2 不動産(土地・建物)に関する税金について(参考です。)

(目次)

(1) 不動産(土地・建物)に関する税金について

(2) 不動産譲渡税(平成30年4月1日現在の法令等による)

(3) 買換特例に関する税(平成30年4月1日現在の法令等による)

(4) 相続税・贈与税(平成30年4月1日現在の法令等による)

(5) 不動産取得税(平成30年4月1日現在の在法令等による)

(6) 不動産保有税(平成30年4月1日現在の法令等による)

(7) 消費税(平成30年4月1日現在の法令等による)

(8) 交換に係る税(平成30年4月1日現在の法令等による)

(9) 取得時効に係る税(平成30年4月1日現在の法令等による)

(10) 印紙税(平成30年4月1日現在の法令等による)

(11) 登録免許税(平成30年4月1日現在) 

(1) 不動産(土地・建物)に関する税金について
不動産(土地・建物)の譲渡、建物の新築においては、その権利を保全するために登記をする必要があります。その場合、登記費用として、「登録免許税」と「司法書士の手数料」が掛かります。

・その他に、様々な税金が発生します。以下に、そのあらましを説明します。

・なお、詳細については、「税の専門家である税理士」や「税務署」にお尋ねください。

・不動産に関する税金には、下記のようなものがあります。

① 不動産譲渡税

② 買換特例に関する税

③ 相続税・贈与税

④ 不動産取得税

⑤ 不動産保有税

⑥ 消費税

⑦ 交換に係る税

⑧ 取得時効に係る税

⑨ 印紙税

⑩ 登録免許税


(2) 不動産譲渡税(平成30年4月1日現在の法令等による)
不動産譲渡税とは、「土地」・「建物」という資産の譲渡によって生ずる所得に対して課税するものです。

ア 分離課税・総合課税
譲渡資産の種類によって、「分離課税」の対象となるものと、「総合課税(『不動産の譲渡による所得』と『給料等による所得』を合算して課税すること)」の対象となるものがあります。

イ 分離課税には「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」の2種類の税金があります。

① 長期譲渡所得の税金

あ 意義
譲渡した年の1月1日現在で所有期間が、5年を超える「土地」や「建物」を売ったときに掛かる税金のことです。

い 税金の計算

(ⅰ) 課税長期譲渡所得金額

(譲渡価額:売却代金)-(取得費+譲渡費用)-(特別控除額)

* 簡単に言うと、売った時の価額から買った時の価額を差し引いたものが利益となります。
(ただし、建物の場合は、償却費を考慮して計算します。)

* 特別控除額の例

a 「居住用家屋」や「家屋と共にその敷地」を譲渡した場合
…3,000万円

b 収用等により土地や建物を譲渡した場合
…5,000万円

c その他

(ⅱ) 税額=課税長期譲渡所得金額×20%(所得税15%+住民税5%)

* なお、平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として、各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と合わせて申告・納付する必要があります。

う 税金の計算例
15年前に購入した土地、建物が、下記のような場合の計算例

(ⅰ) 譲渡価額

…5,000万円

(ⅱ) 土地、建物の取得費

…2,500万円

*・土地は購入時の価額

・建物は減価償却費相当額控除後の価額

(ⅲ) 譲渡費用(仲介手数料等)

…100万円

(計算方法)

(ⅰ) 課税長期譲渡所得金額の計算
5,000万円-(2,500万円+100万円)=2,400万円

(ⅱ) 税額の計算

a 所得税(15%)
2,400万円×15%=360万円

b 住民税(5%)
2,400万円×5%=120万円

c 復興特別所得税
360万円(所得税)×2.1%=7万5,600円

(ⅲ) 税金の合計額
360万円(所得税)+120万円(住民税)+7万5,600円(復興特別所得税)=487万5,600円

② 短期譲渡所得の税金

あ 意義
譲渡した年の1月1日現在で所有期間が、5年以下の「土地」や「建物」を売った時に掛かる税金のことです。

い 税金の計算例

(ⅰ) 課税短期譲渡所得金額=

(譲渡価額:売却代金)-(取得費+譲渡費用)-(特別控除額)

* 簡単に言うと、売った時の価額から買った時の価額を差し引いたものが利益となります。
(ただし、建物の場合は、償却費を考慮して計算します。)

* 特別控除額の例

a 「居住用家屋」や「家屋と共にその敷地」を譲渡した場合
…3,000万円

b 収用等により土地や建物を譲渡した場合
…5,000万円

C その他

(ⅱ) 税額=課税短期譲渡所得金額×39%(所得税30%+住民税9%)

* なお、平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として、各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と合わせて納付する必要があります。

う 税金の計算例
3年前に購入した土地、建物が、下記のような場合の計算例

(ⅰ) 譲渡価額

…5,000万円

(ⅱ) 土地、建物の取得費

…2,500万円

*・土地は購入時の価額

・建物は減価償却費相当額控除後の価額

(ⅲ) 譲渡費用(仲介手数料等)

…100万円

(計算方法)

(ⅰ) 課税短期譲渡所得金額の計算
5,000万円-(2,500万円+100万円)=2,400万円

(ⅱ) 税額の計算

a 所得税(30%)
2,400万円×30%=720万円

b 住民税(9%)
2,400万円×9%=216万円

c 復興特別所得税
720万円(所得税)×2.1%=15万1,200円

(ⅲ) 税金の合計額
720万円(所得税)+216万円(住民税)+15万1、200円(復興特別所得税)=951万1,200円

ウ 不動産譲渡税の時効期間(除斥期間)
不動産譲渡税の時効期間(正確には、除斥期間といいます。)は、法定申告期限(不動産を譲渡した年の翌年3月15日)から5年となります。

* 故意に無申告だった場合(悪質な場合)の時効期間
この場合の時効期間は、法定申告期限から7年となります。


(3) 買換特例(平成30年4月1日現在の法令等による)
個人が、「事業の用に供している財産」や「居住用財産」を売却した場合は、原則として譲渡益課税がなされますが、一定の条件が充たされる場合には、「事業用財産・居住用財産の譲渡益」に対する課税を繰り延べすることができます。

