(当事務所の取扱業務)
① 簡易裁判所訴訟代理(訴額金140万円以内の民事訴訟・民事調停)
法律相談
② 地方裁判所等は「訴状・答弁書・準備書面等の裁判書類作成」
裁判書類作成事務の相談
③ 和解書・契約書等各種文案書類の作成代理
和解書等各種文案書類作成の相談
④ 非紛争的事案に関する契約締結代理
⑤ 告訴状・告発状の作成
告訴状等の警察への提出手続代理
告訴状等書類作成事務の相談
⑥ 行政処分申立書の作成代理
提出手続代理
申立書作成の相談
(目次)
(1) 「貸金業法・出資法・利息制限法」制定の目的・定義等
(2) ヤミ金業者
(3) 個々のヤミ金融業者の手口・被害対策等
(1) 「貸金業法・出資法・利息制限法」制定の目的・定義等
「貸金業法・出資法・利息制限法」制定の目的・定義等は、次のとおりです。
ア 貸金業法
(ア) 貸金業法制定の目的
多重債務の社会問題化を受けて、貸金業への規制を強化し、「借り過ぎ」に歯止めをかける目的で作られた法律です。
* 貸金業法は、昭和58年作られた法律で、従来の名称は、「貸金業規制法」でした。この法律は、平成18年に改正され、名称が「貸金業法」となり、平成19年から段階的に施行されています。
(イ) 改正の主な内容
① 夜間だけでなく日中も執拗な取立をする行為を規制
② 借り手が自殺した場合に受け取ることを目的とした生命保険加入の禁止
③ 特定公正書(強制執行認諾付公正証書)作成のための白紙委任状を取得することの禁止
④ 過剰貸し付けの抑制(総量規制)
借入残高が、年収の3分の1を超える場合、新規の借入れができません。
・ 借入れの際に、基本的に、「年収を証明する書類」が必要となります。
⑤ グレーゾーン金利の廃止
(ⅰ) みなし弁済制度の廃止(詳細は、「下記イ(イ)い*」に記載)
(ⅱ) 利息制限法所定の制限利率(年15%~年20%)と出資法
所定の上限金利(年29.2%)の間の金利帯での貸付けについては、行政処分の対象となります。
(ⅲ) 日賦貸金業者及び電話担保金融の特例が廃止されました。
⑥ ヤミ金融対策の強化
ヤミ金融に対する罰則の最高刑が、懲役5年から10年なりました。
イ 旧称・「貸金業規制法」の定義
貸金業規制法(現貸金業法)は、「貸金業を営む者に登録制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行い、貸金業を営む者の業務の適正な運営を確保し、もって資金需要者の利益の保護を図るとともに、国民経済の適切な運営に資すること」を目的として、昭和58年に作られた法律です。
(ア)「貸金業規制法」の内容
あ 貸金業者が貸付けをする際の上限金利は、2つありました。
① 利息制限法の上限金利:年15%~年20%
② 出資法の上限金利 :年29.2%
・この金利規制に違反した場合、刑事罰を科されます。
* 「グレーゾーン金利・みなし弁済」の説明
利息制限法と出資法の上限金利の間の金利帯は、グレーゾーン金利と呼ばれ、貸金業者がグレーゾーンの金利帯で貸し付けても、借主が、任意で利息を支払っている等の条件を満たせば有効な弁済とされる「みなし弁済規定」がありました。
い 貸金業法の改正:グレーゾーン金利の廃止(平成22年6月8日施行)
貸金業法の改正により、平成22年6月8日から、グレーゾーン金利が廃止されました。改正の主な内容は下記のとおりです。
① みなし弁済制度の廃止
② 利息制限法所定の制限利率(年15%~年20%)と出資法所定の上限金利(年29.2%)の間の金利帯での貸付けについては、行政処分の対象となります。
③ 日賦貸金業者及び電話担保金融の特例が廃止されました。
(ⅰ) 日賦(にっぷ)貸金業者
通常の貸金業の場合は、月単位で返済していくことになりますが、日賦貸金業者の場合には、日単位で返済期限が設けられていました。
