判を求める旨の申述をしなければなりません。

② 申述の際に、その年に少額訴訟を利用した回数を届けなければなりません。

(ウ) 通常訴訟手続への移行

あ 意義
少額訴訟の対象となる請求は、「① 少額訴訟手続」と「② 簡易裁判所における通常訴訟手続」のいずれも利用が可能であり、その選択権は原告が有します。

・しかし、少額訴訟手続には通常の訴訟手続とは異なった制約があるので、被告の利益を保護する必要があります。

い 被告の移行申述権(被告の利益保護のための権利)
被告は、口頭弁論期日において、訴訟を通常の手続に移行させる「移行申述権」を行使することができ、訴訟は,移行の申述があった時点で通常の訴訟手続に移行します。

・ただし、被告が、最初の口頭弁論期日において弁論し、又はその期日が終了した後は移行申述権を失います。

う 裁判所の移行決定

(あ) 事由
裁判所は、被告からの移行申述がなくても、以下の事由があるときは、職権で訴訟を通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければなりません。

① 金60万円以下の金銭支払請求を、年10回以内の利用回数の規定に違反して、少額訴訟による審理及び裁判を求めたとき。

② 少額訴訟の利用回数の届出をすべき旨を命じた場合において、相当期間にその届出がないとき。

③ 公示送達によらなければ、被告に対する「最初にすべき口頭弁論期日の呼出し」をすることができないとき。

④ 少額訴訟により審理及び裁判をするのが相当でないと認められたとき。

(い) 原告の不服申立の可否
裁判所の「上記あ」による移行決定に対しては、不服を申し立てることができません。

イ 手続

(ア) 審理

あ 一期日審理の原則
少額訴訟においては、特別の事情がある場合を除き、最初にすべき口頭弁論の期日において審理を完了しなければなりません。

い 一期日審理の原則を実現するための特則

 当事者は、最初に開かれる口頭弁論期日前又は口頭弁論期日において、全ての攻撃防御方法を提出しなければなりません。

 証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限定されています。

 証拠調べの方式は、「① 証人の宣誓の省略」、「② 証人尋問、当事者尋問の尋問順序の柔軟化」、「③ 同時通話方式による尋問の柔軟化」がなされています。

 反訴の提起は、禁止されています。

(イ) 判決

あ 判決の時期
判決は、口頭弁論終結後直ちに行います。

い 判決による支払の猶予等
裁判所は、請求を認容した場合は被告の資力等を考慮し、特に必要があると認めたときは、判決言い渡しから3年を超えない範囲内で期限の猶予又は分割払いを命じる判決をすることができます。

う 必要的仮執行宣言
早期に事件を解決するため、裁判所は、請求認容判決には職権で必ず仮執行宣言を付すので、執行する際には執行文の付与は必要ありません。

(ウ) 不服申立(控訴の否定)
少額訴訟手続の終局判決に対しては、控訴することができません。不服申立としては、判決をした簡易裁判所に対する異議の申立のみが認められています。


(4) 地方裁判所・家庭裁判所など、簡易裁判所以外の裁判所における事件の支援(本人支援型訴訟)
当事務所は、本人が法廷に立てる場合は、訴訟書類(訴状、答弁書、準備書面等)の作成業務を行い、本人を支援いたします。

・簡易裁判所以外の地方裁判所、家庭裁判所の訴訟について、司法書士は、「本人支援型訴訟業務(本人の意に添った内容の訴訟書類を作成するなどして本人を支援する方法)」を行い、弁護士は、「代理人型訴訟業務(事案の解決方法を弁護士に委せる方法)」を行っているといえます。

・なお、この本人支援型訴訟は、「確たる証拠がないため、弁護士から訴訟の受託を断られたが、何としても訴訟を提起して白黒をつけたいという人」のためにも機能しているのが現状です

・また、地方裁判所が管轄する「自己破産申立・個人民事再生」事件について、当事務所は申立書作成業務を行っています。


(5) 訴え提起前の和解(即決和解)
訴え提起前の和解とは、民事上の争いについて裁判を提起する前に、簡易裁判所の関与の下に和解を成立させる制度です。和解が成立すると和解調書が作成され、その記載内容は裁判をした場合の確定判決と同一の効力を有しますので、相手方が和解内容に従った履行をしない場合は、その和解調書をもって強制執行をすることができます。

・公正証書にも同じような効果がありますが、公正証書は金銭に対する強制執行のみが可能であるのに対し、訴え提起前の和解は、不動産の明渡し等の強制執行も可能であることから、多様な場面で利用することができます。


(6) 裁判外和解
裁判外和解とは、裁判を提起する前又は裁判継続中に、裁判外で和解の交渉をし、両当事者が互いに譲歩することで紛争の解決を図ることをいいます。


(7) 簡裁訴訟代理等関係業務以外の当事務所が取り扱っている事件例(訴訟書類作成業務にて対応している事件)