* 課税を繰り延べるとの意味
譲渡益が非課税となるわけではありません。後日、売買等が行われた場合に課税されます。

ア 事業用財産の買換え特例

あ 制度の概要
個人が、事業の用に供している特定の地域内にある土地・建物等(譲渡資産)を譲渡して、一定期間内に特定の地域内にある土地・建物等(買換資産)の特定の資産を取得し、その取得の日から1年以内に買換資産を事業の用に供したときは、一定要件の下に、譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べることができます。

* 譲渡益が非課税となるわけではありません。

い 特例を受けるための要件

① 譲渡資産と買換資産は、共に事業用のものであること。

② 譲渡資産と買換資産とが、一定の組み合わせに当てはまるものであること。

* 代表例
譲渡の日の属する年の1月1日現在において、所有期間が10年を超える国内にある事業用の土地等や建物又は構築物を譲渡して、国内にある事業用の土地等、建物又は構築物を取得する場合等

③ 買換資産が土地等であるときは、取得する土地等の面積が、原則として、譲渡した土地等の面積の5倍以内であること。

・超える部分は特例の対象になりません。

* なお、平成31年(2019)年12月31日までの譲渡資産の譲渡に限って、一定の農地へ の買換えの場合は、10倍以内とされることがあります。

④ 資産を譲渡した年か、その前年中、あるいは譲渡した年の翌年中に買換資産を取得すること。

⑤ 買換資産を取得した日から1年以内に事業に使用すること。

⑥ この特例を受けようとする資産については、重ねて他の特例を適用することはできません。

⑦ 土地等の譲渡については、原則として、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超えていること。

* なお、2020年3月31日までにした土地等の譲渡については、この要件が停止されています。

⑧ 譲渡資産の譲渡は、収容等、贈与、交換、出資によるもの及び代物弁済としての譲渡ではないこと。

・また、買換資産の取得は、贈与、交換又は一定の現物分配によるもの、所有権移転ほかリース取引によるもの及び代物弁済によるものではないこと。

う 譲渡所得金額の計算
この特例の適用を受けた場合の譲渡所得の計算式は、原則として、下記のとおりです(課税割合が20%の場合)。

① 「譲渡資産の譲渡価額と買換資産の取得価額が同額」か、又は「買換資産の取得価額の方が多い」場合

(ⅰ) 「譲渡資産の譲渡価額」×0.2=収入金額

(ⅱ) 「(譲渡資産の取得費+譲渡費用)」×0.2=必要経費

(ⅲ) 「収入金額-必要経費」=課税される譲渡所得の金額

② 譲渡資産の譲渡価額が買換資産の取得価額より多い場合

(ⅰ) 「譲渡資産の譲渡価額」-買換資産の取得価額×0.8=収入金額

(ⅱ) 「(譲渡資産の取得費+譲渡費用)×(収入金額÷譲渡資産の譲渡価額)=必要経費

(ⅲ) 収入金額-必要経費=課税される譲渡所得の金額

え 申告手続
この特例の適用を受けるためには、下記の書類を添えて確定申告をすることが必要です。

(ⅰ) 譲渡所得の内訳書(確定申告付表兼計算明細書[土地・建物用]

(ⅱ) 買換資産の取得を証する書面(登記事項証明書等)

(ⅲ) 譲渡資産及び買換資産が、特例の適用要件とされる特定の地域内にあることを証する市区長村長等の証明書等

* 買換資産を取得する見込みで、この特例の適用を受けた場合は、上記(ⅱ)の登記事項証明書等は買換資産を取得した日から4か月以内に提出しなければなりません。

イ 居住用財産の買替え特例(平成30年4月1日現在の法令等による)

あ 制度の概要
特定の居住用財産を、平成31年(2019年)12月31日までに売って、代わりの居住用財産を買い換えたときは、一定の要件の下に、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます。

* 譲渡益が非課税になるわけではありません。

い 特例を受けるための適用要件

① 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。

* 以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが必要です。

* 一定の要件に当てはまれば、住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合も買換特例を受けることができます。

② 売った年、その前年及び前々年に、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例又は居住用財産を売ったときの軽減税率の特例若しくは居住用財産の譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。

③ 売った居住用財産と買換えた居住用財産は、日本国内にあるもので、売った居住用財産について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けないこと。

④ 売却代金が、1億0,000万円以下であること。

⑤ 売った人の居住期間が10年以上で、かつ、売った年の1月1日現在において、売った家屋やその敷地の所有期間が共に10年を超えるものであること。

⑥ 買い換える建物の床面積が50㎡以上のものであり、買い換える土地の面積が500㎡以下のものであること。

⑦ 居住用財産を売った年の前年から翌年までの3年間に、居住用財産を買い換えること。

・また、買い換えた居住用財産には、一定の期限までに住むこと。

・買い換えた居住用財産を住まいとして使用を開始する期限は、その居住用財産を取得した時期により下記のようになります。

(ⅰ) 売った年か、その前年に取得したときは、売った年の翌年12月31日まで。

(ⅱ) 売った年の翌年に取得したときは、取得した年の翌年12月31日まで。

⑧ 買い換える居住用財産が、耐火建築物の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであること、又は一定の耐震基準を充たすものであること。

⑨ 買い換える居住用財産が、耐火建築物以外の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであること、又は取得期限までに一定の耐震基準を充たすものであること。

⑩ 居住用財産を売った人とそれを買った人との関係が、親子や夫婦など特別な間柄にないこと。

* 特別な関係とは
上記のほか、生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

う 特例の適用を受けるための手続
この特例の適用を受けるためには、下記の書類を添えて確定申告をすることが必要です。

(ⅰ) 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書:土地・建物用)

(ⅱ) 売った資産が次のいずれかの資産に該当する事実を記載した書類

A 自分が住んでいる家屋のうち国内にあるもの

B 上記Bの家屋で自分が以前に住んでいたもの

C 上記A 又はBの家屋及びその家屋の敷地や借地権

D 上記Aの家屋が災害により滅失した場合において、その家屋を引き続き使用していたとしたならば、その年の1月1日において所有期間が10年を超えるその家屋の敷地や借地権