・日賦貸金業者として認められた場合には、上限金利が年54.75%まで許されていました。
(ⅱ) 電話担保金融
電話担保金融では、電話加入権に質権を設定しお金を貸し付けていました。
* 電話加入権とは
電話加入権とは、NTTの電話を開設する「権利」のことで、かっては、これがないと電話を引くことができませんでした。電話加入権自体に売値がついていたので質入れすることが出来ました。
(イ) 出資法
あ 出資法の定義
出資法(出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)とは、貸金業者などの規制を目的として、出資金の受け入れを制限し、浮き貸し・高金利などを取り締まる法律のことです。
・ 昭和29年に制定された法律で、不特定多数から出資金を受け入れることの禁止や金銭の貸借についての上限金利を定めています。
い 貸金業法の改正(平成22年6月8日施行)による「出資法上限金利」の引き下げ
・ 平成18年、貸金業法(旧貸金業規制法)が改正されましたが、それ以前は、多くの貸金業者が、出資法の上限金利たる「年29.2%」と利息制限法の上限金利たる「年15%~年20%」の間 のグレーゾーン金利帯で貸付けを行っていたため、借入金の返済ができなくなり、その返済のため他の金融業者から借入れを繰り返す「いわゆる多重債務者」が続出し、社会問題となりました。
・ その問題に対処するため、貸金業法が改正され、出資法の上限金利は年20%に引き下げられました。
(ウ) 利息制限法
あ 利息制限法の定義
利息制限法とは、一定の利率を超える利息を制限し、高利の貸付けを取り締まる法律です。
* ① 昭和29年に制定されました。
② 金利は、下記のとおりです。
(ⅰ) 貸付元本が、金10万円未満:年20%
(ⅱ) 貸付元本が金10万円以上金100万円未満:年18%
(ⅲ) 貸付元本が金100万円以上:年15%
い 「利息制限法改正」の要点
平成18年法律第115号により、利息制限法の一部が改正され、平成22年6月18日から施行されました。
* 多重債務者対策の一環として、債権者が業として行う金銭消費貸借(営業的金銭消費貸借)に限定して適用される特則が、第2章(5条から9条まで)として新設されました。
* 改正条文の主な内容
① 元本額区分の適用の特則(利息制限法5条関係)
利息制限法1条1項が定める上限金利規制について、営業的金銭消費貸借が同一の当事者間で複数ある場合には、元本額区分は、既存の貸付残高と新たな貸付元本額との合計額に応じて決せられます。
② みなし利息の範囲の特則、賠償額の予定の特則(利息制限法6条、7条関係)
営業的金銭消費貸借に関し、出資法の上限利率が20%に引き下げられたことに伴い、「民事上は適法であるのに、刑事上は処罰の対象となるという事態」が生じないようにするため、みなし利息の範囲及び損害賠償額の予定について特則を定めました。
③ 保証料の制限等(8条、9条関係)
営業的金銭消費貸借において、貸金業者と提携した保証業者に保証料を取得させる方法により上限金利規制を潜脱することを防止するため、保証業者による保証が行われる場合には、利息と保証料を合算して上限金利規制の対象としました。
(2) ヤミ金業者
ア ヤミ金業者とは
(ア) ヤミ金業者の定義
本ホームページでいうヤミ金業者とは、貸金業の登録をしているか否かにかかわらず、「出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下、『出資法』という。)」に定められている上限金利の年率20%(平成22年6月17日までは年29.2%でした。)を超える高金利で貸付けを行う金融業者のことをいいます。
(イ) 主なヤミ金業者の種類は、下記のとおりです。
① 090金融業者・携帯金融業者
