涙と涙

ソチ・オリンピックが終わり、皆さんもようやく寝不足から解消された頃でしょうか。

今回のオリンピックは、今大会で引退を表明(示唆)しているベテラン勢(葛西選手は現役を続行するそうですが)の集大成としての戦いと、若き才能の活躍が目立ちました。
メダルの数だけに執着するのはよくありませんが、今大会は、国外で開催された冬季オリンピックとしては最多だったとのことで、これも選手の皆さんの頑張りの表れに違いありません。

男子フィギュアスケート初の金メダルを獲得した羽生選手、41歳にしてジャンプで個人の銀メダルと万感の思いに溢れた団体の銅メダルを獲得した葛西選手、惜しくもメダルには届きませんでしたがモーグルの上村選手やジャンプの高梨選手など、印象に残った選手・競技はたくさんありました。

その中で、フィギュアスケートの浅田選手には、やはり特別な思いがありました。
バンクーバーでの涙を笑顔に変えてほしいと願っていましたし、もちろん、その結果が輝くメダルという形で実を結んでくれたら、とも。
しかし、フリーの演技を終えた直後、浅田選手の頬にあふれた大粒の涙、そして晴れやかな笑顔を見たとき、もう、順位のことは私には重要ではありませんでした。浅田選手が自分で納得のいく演技ができたこと、それ以上に何を望むことがあるでしょうか。
世界中のスケーター、アスリートから寄せられた激励の言葉、称賛の言葉からも、スケートに全てを捧げてきた浅田選手に対する尊敬の念が伝わってきます。

浅田選手の今後については「ハーフハーフ」とのことですが、現役を続行するにしても、一線を退くにしても、また新たに活躍する姿を楽しみにしています。

選手の皆さん、熱い感動をありがとうございました。そして本当にお疲れ様でした。

 

今朝のお供、
ビル・エヴァンス(p)とジム・ホール(g)による
『UNDERCURRENT』。
先日もシーガルクラブでお世話になった割烹「大内田」さん。
繊細なお料理とお店の雰囲気、きめ細やかな心遣いは、いつも私に1枚のレコード―そう、それはCDではなく絶対にレコード、それも、丁寧にターンテーブルに載せられ、心を込めて静かに針を落とされたレコードでなければなりません―を想い起こさせます。

(佐々木 大輔)