(ⅲ) 売った資産の登記事項証明書等で、所有期間が10年を超えるものであることを明らかにするもの。

(ⅳ) 買い換えた資産の登記事項証明書や売買契約書の写しで、取得したこと及び買い換えた資産の面積を明らかにするもの。

(Ⅴ) 売買契約書の写しなどで、売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの。

(Ⅵ) 買い換えた資産が中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであることを明らかにする書類、又は耐震基準適合証明書など。


(4) 相続税・贈与税

ア 相続税(平成30年4月1日現在の法令等による)

あ 相続税の意義
相続税とは、相続人が、「被相続人(亡くなった人)から、「相続、遺贈、死因贈与」により取得した財産」及び「相続時精算課税の適用を受けて、被相続人(亡くなった人)から贈与により取得した財産」の合計額が、基礎控除額を超える場合に課税される税金のことです。

* ① 相続財産
取得した財産から「債務等の金額」を控除し、「相続開始3年以内の贈与財産の価額」を相続財産として加算します。

② 相続税課税
相続税は、累進課税です。

い 相続税の申告が必要な人とは
被相続人から、相続などによって「財産を取得した人それぞれの課税価格の合計額」が「遺産に係る基礎控除額」を超える場合、その財産を取得した人は、相続税の申告をする必要があります。

* ① 遺産に係る基礎控除額
金3000万円+(金600万円×法定相続人の数)

② 法定相続人の数

(ⅰ) 相続放棄
相続人のうち相続の放棄をした者があっても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。

(ⅱ) 養子の数
被相続人に養子がいる場合に、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。

③ 相続人とは
民法では、相続人の範囲と順位について、下記のとおり定めています。

(ⅰ) 被相続人の配偶者
常に、相続人となります。

(ⅱ) 下記の人は、下記の順序で配偶者と共に相続人になります。

第1順位 被相続人の子

* 子が、被相続人の相続開始以前に死亡しているときは、孫(直系卑属)が相続人になります。

第2順位 被相続人に子や孫(直系卑属)がいないときは、被相続人の父母

* 父母が被相続人の相続開始以前に死亡しているときなどは、被相続人の祖父母(直系尊属)が相続人となります。

第3順位 被相続人に子や孫(直系卑属)、父母や祖父母(直系尊属)もいないときは、被相続人の兄弟姉妹

* 兄弟姉妹が、被相続人の相続開始以前に死亡しているときは、被相続人の甥、姪(兄弟姉妹の子)が相続人になります。

う 相続税の申告と納税
相続税が課される場合には、相続人は、相続の開始があったことを知った日(通常は、被相続人が死亡した日)の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地の所轄税務署に申告し、納税しなければなりません。

* ① 相続税の納付
原則として、各相続人等が各自の相続税を相互に連帯して納付しなければならない義務があります。

② 控除額を超過した部分について
累進課税(遺産額が多くなるにつれて、段階的に税率が上がる課税方式)となります。

え 相続税の延納・物納制度

① 延納制度
相続税額が金10万円を超え、かつ、相続税を納付すべき日までに金銭で納付することが困難な事由がある場合は、申請をすることにより年賦払い(納付すべき金額を年額いくらと割り当てて支払うこと)による方法で納付することができます。

* ただし、下記のことに注意する必要があります。

(ⅰ) この場合は、利子税(税率は、相続財産の内容、納付期間により異なります)が掛かる外、原則として担保の提供が必要です。

(ⅱ) 延納をするには、相続税を納付すべき日までに、所轄税務署に申請書及び手続に必要な関係書類を提出し、許可を受ける必要があります。

② 物納制度
延納によっても、金銭で納付することが困難な事由がある場合は、相続した財産で納めることができます。

* ただし、物納制度の利用には、下記の要件を満たす必要があります。

(ⅰ) その財産は、物納に適した財産であるなど一定の要件を満たしたものに限られます。

(ⅱ) 物納をするには、相続税を納付すべき日までに、所轄税務署に申請書及び手続に必要な関係書類を提出し、許可を受ける必要があります。

お 相続税が課される財産

① 被相続人が亡くなった時点において所有していた財産

② みなし相続財産

* (ⅰ) 被相続人の死亡に伴い支払われる「生命保険金」や「退職金」等
これらは、相続によって取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。

・ただし、一定金額までは非課税となります。

(ⅱ) 一定金額とは、
金500万円×法定相続人の数×その相続人の取得した保険金等の合計額÷相続人全員の取得した保険金等の合計額

③ 被相続人から取得した相続時精算課税適用財産

④ 被相続人から相続開始前3年以内に取得した暦年課税適用財産

* (ⅰ) 被相続人から、相続などによって財産を取得した人が、被相続人が亡くなる前3年以内に、被相続人から贈与を受けた財産は、相続税の課税対象となります。

(ⅱ) 相続税の課税価格
贈与の時の価額が、相続税の課税価格になります。

か 相続財産の価額から控除できる債務と葬式費用

① 控除できる債務
被相続人の債務は、相続財産の価額から差し引かれます。

* 差し引くことのできる債務の例

(ⅰ) 借入金・未払い金

(ⅱ) 未払いの税金

② 控除できる葬式費用
被相続人の葬式で、相続人が負担した葬式費用は、相続財産の価額から差し引かれます。

* 葬式費用

(ⅰ) 葬式費用となる例

A お寺さんへの支払費用

B 葬儀社などへの支払費用

C お通夜に要した費用

(ⅱ) 葬式費用とならない例

A 墓地や墓碑の購入費用

B 香典返しの費用

C 法要に要した費用

き 主な相続財産の評価方法

① 宅地
下記「く・(い)・③・(ⅰ)」のとおり

② 建物
下記「く・(い)・③・(ⅰ)」のとおり

③ 上場株式
原則として、下記の(ⅰ)~(ⅳ)までの価額のうち、最も低い価額により評価します。

(ⅰ) 相続の開始があった日の終値

(ⅱ) 相続の開始があった月の毎日の終値の月平均額

(ⅲ) 相続の開始があった月の前月の毎日の終値の月平均額

(ⅳ) 相続の開始があった月の前々月の毎日の終値の月平均額

④ 預貯金

(ⅰ) 原則
下記「A+B」の合計額により、評価します。

A 相続開始の日現在の預入残高

B 相続開始の日現在において解約するとした場合に支払を受けることができる既経過利子の額

(ⅱ) 定期預金・定期郵便貯金及び定額郵便貯金以外の預貯金について
相続開始の日現在の既経過利子の額が少ないものに限り、相続開始の日現在の預入残高で評価します。


く 「課税遺産総額の計算方法」
相続税の課税対象となる課税遺産総額の計算方法は、下記のとおりです。

「相続や遺贈によって取得した財産(遺産総額)」「相続時精算課税の適用を受けた財産の価額」-「(債務+葬式費用)+非課税財産」「相続開始前3年以内の暦年課税に係る贈与財産の価額」=「遺産総額」-「基礎控除額」=課税遺産総額