② 短期業者(都(1)業者など)
③ システム金融業者
④ 紹介屋・換金屋
⑤ 家具リース業者・自動車リース業者
⑥ チケット金融業者
⑦ 年金担保金融業者
⑧ 整理屋
イ ヤミ金業者に対する「一般的対策」
(ア) 一般的対策
本人(借受人)に対し取立行為があった場合
① 支払を拒否する。
(理由)
ヤミ金業者の貸付行為は、公序良俗違反(民法90条)なので、不法原因給付(民法708条)を理由に、借主は借り受けた金員の支払義務を負わない。
② こちらからは、連絡をしない。
③ 電話等で取立行為があっても相手にしない。
(例)
(ⅰ) 電話を着信拒否にする。
(ⅱ) 電話番号を変える。
(ⅲ) 電話を録音し、脅迫等の刑事罰の証拠とする。
* ヤミ金の取立行為を警察へ情報提供し、 被害拡大を防止する。
・ただし、警察へ通報しても、その事件を解決したことにはなりません。
(イ) 家族・職場等への違法な取立行為があった場合の対策
① 電話等による取立行為があっても相手にしない。
② 電話を録音し、警察へ通報すること。
ウ ヤミ金の行為が違法であることの理由
(ア) 不法原因給付(民法708条、貸金業法42条)
高金利で貸し付けた金銭消費貸借契約は無効となるので(貸金業法42条)、借主が受け取った元本については、不法原因給付(民法708条)を理由に返還しなくてもよい。
(イ) 金利規制違反(出資法5条)
貸金業者は、利息制限法の範囲内の金利で営業しなければなりません。
* ① 利息制限法の利率(利息制限法1条)
(ⅰ) 貸付元本金10万円未満の場合
年20%
(ⅱ) 貸付元本金10万円以上金100万円未満の場合
年18%
(ⅲ) 貸付元本金100万円以上の場合
年15%
② 違反した場合の罰則(出資法5条2項)
5年以下の懲役もしくは金1000万円以下の罰金又はこれを併科されます。
(ウ) 無登録営業(貸金業法11条)
貸金業を営むには、貸金業法3条に基づき、「① 国(内閣総理大臣)(2以上の都道府県の区域内に営業所・事務所を設置する場合)」あるいは「② 都道府県知事(1の都道府県の区域内にのみ営業所・事務所を設置する場合)」へ登録をしなければなりません。
* 違反した場合の罰則
10年以下の懲役若しくは金3000万円以下の罰金又はこれを併科されます(貸金業法47条)。
(エ) 書面交付義務違反(貸金業法17条)・特定公正証書作成のための白紙委任状取得制限違反(貸金業法20条)
① 貸金業者は、金銭の貸付けに当り借主に対して、契約書面を交付しなければなりません。
② 貸金業者は貸付契約について債務者等から、当該債務者等が特定公正証書(債務者等が債務不履行をした場合に、直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載された公正証書のこと)の作成を「公証人に嘱託することを代理人に委任することを証する書面」を取得することは、禁止されています(貸金業法20条1項)。
* 違反した場合の罰則
1年以下の懲役若しくは金300万円以下の罰金又はこれを併科されます(貸金業法48条1項4号の2)
(オ) 取立行為の規制(貸金業21条1項)
貸金業者等は、借り受けた人を威迫するような態度で回収行為をしてはなりません。
* 違反した場合の罰則
2年以下の懲役若しくは金300万円以下の罰金又はこれを併科されます(貸金業法第47条の3第1項3号)。
(カ) 刑法違反(刑法222条、249条)
脅迫、恐喝による取立をした場合は、脅迫罪、恐喝罪が成立します。
(3) 個々のヤミ金融業者の「手口」・「被害対策」等
* 「① 種類・定義」、「② 手口」、「③ 業者登録の有無」、「④ 契約の効力」、「⑤ 被害対策」等
ア 090金融・携帯電話金融
(ア) 業者の定義・手口等
① 090金融・携帯電話金融とは(定義)