ア 民事訴訟及びその関連事件の例(地方裁判所・高等裁判所管轄事件)

① 貸金請求

② 売掛金請求

③ 請負代金請求

④ その他債権回収

⑤ 境界紛争

⑥ 損害賠償請求(例:隣家からの雪害・騒音等)

⑦ 借地借家問題(賃料請求、土地建物明渡請求)

⑧ マンション管理費等請求

⑨ 「未払い賃金・残業代・退職金」等労働債権の請求

⑩ 民事保全の申立(仮差押、仮処分)

⑪ 強制執行(不動産競売、動産執行、給料・賃料・売掛金・銀行預金通帳等の債権差押)

⑫ その他債務整理関連事件(地方裁判所管轄事件)

(ⅰ) 過払金返還請求

(ⅱ) 債務整理

イ 訴訟の目的物の価額が金140万円を超える民事調停事件

ウ 自己破産(法人・個人)・個人民事再生申立

エ 家庭裁判所関係の事件

① 家事調停:夫婦・男女関係、親族関係、子供の問題、相続等

② 家事審判:成年後見、失踪宣告(行方不明者)、親子問題、相続放棄、保護者選任、戸籍上の氏名・性別の変更、年金分割の割合確定、自筆証書遺言書の検認等

③ 訴訟:離婚、離縁、子供の認知、親子関係不存在、相続、遺留分減殺請求等

オ 仲裁手続
民事紛争の解決を仲裁判断によって行うもので、当事者の仲裁合意に基づき仲裁人(仲裁手続を審理し、仲裁判断をする機関)が判決に代わる判断をする手続です。


(8) 「事件」や「事故」によって発生する損害賠償請求権の民法のルール改正(令和2年4月1日施行)

ア 今回の民法改正では、「事件」・「事故」による被害者の損害賠償請求権について、下記の2点が見直しされました。

① 権利を行使することができる期間の見直し

② 中間利息控除及び遅延損害金に関する見直し

イ 「権利を行使することができる期間の見直し」について
今回の民法改正により、「不法行為に基づく損害賠償請求権(例:交通事故によって傷害を負った場合)」と「債務不履行に基づく損害賠償請求権(例:病院で手術ミスにより後遺症が残った場合)」の双方について、人の生命又は身体が侵害された場合の権利行使期間を長期化する特例が設けられました。

* 事件や事故を起こした者の責任
民法は、事件や事故を起こした者について、「不法行為責任」と「債務不履行責任」の2種類の損害賠償責任を認めています。

(ア) 改正の内容
不法行為と債務不履行のいずれの責任を追及する場合でも、人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効期間は、下記のようになりました。

① 損害及び加害者を知った時(権利を行使することができる時)から5年

② 不法行為の時(権利を行使することができる時)から20年

(イ) 改正後の権利行使期間

① 事件・事故により被害者の物が壊された場合の損害賠償請求権

(ⅰ) 不法行為(改正前と同じ)
損害及び加害者を知った時から3年以内であり、かつ、不法行為の時から20年以内

(ⅱ) 債務不履行(改正された)
権利を行使することができることを知った時から5年以内であり、かつ、権利を行使することができる時から10年以内

② 人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権(例:事件・事故によって被害者がケガをしてしまった場合)

(ⅰ) 不法行為
損害及び加害者を知った時から5年以内であり、かつ、不法行為の時から20年以内

(ⅱ) 債務不履行
権利を行使することができることを知った時から5年以内であり、かつ権利を行使することができる時から20年以内

ウ 「中間利息控除及び遅延損害金に関する見直し」について
今回の改正により、利息が発生する債権について、当事者が利率を定めなかった場合に適用される法定の利率(以下、「法定利率」という。)は、年5%から年3%に引き下げられ、更に市中金利の動向に合わせて3年ごとに法定利率が自動的に変動することになりました。

これに伴い、事件又は事故に遭われた方が請求できる損害賠償金の額にも、下記のとおり2つの点で影響が及ぶことになりました。

① 中間利息控除
損害賠償額の算定に当たっては、将来取得すべき利益を現在価値に換算するため、中間利息を控除する必要があります。

・この中間利息の控除に当たっては、これまで法定利率が用いられており、この点は、改正後の民法においても変更はありません。

* 見直し後の利率
今回の改正で法定利率が見直されたので、中間利息控除についても、見直し後の法定利率が用いられます。

② 遅延損害金
遅延損害金についての合意がない場合は、その額は、見直し後の法定利率によって定められます。

エ 経過措置
生命又は身体を害する不法行為に基づく「損害賠償請求権の消滅時効の期間」については、施行日の時点で改正前の民法による不法行為の消滅時効(「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間」)が完成していない場合には、改正後の民法が適用されます。