* 文言の意味その他の説明

① 非課税財産とは

(ⅰ) 墓所、仏壇、祭具など

(ⅱ) 国や地方公共団体、特定の公益法人に寄付した財産

(ⅲ) 生命保険金のうち次の額まで
500万円×法定相続人の数

(ⅳ) 死亡退職金のうち次の額まで
500万円×法定相続人の数

② 養子がいる場合の法定相続人の数
被相続人に養子がいる場合は、法定相続人の数に含める養子の数は、下記のとおりです。

(ⅰ) 実子がいるときは1人

(ⅱ) 実子がいないときは2人まで

* 上記は、相続税の総額の計算においても同じです。

③ 宅地・建物の評価方法

(ⅰ) 宅地の評価は、「路線価方式」又は「倍率方式」で評価します。

a 路線価方式
路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当りの価額を基に計算した金額(路線価×土地の面積:㎡数)で評価します。

b 倍率方式
路線価の定められていない地域についての評価方式で、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算した金額で評価します。

* 路線価方式又は倍率方式の計算に当っては、国税庁のホームページに掲載されている「路線価図」又は「評価倍率表」を基にして計算します。

(ⅱ) 建物は、固定資産税評価額によって評価します。

④ 相続税の基礎控除額

(ⅰ) 平成26年12月31日以前に亡くなった場合
「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」

(ⅱ) 平成27年1月1日以後に亡くなった場合
「3,000万円+600万円×法定相続人の数」

* 上記(ⅰ)の60%となります。

⑤ 配偶者の税額軽減(配偶者控除)
「下記(ⅰ)」か「下記(ⅱ)」の場合は、配偶者に相続税が掛かりません。

(ⅰ) 配偶者が、遺産分割や遺贈により取得した正味の遺産額が1億6,000万円まで。

(ⅱ) 配偶者の法定相続分相当額(2分の1)まで。

⑥ 税額から控除されるもの

(ⅰ) 未成年者控除
相続人が20歳未満の場合は、20歳に達するまでの年数1年につき10万円。

(ⅱ) 障害者控除
相続人が障害者の場合は、85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者の場合は20万円)。

(ⅲ) 暦年課税に係る贈与税額控除
正味の遺産額に加算された「相続開始3年以内の贈与財産」の価額に対し課された贈与税額。

* 暦年課税とは
贈与を受けた年ごとに、贈与税が課税されることです。

(ⅳ) 相続時精算課税に係る贈与税額控除
遺産総額に加算された「相続時精算課税の適用を受ける贈与財産」の価額に対し課された贈与税額。

* 控除しきれない金額がある場合
申告をすることにより、還付を受けることができます。

け 相続税の2割加算

① 相続税額の2割加算
相続、遺贈や相続時精算課税方式に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に 相当する金額が加算されます。

② 相続税額の2割加算の対象になる人
下記の方は、相続税の2割加算の対象になります。

(ⅰ)  被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した人で、被相続人の配偶者、父母、子ではない人

* 例
被相続人の兄弟姉妹・甥・姪として相続人となった人

(ⅱ)  被相続人の養子として相続人になった人で、その相続人の孫でもある人のうち代襲相続人になっていない人

③ 相続税額の加算金額の計算
相続税の2割加算が行われる場合の加算金額は、下記のようになります。
「各人の税額控除前相続税額 ×0.2」

* ただし、相続時精算課税方式に係る贈与を受けており、かつ、相続開始時までに被相続人との続柄に変更(養子縁組の解消等)がある場合は、計算が異なります。

こ 被相続人の所得税・消費税の申告
所得税及び復興特別所得税・消費税及び地方消費税の申告をすべき人が年の途中で亡くなった場合は、相続人はその全員の連名により、被相続人が死亡した日の翌日から4か月以内に、被相続人の住所地の所轄税務署に確定申告をしなければなりません。

さ 相続税の時効期間(除斥期間)
相続税の時効期間(正確には、除斥期間といいます。)は、法定申告期限(被相続人が亡くなった日から10か月です。)から5年となります。

* 故意に無申告だった場合(悪質な場合)の時効期間
この場合の時効期間は、法定申告期限から7年となります。


イ 贈与税(平成30年1月1日現在の法令等)

あ 贈与税の意義
贈与税とは、個人からの贈与によって取得した財産に課税されるものであり、受贈者が受けた財産(1人又は複数人から贈与を受けた財産)から金110万円を控除した上で、累進課税されます。

* (ⅰ) 1年間に受けた贈与額の非課税
受贈者が1年間に受けた財産につき、年間金110万円までは課税されません。

・受贈額が、年間金110万円を超過した部分につき課税されます。

(ⅱ) 税率は、相続税よりも高いです。

い 贈与の方法

① 暦年贈与
1人が、1年間に受ける贈与額の合計が金110万円までは贈与税が課せられません。

② 夫婦間での「居住用土地・建物」の贈与
一定の要件を満たす場合は、「居住用土地・建物の特例」を受けることができます(詳細は下記「う」のとおり)。

③ 相続時精算課税による贈与
一定の要件を満たす場合は、「相続時精算課税による贈与の特例」を受けることができます(詳細は下記「え」のとおり)。

う 夫婦間で「居住用土地・建物」を贈与したときの配偶者控除の特例
夫婦間では、一定の要件を満たせば、贈与税が課されない特例があります。

(あ) 特例の概要
婚姻期間が、20年以上の夫婦間で、「居住用土地・建物の贈与」又は「居住用の土地・建物を取得するための金銭の贈与」が行われた場合、「基礎控除額金110万円」の外に、「最高金2,000万円」まで控除(配偶者控除)が受けられるという特例です。