短いサイクルで超高金利の貸付けを行っている業者で、携帯電話1本で、融資を行うことからこの名称がつけられています。
② 手口
(ⅰ) サラ金や短期業者からの借入返済に窮している債務者に直接電話して、甘言を使って勧誘し貸し付けるケース。
(ⅱ) 電柱等の張り紙やチラシを見て申し込んできた債務者に少額のお金を貸し付けるケース。
(ⅲ) 貸していない金銭の返済を迫る書類を送りつけ、電話による回答があったことをきっかけに取立てを始めるケース。
③ 業者登録の有無
すべてが無登録業者といえます。
④ 契約の効力
その契約は、貸金業法や出資法に違反していて公序良俗違反(民法90条)となるので、その金銭消費貸借契約は無効となり、不法原因給付(民法708条)に該当するので、借主は借り受けた金員を返還しなくてもよいことになります。
⑤ 被害対策
(ⅰ) ヤミ金からの取立行為に対し
a 支払を拒絶する。
b こちらから連絡しない。
c 連絡が来ても相手にしない。
(ⅱ) 「本人・家族等の親族・職場」への、電話等による脅迫的な言辞による取立行為に対し電話を着信拒否としておく。
* 電話を録音し、相手方の脅迫的言辞の証拠を残して、警察へ通報する。
(ⅲ) 警察へ連絡する。
警察へ情報提供して、被害拡大を防止する。
(ⅳ) 出資法違反、貸金業法違反、刑法犯(恐喝罪、脅迫罪)に該当する内容であるかを確認し、その対抗策をとる。
(イ) 被害回復の困難性
下記の理由から、被害の回復はなかなか難しいのが実情です。
① 業者は、無登録であるため、住所・氏名を把握できず連絡ができない。
② 業者は、被害者の勤務先・家族構成などの情報を得ている。
③ 被害者が知っているのは、相手方たる業者の携帯電話番号のみである。
イ 短期業者
(ア) 短期業者の定義
大部分は、東京都に貸金業登録をしている「都(1)業者」ですが、無登録の業者も増えており、東京都以外の都市でも同じようなやり方をしている業者が増えています。
(イ) 手口
手口の順序は、下記のようなものです。
① サラ金の利用者や延滞者等をターゲットにして、ダイレクトメールや電話等で融資の勧誘が行われます。
② 勧誘方法は、「借りやすさを強調し、金利は出資法の範囲内であると表示」されています。
③ 1回の貸付金は、「金2万円~金5万円程度」と小口です。
④ 借入れに際し、「携帯電話番号、勤務先、家族、家族の勤務先、父母や兄弟姉妹などの情報提供」を求められます。
⑤ 貸付は、銀行口座に振り込む方法によって行われ、契約書等の書面は一切交付されません。
⑥ 返済期日は、7日又は10日のサイクルが多く、サイクルごとに元本の50%から80%の金利を支払わされるので、完済までに、借り受けた金員の2~4倍の金額を要求されます。
⑦ 支払は、銀行振込みが多く、領収書も交付されません。
⑧ 支払の前日には、「前日確認」の電話が入り、それと歩調を合わせるように、その業者と関係のある他の闇金業者から融資の勧誘がしつこく行われることが多々あります。
⑨ 一度ヤミ金に手を出すと、ヤミ金業者間で情報交換がなされているので、ヤミ金業者の餌食になりかねません。
⑩ 支払が遅れると、昼夜を問わず電話で脅してくるのが、常套手段です。
⑪ それでも支払が滞ると、「勤務先」や「親戚」に対し脅迫的電話が入ります。
⑫ 被害者に対し、突然、聞いたことのない業者から、「当方が債権譲渡を受けたので、当方に支払をするよう要求する電話や電報」来る例が多々あります。
(ウ) 契約の効力
その契約は、貸金業法や出資法に違反していて公序良俗違反(民法90条)となるので、その金銭消費貸借契約は無効となり、不法原因給付(民法708条)に該当するので、借主は借り受けた金員の返還をしなくてもよいことになります。
(エ) 被害対策
