アーカイブ:2014年6月

消滅時効

今回はちょっとだけ法律のお話を。
現在、民法の改正作業が進められています。現行の民法は、なんと明治29年に制定されたものであり、これまでも時代に合わせて細かい改正は加えられてきましたが、今回の改正は、約120年振りの大改正です。

そんな中、先日、「消滅時効」の改正について新聞に取り上げられていましたので簡単に説明します。

現行の民法では、債権の消滅時効(行使できる権利を一定期間行使しない場合、その権利を消滅させる制度)は原則10年とされていますが、飲食店のツケ払い(1年。民法第174条第4号)や塾の授業料(2年。民法第173条第3号)、診療費(3年。民法第170条第1号)など日常生活に密接に関わる一定の債権については、1年から3年の短期消滅時効が定められています。

新聞によると、法務省が、この短期消滅時効を一律5年に統一する方向で検討しているとのことでした。たしかに、業種ごとに債権の消滅時効が異なっているのは分かりにくいですし、業種間に不平等感が生じるのも無理のない話です。

例として上で挙げた飲食店のツケ払いがらみでもうひとつ。
「出世払いでいいよ」という言葉を聞くことがあるかと思いますが、出世払いとは、法律上は不確定期限(発生時点が不明な期限)と解されています。
つまり、出世すればもちろんのこと、出世しないことが明らかとなった場合も、その時点で支払義務が生じてしまうのです。
通常、「出世しなかったから支払わなくてもいい」という契約はしない(意思ではない)との理由によるもので、大正4年に大審院(最高裁判所の前身)で判断されて以来、現在までその判断は変わっていません。

もちろん、出世払いにも消滅時効はありますが―期限が到来した時(出世した時又は出世の見込みがなくなった時)から時効期間が開始します―

 

今朝のお供、
Led Zeppelin(イギリスのバンド)の『Led Zeppelin Ⅱ』。

(佐々木 大輔)