(い) 特例の適用を受けるための要件

(ⅰ) 夫婦間の婚姻期間が、20年を過ぎた後に贈与が行われたこと。

(ⅱ) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための「国内の居住用土地・建物であること」又は「居住用土地・建物を取得するための金銭であること」。

(ⅲ) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した「国内の居住用土地・建物」又は「贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用土地・建物」に贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みがあること。

(う) 「配偶者控除の特例」の適用
配偶者控除の特例は、同じ配偶者からの贈与については、一生に一度しか適用を受けることができません。

え 相続時精算課税制度(平成30年4月1日現在の法令等)

(あ) 相続時精算課税制度の概要

① 贈与税の課税制度には、「暦年課税」「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件を満たす場合には、相続時精算課税を選択することができます。

② 相続時精算課税制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時に、その贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた贈与税相当額を控除することにより、「贈与税・相続税を通じた納税」を行うものです。

③ この制度を選択した場合、贈与額金2,500万円(複数年にわたって金2,500万円まで利用可能)までは、贈与税が課税されることなく、また、不動産に限らずどのような財産でも贈与することができます。

④  贈与を受ける人(受贈者)は、贈与をする人(贈与者)ごとに、この制度を用することができます。

⑤ この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更することはできません。

⑥ この制度の適用を受けた土地には、小規模宅地の特例を適用することができません。

* 小規模宅地の特例とは
亡くなった人(被相続人)又は被相続人と生計を一にしている親族の居住用・事業用・貸付用の宅地については、その宅地を相続した人が、引続き居住や事業を継続する場合には、一定の面積まで評価額を減額できます。

・この特例を利用する場合には、相続税の申告期限までに遺産分割協議が成立している必要があります。

(い) 相続時精算課税制度の適用要件

① 対象者

(ⅰ) 贈与者=贈与した年の1月1日現在で、60歳以上の父母又は祖父母

(ⅱ) 受贈者=贈与者の推定相続人である「20歳以上の実子、養子(代襲相続人を含む)」、又は「20歳以上の孫」

② 対象財産等
贈与する財産の「種類・金額・贈与回数」に制限はありません。

* 贈与を受けた財産が、金2,500万円までは課税されません。

③ 「贈与税額」の計算

(ⅰ) 贈与税額の計算の基礎となる贈与財産(基礎財産)
相続時精算課税の適用を受ける贈与財産については、その選択をした年以後、相続時精算課税に係る贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。

(ⅱ) 贈与税の額
贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額:金2,500万円)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。

* A 贈与の限度額とは
金2,500万円が限度額ですが、前年以前において、既にこの特別控除額の一部が贈与されている場合は、金2,500万円から既に贈与された部分を差し引いた額が限度額となります。

B 相続時精算課税を選択した受贈者が、相続時精算課税に係る贈与者以外の者から贈与を受けた財産につき
贈与財産の価額から、暦年課税の基礎控除額金110万円を控除して贈与税の税率を適用し、贈与税額を計算します。

C 相続時精算課税に係る贈与税額の計算
暦年課税の基礎控除額金110万円を控除することはできないので、贈与を受けた財産が金110万円以下であっても、贈与税の申告をすることが必要です。

④ 「相続税額」の計算
相続税額=「(下記(ⅰ)+下記(ⅱ)×相続税の税率」-「既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額

(ⅰ) 相続時精算課税に係る贈与者が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額

(ⅱ) 相続や遺贈により取得した財産の価額

⑤ 適用を受けるための手続
最初の贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日の間に、受贈者の所轄税務署に対して「相続時精算課税選択届出書」及び必要書類を提出する必要があります。

(ⅰ) 申告が必要
相続時精算課税の適用を受けるには、贈与を受けた財産が、金2,500万円を超えても、満たなくても申告が必要です。

(ⅱ) 相続時精算課税の適用を受ける単位
贈与者ごとに、適用を受けることの選択をすることができます。

(ⅲ) 相続時精算課税を一度選択した場合
一旦、相続時精算課税制度を選択すると、選択した年以後、その贈与者が亡くなる時まで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。

お 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税(平成30年4月1日現在の法令等)

(あ) 住宅取得資等資金の贈与税の非課税制度のあらまし
平成27年1月1日から平成33(2021年)年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その住宅取得等資金を、自己の居住の用に供する家屋を新築若しくは取得又はその増改築等の対価に充てて、新築若しくは取得又は増改築等をし、その家屋を同日までに自己の居住の用に供したとき又は同日後、遅滞なく自己の居住の用に供することが確実であると見込まれるときには、住宅取得等資金の内、一定金額について贈与税が非課税となります。

(い) 受贈者の要件
下記の要件の全てを満たす受贈者が、非課税特例の対象となります。

① 下記のいずれかに該当するものであること。

(ⅰ) 贈与を受けた時に、日本国内に住所を有すること。

(ⅱ) 贈与を受けた時に、日本国内に住所を有しないものの、日本国籍を有し、かつ、受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。

(ⅲ) 贈与を受けた時に、日本国内に住所も日本国籍も有しないが、贈与者が日本国内に住所を有していること。

② 贈与を受けた時に、贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。

③ 贈与を受けた年の1月1日現在において、20歳以上であること。

④ 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が金2,000万円以下であること。

⑤ 平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で、「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと。

⑥ 自己の配偶者、親族などの特別な関係がある人から住宅用の家屋を取 得したものでないこと、又はこれらの者との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものでないこと。

⑦ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用家屋の新築等をすること。

⑧ 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住ずること、又は同日後遅滞なく家屋に居住することが確実であると見込まれること。

(う) 住宅取得資金の範囲
住宅取得等資金とは、受贈者が自己の居住の用に供する家屋を新築若しくは取得又は自己の居住の用に供している家屋の増改築等の対価に充てるための資金をいいます。

(え) 居住用家屋及びその増改築等の要件

① 居住用家屋の主な要件
居住用家屋とは、下記の要件を満たす日本国内にある家屋をいいます。

(ⅰ) 家屋の登記簿上の床面積が、50㎡以上240㎡以下であること。

(ⅱ) 床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること。

② 増改築等の主な要件
特例の対象となる増改築等とは、贈与を受けた者が日本国内に所有する自己の居住の用に供している家屋について行われる増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替え、その他の工事の内、一定のもので、下記の要件を満たすものをいいます。