① 司法書士・弁護士から短期業者に対し、ファックスにより通知をする。まず、法律の専門家が債務整理の受任をしたことを通知し、取立行為を停止させる。
② 支払金の回収手続をとる(不当利得返還訴訟を提起する等)。
・短期業者の住所・代表者を特定できないことが多いため、訴訟を提起することができなかったり、訴訟提起が可能で勝訴判決を得たとしても、短期業者の資産を特定できないため強制執行が不能となり債権を回収ができないことがあります。
・また、必ず不法原因給付が認定されるとは限りません。
ウ システム金融
(ア) システム金融の定義
資金調達に苦しんでいそうな中小零細企業者に対し、ファクシミリやダイレクトメールで融資の勧誘を行い、出資法の制限を超えた違法な高金利を請求し、借主の作成した手形・小切手を決済の手段として使う貸金業者のことです。
(イ) 業者登録の有無
無登録業者が多いが、登録業者のこともあります。
(ウ) 手口
手口の順序は、下記のようなものです。
① 過去に、商工ローン業者等から借入れを起こした業者に対するファクシミリ・ダイレクトメールなどによる勧誘がなされます。
② 出資法の制限金利を大きく超過する高金利で貸付けをします。
③ 複数の業者によるたらい回しがなされます。
④ 手形・小切手を担保に取ります。
⑤ 債権譲渡通知書・白紙委任状などの書類を取られます。
⑥ 執拗な取立をします。
(エ) 契約の効力
その契約は、貸金業法や出資法に違反していて公序良俗違反(民法90条)となるので、その金銭消費貸借契約は無効となります。
・ 不法原因給付(民法708条)に該当するので、借主は借り受けた金員の返還をする必要はありません。
・ 既に支払った金額は、不当利得として返還請求が可能です。
(オ) 被害対策
① 手形不渡りの回避等
異議申立により手形不渡りを回避する。
② 過払となっている場合は、過払金返還請求をするとともに業者の銀行口座の仮差押をしておき、勝訴判決を得たら本差押をし、被害の回復を図る。
③ 自己破産をして、債務整理をする。
④ 任意交渉をする。
・業者に対し、ファックス等で、司法書士・弁護士が受任した旨の通知を行い、手形決済を止めさせる可能性がある。
(止めさせる理由)
・過払いになっている場合は、債務不存在となり、かつ、過払金返還請求が可能であること。
・出資法違反で刑事罰の対象となっていること(告訴・告発が可能である)。
・手形を取り立てに回しても決済意思又は決済能力がないこと。
⑤ 手形交換所に対して異議申立をしてみる。
⑥ 手形・小切手の処分禁止・支払禁止仮処分の申立が可能かを検討してみる。
⑦ 借入時に、貸金業者の曖昧な説明をもとに、債権譲渡通知書や白紙委任状を渡してしまった場合は、その委任行為は無効若しくは取り消し得るので、その対抗策をとる必要がある。
エ 紹介屋・換金屋
折り込みチラシや雑誌、スポーツ新聞等の広告を掲載し「低利、かつ融資先の一本化」をうたい文句にして多重債務者を勧誘しています。
・ 広告の表示は利息制限法に定められた金利を下回る記載をしていることもありますが、明らかに虚偽表示といえるものです。
オ 紹介屋
(ア) 紹介屋の定義
融資の申し込みをしてきた者に対して、自らは融資せず他の業者を紹介し、紹介料の名目で高額な手数料を取る業者です。
・実際は、何らの口利きもせずに、審査の甘い業者を教えているだけのようです。
・低金利の広告表示で勧誘しているので、過去に消費者金融を利用したことのない人が申し込みをし、被害者になっていることが多いようです。
(イ) 注意点
紹介屋自身、その手口が違法であることを承知しているため、連絡が取れないような対策をとっているので、既に支払った金員を取り戻すことはなかなか困難です。
(ウ) 被害対策
① 借主の債務を把握し、支払不能状態になっているときは、借主が自己破産手続をとることも一つの方法です。
