(当事務所の取扱業務)
① 登記申請の代理、登記申請手続事務の相談
② 登記付属書類の作成代理、それらの書類作成の相談
③ 各種文案書類作成・その相談
(目次)
(1) 商号の意義
(2) 「商号登記の義務」の有無
(3) 商号の登記
(1) 商号の意義
商号とは、個人商人(自然人たる商人のことです。)が、営業上、自己を表するために用いる名称のことです。
・商人は、その氏、氏名その他の名称をもって、その商号とすることができます(商法11条1項)。
(2) 「商号の登記の義務」の有無
個人商人は、その使用する商号を登記することができますが、登記をするか否かは、個人商人の自由です(商法11条2項)。
(商号の登記をした場合)
商号の登記をした場合は、下記の義務が生じます。
① 登記事項に変更を生じたとき又はその事項が消滅あるいは商号を廃止したとき・遅滞なく、その変更又は消滅の登記をする義務があります(商法10条、商業登記法29条)。
・ただし、株式会社のような登記期間の定めはありませんので、遅滞しても罰則は科されません。
② 商人が未成年者であるとき又は後見人(未成年後見人・成年後見人)が本人(未成年者・成年被後見人)のために営業を行うとき・取引安全のために、所定の事項を登記しなければなりません(商法4条、5条、6条)。
(3) 商号の登記
商号の新設、変更、消滅については、その変更登記が必要です。
・ただし、商号の登記には、登記期間の定めはありませんので、遅滞しても罰則は科されません。
ア 商号新設の登記
商号新設の登記の登記事項は、下記のとおりです。
① 商号
② 営業の種類
③ 営業所
④ 商号使用者の氏名・住所
イ 変更登記
(ア) 商号の譲渡
商号を譲渡したときは、「商号使用者」が譲渡人から譲受人に変更するので、商号の譲渡による変更登記の申請をしなければなりません(商業登記法29条2項)。
(イ) 商号の相続
商号使用者が死亡した場合は、原則として、商号は相続人に承継され、商号使用者が被相続人から相続人に変更するので、商号の相続による変更登記の申請が必要となります(商業登記法29条2項、30条3項)。
(ウ) 営業(又は事業)の譲渡の際の免責の登記
営業(又は事業)の譲受人(譲受会社)が譲渡人(譲渡会社)の商号を続用する場合に、譲渡人の営業上の債務を負わない旨の登記をすることにより、譲受人(譲受会社)は譲渡人(譲渡会社)の債務を弁済する責任を回避することができます(商法17条2項、会社法22条2項、商業登記法31条)。
(エ) 営業所移転の登記
① 営業所を、同一登記所の管轄区域内において移転した場合、「営業所移転の登記」(新住所の登記)を申請しなければなりません。
② 営業所を、他の登記所の管轄区域内に移転した場合
旧所在地の登記所では、営業所移転の登記を申請し、新所在地の登記所では「旧所在地においてした登記を証する書面(登記事項証明書)」を添付して、「商号新設の登記と同一の登記」を申請しなければなりません(商業登記法29条1項)。
(オ) 商号廃止の登記
商号を廃止(商号の使用を事実上止めること)した場合は、商号使用者が商号廃止の登記を申請しなければなりません(商業登記法29条2項)。