(ⅰ) 増改築工事に要した費用が金100万円以上であること。

* 居住用部分の工事費が、全体の工事費の2分の1以上であること。

(ⅱ) 増改築等の家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が、専ら居住の用に供されること。

(ⅲ) 増改築等後の家屋の登記簿上の床面積が、50㎡以上240㎡以下であること。

(お) 非課税限度額
受贈者一人についての非課税限度額は、「住宅の種類」や「住宅用家屋の取 得等に係る契約の締結」が何時になるかにより異なります。

* 各年分の非課税限度額は、下記の表のとおりとなります。

A 下記B以外の場合(「住宅資金非課税限度額」といいます。)

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日

省エネ等住宅

左記以外の住宅

~平成27年12月31日

金1,500万円

金1,000万円

平成28年1月1日~平成32年(2020年)3月31日

金1,200万円

金700万円

平成32年(2020年)4月1日~平成33年(2021年)3月31日

金1,000万円

金500万円

平成33年(2021年)4月1日~平成33年(2021年)12月31日

金800万円

金300万円

B 住宅用家屋の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合(「特別住宅資金非課税限度額」といいます。)

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日

省エネ等住宅

左記以外の住宅

平成31年(2019年)4月1日~平成32年(2020年)3月31日

金3,000万円

金2,500万円

平成32年(2020年)4月1日~平成33年(2021年)3月31日

金1,500万円

金1,000万円

平成33年(2021年)4月1日~平成33年(2021年)12月31日

金1,200万円

金700万円

* なお、平成21年分から平成26年分において、「直系尊属から、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例」の適用を受けている場合には、平成27年分以降の贈与でこの非課税の適用を受けることはできません。

(か) 非課税特例の適用を受けるための要件
非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、下記の書類を、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。

(税務署への提出書類)

(ⅰ) 贈与税の申告書(非課税の特例の適用を受ける旨を記載した申告書)

(ⅱ) 計算明細書

(ⅲ) 戸籍謄本

(Ⅳ) 住民票

(ⅴ) 登記事項証明書

(ⅵ) 「新築」や「取得」の契約書の写し

か 贈与税が掛からない場合
贈与税は、原則として、贈与を受けた全ての財産に対して掛かりますが、その財産の性質や贈与の目的などから見て、下記の財産については掛かりません。

① 法人からの贈与により取得した財産

* 贈与税とは
贈与税とは、財産を個人から贈与された場合に掛かる税金です。

・法人から財産を贈与により取得した場合は、贈与税ではなく所得税の対象となります。

② 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの。

③ 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う一定の者が取得した財産で、その公益を目的とする事業に使われることが確実なもの。

④ 奨学金の支給を目的とする特定公益信託や財務大臣の指定した特定公益信託から交付される金品で一定の要件に当てはまるもの。

⑤ 地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利。

⑥ 公職選挙法の適用を受ける選挙における公職の候補者が、選挙運動に関し取得した金品その他の財産上の利益で、公職選挙法の規定による報告がなされたもの。

⑦ 個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答品、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの。

⑧ 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金の内、一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの。

⑨ 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金の内、一定の要件を満たすものとして贈与税の課税価格に算入されなかったもの。

⑩ 相続や遺贈により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与により取得した財産。

き 借地上の「建物」の贈与を受けた場合の税金
この場合の贈与額は、「建物については固定資産税評価額」と「借地権については、借地権割合の土地評価額」の合計額となります。この合計額が贈与税の対象となります。

* 借地権割合等の意味

① 借地権とは
建物の所有を目的とした土地の地上権又は賃借権のことです。

② 地主から土地を借りて建物を建てている方は
借主には、借地権という権利があり、借地借家法という法律により保護されています。

③ 借地権割合とは
土地に占める借地権の割合のことです。借地権割合は、毎年、国税庁が路線価と共に公表しています。

④ 相続税や贈与税の土地評価をする際に、土地の所有者と利用者が異なる場合は
土地の価値を「所有権」と「利用権」の2つに分けて評価します。

く 贈与税の時効期間(除斥期間)
贈与税の時効期間(正確には、除斥期間といいます。)は、法定申告期限(贈与した年の翌年3月15日)から6年となります。

* 故意に無申告だった場合(悪質な場合)の時効期間
この場合の時効期間は、法定申告期限から7年となります。


(5) 不動産取得税(平成30年4月1日現在の法令等による)

ア 不動産取得税の意義等
不動産取得税は、不動産(土地・建物)を取得又は増築したことに対して、取得時又は増築時に1度だけ課せられる税金(地方税)です。

* ① 不動産の取得とは
不動産の取得とは、「売買・贈与・交換・建築(新築・増築・改築)などによって所有権を取得することを意味します。

② 登記の有無、有償・無償、取得の理由は不問です。

③ 時効取得による取得の場合
不動産取得税が掛かります。
(なお、取得税納付の始期は、取得時効完成日の翌日です。)

④ 時効取得の完成
善意による占有の場合は、占有開始日から10年、悪意の占有の場合は占有開始日から20年で取得時効が完成します。

⑤ 相続による取得の場合
不動産取得税が課されません。
(理由) 形式的な所有権取得だからです。

⑥ 取得税の消滅時効
5年で消滅時効にかかります(納税が不要となります)。

⑦ 納税方法
取得後又は増築後、6か月~1年位の間に、県税事務所から届く「納税通知書」を使用して、県税事務所の窓口に収める方法又は金融機関に納付する方法があります。

イ 不動産取得税の税率
以下は、平成33年3月31日までに不動産を取得した場合の税率です。

① 土地・建物の税額
固定資産税評価額×4%

* ただし、特例により以下のとおり標準税率軽減されます。

(ⅰ) 土地・住宅(平成33年3月31日まで)
3%

(ⅱ) 住宅以外の建物(軽減はない)
4%

② 税率の基礎となる価格

(ⅰ) 宅地
固定資産税評価額×2分の1

(ⅱ) その他の土地
固定資産税評価額そのもの。

③ 新築住宅及びその敷地の税額の軽減

(ⅰ) 建物

A 特例の税額
不動産取得税=(固定資産税評価額-金1200万円)×3%

B 軽減の要件

a 居住用その他も含め住宅全般に適用

b 課税床面積が50㎡以上(戸建以外の貸家住宅は1戸当たり40㎡以上)250㎡以下

* 認定長期優良住宅の税額の軽減(特例の内容)
新築住宅の金1200万円の控除に代えて、金1300万円とする(平成32年3月31日までの特例)