* ただし、紹介屋の被害にあった直後に破産手続開始申立をする例では、その直前に極端に債務が増加することが多く、紹介屋の紹介を受けた消費者金融業者から免責に対する異議申立がなされる可能性を否定できません。したがって、破産申立開始手続をしたからといって、債務者が救われるとは限りません。
② 下記の根拠・方法に基づき、紹介料の支払い拒否又は不当利得返還請求を、文書により又は直接交渉をする。つまり法的対処をする。
(ⅰ) 紹介契約の不成立
低利の一本化のみを宣伝し、紹介契約がなかった場合は、紹介契約が成立していない。
(ⅱ) 錯誤による無効の主張(民法95条)
紹介屋に依頼する者は、複数の借入金を低利で一本化してもらうことを目的としているが、他の金融業者を紹介することを隠して依頼を受け、他社を紹介したとしてその手数料を請求して来た場合。
(ⅲ) 詐欺による取消し(民法96条)
紹介屋の一連の詐欺行為により、意思表示をしてしまった場合。
(ⅳ) 消費者契約法による取消し契約締結に当り、「契約締結の際の不実告知(消費者契約法4条1項1号)」又は「契約締結の際の不利益事実の不告知(消費者契約法4条2項)」があった場合。
(ⅴ) 出資法及び貸金業法違反
出資法4条1項は、媒介手数料の制限が規定されており、紹介屋がそれを超過した金額を受領する行為。
(ⅵ) 保全手続
紹介料の支払を紹介屋の銀行口座で行った場合は、紹介料返還請求権保全のため、その銀行口座を仮差押しておく。
カ 換金屋
自らの融資はせず、換金し易い電化製品をクレジットで購入させ、その品物を安く買い取る業者です。
・ 被害者は、クレジットの債務を支払わなければなりません。
キ 家具リース・自動車リース業者
(ア) 家具リース・自動車リース業者の定義
出資法の金利規制を脱法する目的で、債務者の家財道具一式や自動車などを買い取り、これを債務者に貸与する契約(リース契約)をし、債務者から高額なリース料を取り立てるような違法な金融業者のことです。
・ 家具リース契約の実体は、家財道具を担保とした金銭消費貸借契約であり、動産の売渡担保あるいは譲渡担保契約に該当します。
(イ) 契約の効力
金融業者は、出資法違反が問題になった場合、リース料は、利息ではないと主張しますが、実態は高額金利をとるための違法契約であり、公序良俗違反(民法90条)を理由として、その契約は無効であることを主張しえます。
ク チケット金融業者
(ア) チケット金融業者の定義
チケット金融業者とは、代金後払いでチケットを購入させ、これを売却させる形で金銭を貸し付け、一定期間経過後にチケットの額面どおりの代金を取り立てる金融業者のことです。
・ 「金券代金は後払いで結構です」などと、スポーツ新聞等の広告により勧誘している業者のことです。
(イ) 手口
手口の順序は、下記のようなものです。
① 勧誘方法
金券代金は後払いで結構です」などと、スポーツ新聞等の広告により勧誘しています。
(事例)
ある金券屋で、「券面額500円の高速道路通行回数券400枚(金20万円分)」を購入させ、その代金20万円を10日以内で支払う約束をさせる。その際、金融業者は、被害者から「免許証や保険証の写し」を出させ、かつ、申込書や契約書に署名させる。
② 換金方法
(ⅰ) チケット金融業者が自分で買い戻し、あるいは実質的にこれと同じ結果を生じる方法で金銭を得させるやり方。
(ⅱ) チケット金融業者は買取りをせず、無関係な他の金券ショップで売らせる場合。
(ウ) 契約の効力
・ その契約は、貸金業法や出資法に違反する暴利行為として公序良俗違反(民法90条)となるので、売買契約は無効となります。よって、チケットの売買代金を支払う必要はありません。
・ チケットの代金返還請求に対しては、不法原因給付(民法708条)に当るので、業者からの返還請求権を拒否できます。
