美しい五月に

新型コロナウイルスにより、未曾有の事態が続いております。
全国的に緊急事態宣言は解除されましたが、宣言解除によって新型コロナウイルスが(終息はもとより)収束したわけではありません。引き続き警戒を怠らず、気を引き締めて行動していきましょう。

私にとってステイホームは、今まで当たり前と思っていたことを改めて見直す機会にもなりました。忙しいとどうしても利便性を追求してしまいますが、できるだけ丁寧に生活することを心掛け、普段ならメールで済ませてしまうことも、拙いなりに一言、万年筆で手紙を書いたり、今までやりたくてもなかなかできなかった生活を送っております。

5月になると毎年思い出すのが、「美しい五月に」で始まるシューマンの歌曲集『詩人の恋』。
ここは例年どおりを心掛け、今年も針を落としました。
手持ちのレコードは入手した順にディースカウ盤、ヴンダーリヒ盤、ヘフリガー盤の3枚。いつもより丁寧にほこりを払い、盤面を磨き、心を込めて再生。瑞々しく息吹いた一音一音を、こんなにゆっくりかみしめるように聴いたのは本当に久しぶり。干天の慈雨のごとく心の奥底まで潤いました。
音楽の話はまた次回に。

ほかにも、運転中に見た雪残る鳥海山の美しさに感動したり、繰り返し観てきた映画やドラマでも今までは聞き逃していたセリフに耳を奪われたり、慌ただしい日常の中でつい忘れがちになっていた人とのつながりの尊さを実感したり、挙げるときりがありませんが、困難な中で気づいた幸せを手の中からこぼすことなく大切に握りしめて、丁寧な生活を続けていきたいと思います。

現在(いま)がどんなにやるせなくても 明日(あす)は今日より素晴らしい
―桑田佳祐「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」

今朝のお供、
ブルース・スプリングスティーン(アメリカのミュージシャン)の『The Rising』。
音楽によって救われる心があると信じて、私は音楽を聴き続ける。
                                   (佐々木 大輔)