年が明けてからいくつか演奏会に行きましたので、そのリマインドを。
【2月23日 イヴ・レヒシュタイナー パイプオルガン リサイタル】
パイプオルガンの演奏を聴きにアトリオンに行きました。
アトリオン音楽ホールができた頃はパイプオルガンの演奏を聴く機会も結構ありましたが、最近はなかなか聴く機会に恵まれず、久しぶりに聴くことができました。
演奏者はイヴ・レヒシュタイナー。
彼の略歴を見ると、そのキャリアはクラシック音楽だけではなく、ロックやジャズなど様々なジャンルの演奏家とコラボレーションし、幅広い演奏活動を行っているそうです。
今回のプログラムは前半がバッハ、後半はなんとベルリオーズの『幻想交響曲』全曲を彼自身がパイプオルガン用に編曲したバージョン。
大編成のオーケストラで演奏される曲をパイプオルガンでどのように演奏する(再現する)のか。
調べてみると、彼はこの編曲バージョンのCDも発売しているようで、この曲については自家薬籠中の物、期待はいやが上にも高まります。
結果、オリジナルのオーケストラ版に比べると少々物足りない部分もありましたが、迫力もありましたし、最後の音がホールに柔らかく響く様子は、オーケストラが目指すべき音のブレンドの極致を聴く思いでした。
ただ、第5楽章の鐘の音をどのように再現するのかと思っていたら、タブレット端末を操作して録音された鐘の音を流していて残念。ちょっと笑っちゃいました。
【4月5日 ウィーン チェロ・アンサンブル5+1】
チェロ5挺、ファゴット1本、寸劇あり小話ありのカジュアルな演奏会でした。
ウィーン・フィルのメンバーを中心としたアンサンブルで聴く「ピツィカート・ポルカ」は、ニューイヤーコンサートを生で聞いた気分になり、多幸感最高でした。
オーケストラにおいてチェロもファゴットも主役というよりは縁の下の力持ち。音域も近く相性はばっちり。
私はチェロを弾いていたことからチェロ派の人間ですが、チェロ派としてファゴットが心底羨ましいと思うのは、モーツァルトがファゴットのために協奏曲を残していること。
チェロ協奏曲も作曲してほしかったなあ。
アンコールは1挺のチェロを4人で演奏するという曲芸のようなラヴェル作曲の「ボレロ」、そして最後は演奏に合わせて観客みんなで歌った「秋田県民歌」でした。
【4月18日 角野未来 ピアノリサイタル】
4月はもうひとつ角野未来のピアノリサイタルに。
角野未来さんのお兄さんはピアニストの角野隼斗さん。
隼斗さんの演奏は、数年前に読売日本交響楽団との共演でガーシュインのピアノ協奏曲を聴きましたので、これで兄妹両方の演奏を聴いたことになります。
未来さんのキャリアは、音大出身ではないお兄さんに比べると音楽家として正統派、現在はフランスに拠点を移し、音大大学院に在学中とのことです。
しかしプログラムは意欲的で、後半こそドビュッシーやラヴェルといった王道のフランス音楽を組んでいましたが、前半はセシル・シャミナードやメル・ボニスという初めて聴くフランスの女性作曲家の作品を取り上げていました。
ご本人のマイクによる解説も素晴らしく明晰。
5月には「小林愛実 ピアノリサイタル」に行きましたが、紙幅の関係上、感想はまたの機会に。
今朝のお供、
ソニー・ロリンズ(アメリカのジャズミュージシャン)の『Saxophone Colossus』。
(司法書士 佐々木 大輔)
今年の10月は様々な芸術イベントを鑑賞しました。
その中からリマインドしてみましょう。
最初はNHK交響楽団の新コンサートマスター郷古廉さん率いるN響メンバーによる弦楽合奏。会場はアトリオン音楽ホール。
プログラムは、シューベルトの弦楽四重奏曲第14番『死と乙女』とショパンのピアノ協奏曲第1番(室内楽版)でした。
なんといっても前半の『死と乙女』が絶品。
ショパンのピアノ協奏曲は、昨年9月のN響ミルハス公演でも取り上げられた曲でした。
同じN響でオーケストラ版と室内楽版を聴き比べられる贅沢・・・とも思いましたが、秋田ではなかなかN響の演奏を聴く機会が無いものですから、できれば別の曲を演奏してくれればよかったのにな、とも思いました。
続いて仙台フィルハーモニー管弦楽団の演奏会(第4回秋田・潟上国際音楽祭の公演)。こちらも会場はアトリオン。プログラムは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番『皇帝』と交響曲第3番『英雄』でした。
皇帝に英雄とは、なんとヒロイックな組み合わせなのでしょう。
そして立川談春独演会2025。会場は秋田芸術劇場ミルハス。
折しもクマ出没により、近くの千秋公園が封鎖されているという緊迫した状況下での開催でした。
談春さんの落語を聴くのは昨年に続き2回目。
演目は、「演るのは難しいし内容も面白くない」噺なので談春さんしか演らない(本人談)という『九州吹き戻し』と、メジャーな『御神酒徳利』。
どちらも1時間半近い熱演。すっかり魅せられました。
来年も秋田に来てくれそうな話しぶりでしたので、また聴きに行こう。
ちなみに、明日11月1日は、アトリオンにオペラガラ・コンサート(第4回秋田・潟上国際音楽祭の公演)を聴きに行きます。