・ 債務者が既に支払ってしまった金員については、業者側に不法原因があるので、不当利得返還請求が可能です。
(エ) 対策
① 刑事面の対応
貸金業法違反、出資法違反、刑法違反(脅迫、恐喝、暴行、傷害)などで告訴・告発のできる可能性があります。
② 行政的対応
チケット金融業者は、古物商に当るので公安委員会の許可が必要です。そこで、許可なく営業をした場合は「3年以下の懲役又は金100万円以下の罰金」が課されます。
ケ 年金担保金融業者
(ア) 年金担保金融業者の意義
「年金融資」・「年金立替」などの広告を出し、年金証書や銀行の預金通帳、銀行印、キャッシュカードなどを預かることにより、実質的には年金を担保に取り、年金生活者を食い物にするような違法金融業者のことをいいます。
(イ) 年金担保の禁止
年金を担保にとって融資を行うことは禁止されています(国民年金法24条、厚生年金保険法41条1項)。
* 同様に、共済年金、労災保険、雇用保険法による失業給付、児童手当、児童扶養手当などの受給権に対しても禁止規定が置かれています。
(ウ) 年金担保融資が認められている場合
社会福祉・医療事業団(独立行政法人福祉医療機構)、日本政策金融公庫は、「年金、労災年金、恩給共済年金」を担保に融資を行うことができます。
(エ) 手口等
① 融資を申し込むきっかけは、「新聞の折り込み・スポーツ新聞・電話帳・街中の看板」等の広告を見てです。
② 担保になる年金等の種類は、「国民年金・厚生年金」が主たるものですが、「遺族年金・児童手当・生活保護費・労災・障害年金」などもその対象となり、業者は貸付時に、「年金証書・印鑑・キャッシュカード」を預かり、銀行に振り込まれた年金を返済金として回収します。
・その際、「(ⅰ) 振り込まれた年金の全額を取り上げる業者」と、「(ⅱ)振り込まれた年金の一部を本人に返す業者」がいます。
③ 金利は、ほとんどが年20%を超える高金利を要求します。
(オ) 被害対策
① 金融庁ガイドラインなどを根拠に、年金証書の返還を求める。
② 振込口座の変更・解約等の手続を行い、年金を確保する。
③ 利息制限法所定の金利に引き直し計算をし、過払金の返還請求訴訟を提起する。
④ 業務停止命令等の処分を求めて、監督官庁(財務局、都道府県)へ申立を行う。
コ 整理屋
(ア) 整理屋の定義
「チラシ」・「折り込み広告」「スポーツ新聞」などで、「借金をまとめて一本化してあげます」などと勧誘して、債務整理に介入して利益を得る業者のことをいいます。
(イ) 手口
・「即日融資」・「スピード融資」などの文言で多重債務者を勧誘し、「貴方の収入では完済は無理なので、その対策をしてくれる法律事務所を紹介する」といって、整理屋が提携している法律関係の事務所を紹介します。
* 法律を扱う事務所にもそのような悪質な事務所があります。しかし、そのような事務所はごくわずかであり、例外です。
・紹介された法律事務所では、所長(法律関係の資格者。以下、「資格者」といいます。)ではなく事務長のなどの肩書を持った整理屋が対応し、「毎月金5万円、ボーナス時には金20万円を振り込んでください。そのお金を借入先の金融業者に返済します。」などと言い、お金を振り込ませます。
・多重債務者が、その誘いに乗ってお金を振り込んだとしても、そのうちのほとんどを整理屋及び資格者が取得してしまい、多重債務の支払いには、ごく一部しか充てられません。
・その結果、債務の総額は、一向に減らないことになります。
* 法律関係の資格者のこのような行為は、懲戒(資格はく奪等)の対象となります。
(ウ) 被害対策
① 民事上は、不当利得の返還請求ができます。
② 刑事上は、詐欺罪等による「告訴・告発」の対象となります。
③ 弁護士法・司法書士法に違反するので、懲戒(資格はく奪等)の 申立が可能です。