(ⅱ) 土地

A 特例の税額
不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×3%)-控除額(下記aかbの多い金額)

a= 金45000円

b= (土地1㎡当りの固定資産税評価額×1/2)×(課税床面積×2(200㎡限度)×3%

B 軽減の要件

a 上記「建物」の軽減の要件を満たすこと

b 土地先行取得の場合
取得から3年以内(平成32年3月31日までの特例)に、建物を新築すること

c 建物建築先行の場合
土地を借りるなどして住宅を新築した人が、新築1年以内にその土地を取得すること

C 賃借地は対象外

④ 中古住宅及びその敷地の税額の軽減

(ⅰ) 建物

A 特例の税額
不動産取得税=(固定資産税評価額-控除額)×3%

* 控除額は、県税事務所に確認のこと

B 軽減の要件

a 買主の居住用、又はセカンドハウス用としての取得

b 50㎡以上240㎡以下(課税床面積)

c その他

(ⅱ) 土地

A 特例の税額

不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×3%)-控除額(下記aかbの多い金額)

a=金45000円

b=(土地1㎡当たりの固定資産税評価額1/2)×(課税床面積×2(200㎡限度))×3%

B  軽減の要件

a 上記(ⅰ)「建物」の要件を満たすこと

b 取得から1年以内にその土地上の建物を取得すること(土地先行取得)

c 土地を借りるなどして、その土地上の建物を取得した人が、1年以内にその土地を取得すること(建物建築先行の場合)

ウ 不動産取得税の非課税
不動産取得税は、下記のような取得に対しては、原則として、課税されません。

① 相続(包括遺贈又は被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む)による取得

② 法人の合併又は政令で定める分割による不動産の取得

③ 土地区画整理事業等での換地の取得

④ 債権の消滅で、「譲渡担保財産の所有権が設定後2年以内に設定者に移転した場合」の設定者の取得

⑤ 公共の用に供する道路の取得

⑥ 宗教法人が、専ら本来の用に供する不動産の取得

⑦ 学校法人が、直接、保育又は教育の用に供する不動産の取得

エ 不動産取得税の免税
取得した不動産の価格(課税標準額)が、下記の額に満たない場合は課税されません。

① 土地を、売買・贈与・交換などにより取得した場合=金10万円

② 家屋を建築(新築・増築・改築)により取得した場合=一戸につき金23万円

③ 家屋を売買・贈与・交換などにより取得した場合=一戸につき金12万円

オ 新築住宅についての不動産取得税の軽減

① 住宅(住宅用附属建物を含む。)の新築の場合
延ベ床面積が50㎡以上240㎡以下の場合は、一戸につき金1,200万円が価格から控除されます。

* 価格が金1,200万円未満である場合は、その額が控除されます。

② 賃貸用の「アパート・マンション(居住用の付属屋を含む。)」の新築の場合
一区画当りの延べ床面積が40㎡以上240㎡以下の場合は、一区画につき金1,200万円が価格から控除されます。

* 上記以外の「店舗・事務所・工場等の建物」については、軽減されません。

カ 不動産取得税の「軽減特例」を受けるには
原則として、「不動産取得税課税標準の特例適用申告書」を、不動産を取得した日から60日以内に都道府県事務所に提出しなければなりません。

* 秋県税事務所では60日以内に限定していません。


(6) 不動産保有税(平成30年4月1日現在の法令等による)
土地・建物を所有している者に対して定期的に課す税金のことです。「固定資産税・都市計画税」等があります。

ア 固定資産税

あ 固定資産税の意義
土地、家屋及び償却資産(これらを「固定資産」といいます。)の所有者に対し、その固定資産の価格を基に算定される税額を、その固定資産の所在する市町村が課税する税金のことです。

い 固定資産税の額
固定資産税評価額の課税標準額×1.6%

* 秋田市の税率は1.6%ですが、1.4%の市町村もあります。

う 納税義務者
毎年1月1日(賦課期日)現在の土地・家屋又は償却資産の所有者として、固定資産課税台帳に登録されている方です。

イ 都市計画税

あ 都市計画税の意義
都市計画事業又は土地区画整理事業に要する費用に充てるため、都市計画区域内にある土地・家屋に対し、その所有者に課する目的税としての市町村税のことです。

い 税率
土地・家屋の固定資産税評価額の課税標準価格×0.3%以下です。

う 納税義務者
毎年1月1日(賦課期日)現在の土地又は家屋の所有者として、固定資産課税台帳に登録されている方です。


(7) 消費税(平成30年4月1日現在の法令等による)

ア 消費税の概要

あ 消費税の意義
消費税は、課税事業者が行った国内取引に課税される税金で、消費に、広く公平に負担を求める間接税です。

* ① 国内取引とは
国内で対価を得て行われる「資産の譲渡・貸付け」並びに「役務の提供」 のことをいいます。

② 資産の譲渡
資産の譲渡でも、土地の譲渡には掛かりません。

・建物の譲渡代金や仲介手数料等には課税されます。

い 消費税課税取引・非課税取引

(あ) 消費税課税取引
消費税の課税取引とは、下記の4つの要件を満たす取引で、非課税取引、免税取引及び不課税取引に該当しないものをいいます。

① 国内における取引であること

* 国外取引は不課税となります。

② 事業者が事業として行うものであること

* 反復、継続かつ独立して行われるものであること。

③ 対価を得て行われるものであること

* 無償なら不課税取引となります。

④ 資産の譲渡、貸付け及び役務の提供であること

* 課税取引の例

(ⅰ) 建物の購入代金・建築請負代金

(ⅱ) 仲介手数料(売買・賃貸借)

(ⅲ) 住宅ローン事務手数料

(ⅳ) 事務所・店舗などの賃料

(い) 非課税取引
消費に負担を求める上で、課税の対象として馴染まないものや、社会政策的配慮から13項目に限定列挙して、非課税取引を定めています。

* 非課税取引の例

(ⅰ) 土地の購入代金

(ⅱ) 住宅ローンの返済利息・保証料

(ⅲ) 火災保険料・生命保険料

(ⅳ) 家賃(居住用)