ところで、話は変わりますが、昨今話題になっている演奏会での(フライング)ブラボー問題(今に始まったことではなく昔からある問題なのですが)。
曲が終わるか終わらないかのうちに観客が「ブラボー」と発することに対する賛否です。
調べてみたところ、当日問題になったプログラムはブルックナーの交響曲第8番だったとか。
たしかにこの曲、盛り上がったのちに訪れる「ミレド」の終結には、思わずブラボーと叫びたくなる気持ちも分からないではありません。
しかし、この曲を真剣に聴き、本当にブラボーと叫びたいほど感動したならば、むしろ息を呑み言葉を失うのではないかと思います。
なお、「ミレド」の後には休符がありますので、その休符までが作品(一曲)です。
音楽の楽しみ方は人それぞれ。中には「私の楽しみは誰よりも先にブラボーと言うことだ!」という人もいるかもしれません。
しかし、会場で演奏を聴くということは、他の人も同じ空間を共有しているということを忘れてはなりません。自分ひとりではないのです。そして誰より、一音一音緻密に繊細に音楽を紡いだ演奏家たちの存在があるのです。
指揮者が指揮棒を下ろすまでが演奏と思っていただきたい。
演奏中に客席から発せられる音はすべて雑音です。
最後は少し強めの論調になってしまい申し訳ありません。
一方で、今回のブログで取り上げたステージは、どれもみな温かい観客の皆さんとともに楽しむことができたことを、ひと言付け加えさせてくださいね。
今朝のお供、
Oasis(イギリスのバンド)の『(WHAT’S THE STORY)MORNING GLORY?』。
来日公演、やっぱり行きたかったなあ。
(司法書士 佐々木 大輔)
今年は作曲家ショスタコーヴィチ(1906-1975)の没後50年。
初めて彼の交響曲第13番を聴いた時は、あまりの暗さに戦慄を覚えました。
ショスタコーヴィチは、ベートーヴェン以後、歴史に名を残した作曲家の中では、最も多くの交響曲を作曲した作曲家のひとりです。
第九の呪い。
偉大なる9曲の交響曲を作曲したベートーヴェン以後、歴史に名を残した著名な作曲家の多くは9曲を超える交響曲を作曲することができずにいました。
シューベルト8曲(9曲)、ブルックナー9曲、ブラームス4曲、ドヴォルザーク9曲、チャイコフスキー6曲・・・
そのうち交響曲を9曲作曲すると寿命が尽きるとのジンクスが言われるようになりました。
これに続いたのはマーラー。
第九の呪いを意識して、交響曲第8番の完成後に取りかかった次作の交響曲には番号をつけず、『大地の歌』と名付けました。
9つの交響曲を作曲し終え、マーラーはその後10番目の交響曲として第9番を作曲しましたが、次の第10番に手を付けたところで亡くなりました。
第九の呪いに打ち勝ったかのように思えたマーラーも、結局、番号付きの交響曲を9曲完成させて亡くなったのです(草葉の陰で何思う?)。
このマーラーの逸話を知っているショスタコーヴィチは、あえて交響曲第9番を小規模で軽妙な曲として書き上げて一気に第九の呪いを突破し、その生涯において15曲の交響曲を作曲しました。
ただし、この交響曲第9番は、第2次世界大戦での戦勝記念として(ベートーヴェンの第九のような)壮大な音楽を望んでいたロシア政府当局の意向に沿うものではなく、猛烈な批判にさらされたのでした。
なぜ、名だたる偉大な作曲家たちが9曲の壁に阻まれたのか。
それはベートーヴェンが交響曲を音楽芸術の最高峰に位置するものへと昇華させたためとされています。
のちの作曲家たちにとって交響曲を書くということが神聖な行為となりました(ベートーヴェン以前の作曲家、たとえばハイドンは100曲以上、モーツァルトは40曲以上の交響曲を残しており、交響曲はそれほど特別な音楽ではありませんでした。)。
ブラームスにいたっては、プレッシャーから最初の交響曲を作曲するのに20年以上を要し、その第1交響曲の曲風も評論家から「ベートーヴェンの第10交響曲だ」と揶揄されたものでした。
作曲家は、交響曲1曲ごとに自分の持っている芸術性、音楽性、テクニックなど全てをもって臨むため、9曲も作曲すればさすがにアイディアを使い果たし、年齢的にもそろそろ人生の終わりを迎えるということがよく言われます。
これが第九の呪いの正体であると。
閑話休題。
今年はショスタコーヴィチをじっくり聴きたいと思い、交響曲全曲のほか協奏曲やオペラを収録した輸入盤CDボックスセットを注文しているのですが、まだ届いておりません。
人気なのか、メーカーへの取寄せが続いております。
そもそも今の時代、CDで聴こうという人が少なくて、製作されているセットの個数が少ないのか。
届くまでは、まずは手元にある3種類の交響曲全集を改めてしっかり聴き込みたいと思います。
今朝のお供、
Franz Ferdinand(イギリスのバンド)の『You Could Have It So Much Better』。
(司法書士 佐々木 大輔)
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