(ⅴ) 土地の譲渡、貸付け

(ⅵ) 保証金・敷金

イ 税率

① 平成26年3月31日までは5%

② 平成26年4月1日から平成31年9月30日までは8%

③ 平成31年10月1日からは10%(予定)

ウ 納税義務者

あ 国内取引の納税義務者
「個人事業者」及び「法人」です。

い 輸入取引の場合の納税義務者
保税地域から外国貨物を引き取る者です。

エ 不動産を購入したときの消費税等

① 土地の譲渡の場合
非課税です。

② 建物の譲渡の場合
課税されます。

③ 建売住宅やマンションの購入の場合
土地と建物の購入価額を分け、「建物の購入価額」に対してのみ消費税が課税されます。

オ 土地の賃貸借に関する消費税等
土地又は土地の上に存する権利の貸付けについては、原則として、非課税です。

* ただし、下記の場合は、課税されます。

① 貸付けが1か月に満たない一時的な貸付け

② 下記のような「施設の利用」に伴う貸付け

a 設備(フェンス・コンクリート敷)のある駐車場の使用料

b 建物、テニスコートなどの施設の利用に伴う貸付け

カ 建物の賃貸借に関する消費税等

① 住宅の貸付けによる賃料
原則として非課税です。

* ただし、

a 「(ⅰ)1か月未満の住宅の貸付け」、「(ⅱ)別荘の家賃」については、課税対象となります。

b 賃料(家賃)には、「礼金、更新料、敷金及び保証金等で返還しない金員」や「住宅部分にかかる共益費」も含まれます。

② 事務所・店舗等の貸付けによる賃料は、課税の対象となります。

キ 住宅を売却した場合の消費税等

① 個人(事業者でない個人)が住宅を売却した場合は、非課税です。

② 売主が消費税の課税業者であるが、自宅として使用していた住宅を売却した場合は、非課税です。

ク 主な非課税取引

① 土地の譲渡及び貸付け

② 有価証券等の譲渡

③ 介護サービスの提供

④ 住宅の貸付け

⑤ 支払手段の譲渡

* 小切手・約束手形などの譲渡


(8) 交換に係る税(平成30年4月1日現在の法令等による)

ア 固定資産の交換特例の概要
固定資産の交換特例とは、個人が、土地や建物などの資産を同じ種類の資産と交換したときは、譲渡がなかったものとすることです。

イ 特例を受けるための適用要件のあらまし

① 交換により譲渡する資産及び取得する資産は、いずれも固定資産であること。

* 不動産業者などが、販売のために所有している土地などの資産は(棚卸資産)は、特例の対象になりません。

② 交換により譲渡する資産及び取得する資産は、いずれも「土地と土地」、「建物と建物」のように互いに同じ種類の資産であること。

* この場合、借地権は「土地の種類」に含まれ、建物に付属する設備及び構築物は 「建物の種類」に含まれます。

③ 交換により譲渡する資産は、1年以上所有していたものであること。

④ 交換により取得する資産は、交換の相手が1年以上所有していたものであり、かつ、交換のために取得したものでないこと。

⑤ 交換により取得する資産を、譲渡する資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。

* 交換譲渡資産の種類

(ⅰ) 土地
宅地、田、畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場又は原野、その他

(ⅱ) 建物
居住用、店舗又は事務所用、工場用、倉庫用、その他用

⑥ 交換により譲渡する資産の時価と取得する資産の時価との差額が、これらの時価のうち、いずれか高い方の価額の20%以内であること。

ウ 交換差金
交換に伴って、相手方から金銭などの交換差金を受け取ったときは、その交換差金が譲渡所得として所得税の課税対象となります。

エ 交換特例を受けるには
この特例を受けるためには、確定申告書に所定の事項を記載の上、譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)「土地・建物用」を添付して提出することが必要です。


(9) 取得時効に係る税(平成30年4月1日現在の法令等による)
土地等の財産を時効の援用により取得した場合は、取得した財産の価額(時価がその価額となります)が経済的利益となり、取得した日の属する年分の(時効を援用した時)の一時所得として所得税の課税対象となります。

(税金の計算方法)

「時効取得した土地等の財産の価額(時価)」-「土地等の財産を時効取得するために直 接要した金額」-「特別控除額(最高50万円)」=「一時所得の金額×2分の1」(課税対 象となる金額)

* 一時所得とその年分所得の合算額が、課税対象となります。


(10) 印紙税(平成30年4月1日現在法令等による)

ア 不動産の譲渡と印紙税
不動産の譲渡に関する契約書を作成した場合には、印紙税の対象となりますので、契約書に収入印紙を貼付する必要があります。

イ 不動産の譲渡に関する契約書の例

① 売買契約書

② 贈与契約書

③ 交換契約書

④ 代物弁済契約書

⑤ 法人等に対する現物出資契約書

ウ 印紙税の額
印紙税の課税対象となる文書(課税文書)及び課税額は、「印紙税法・別表第1に掲げられています。


(11) 登録免許税(平成31年2月1日現在の法令等による)

ア 登録免許税の意義
不動産の登記をするとき、「① 購入したときは、所有権移転登記」、「② 建物を新築した場合は、表示登記所有権保存登記」、「③ お金を借入れて不動産を担保に供する場合は、抵当権設定登記」をします。

登記をとることにより第三者に対する対抗要件となります。その保護される利益に対して国税としての登録免許税が課されます。

イ 主な登記の税率

① 所有権移転登記

(ⅰ) 土地の売買による所有権移転登記
固定資産税評価額×1.5%

(ⅱ) 相続による所有権移転登記
固定資産税評価額×0.4%

(ⅲ) 上記以外の所有権移転登記
固定資産税評価額×2%

② 所有権保存登記

(ⅰ) 店舗・事務所等(住宅以外)の建物
固定資産税評価額×0.4%

(ⅱ) 専用住宅

A 一般の専用住宅
新築の評価額×0.15%

B 特定認定長期優良住宅
新築の評価額×0.1%

③ 抵当権設定登記
債権額×0.4%