先日、第156回直木賞の発表がありました。
受賞作は恩田陸著『蜜蜂と遠雷』。
新刊をあまり読む機会のなくなった私が、学生時代にお世話になったカフェのマスターから薦められて、昨年久しぶりに手にした新刊書でした。
ピアノコンクールに挑む若きピアニストたちの群像劇。これから読まれる方もたくさんいらっしゃるでしょうから、あまり内容には触れないようにしますが、演奏者によって解き放たれる音の一粒一粒が、目に見えるかのように描写されていきます。音楽を紡ぐ著者の言葉。それは、私の中に記憶として残る過去の名演奏を想起させるのではなく、今まさに目の前で生み出された未知の音を聴かせてくれるのです。
恩田氏は本作において、音楽を解説することではなく、「言葉で音楽を奏でること」に挑んだのではないでしょうか。
読了後、小説の中で採りあげられた数々の名曲たち(幸いにも音源が手元にあったので)を聴きながら余韻に浸りつつ、音楽を聴く際は、もっとしっかり音楽と向き合って聴かなければいけないなと、“ながら聴き”に堕しがちな自分を戒める機会にもなりました。
『蜜蜂と遠雷』で恩田氏の小説に初めて触れ、直後にもう1冊読んだのが『夜のピクニック』です。
以前から本屋に行くたび気になっていた小説で、著者名とタイトルだけは知っていました。
なかなか手が伸びなかったのは、この小説につけられた「永遠普遍の青春小説」というキャッチコピーのため。そろそろ不惑なもので、今さら青春小説と言われてもなあ・・・と気おくれを感じていたのです。
―全校生徒が夜を徹して80キロを歩きとおす北高の伝統行事「歩行祭」。甲田貴子は密かな決意を胸に抱き、「歩行祭」に臨む。高校生活最後のイベント。果たして彼女の思いは実を結ぶのか―
舞台は「歩行祭」ゆえにひたすら歩くだけ。特別な事件は起こりませんが、登場人物たちの心の機微を通じて、私にも確かにあった遠い過去に再会することができました。
「もっと、ちゃんと高校生やっとくんだったな」。
読み終えてからネットの読者レビューなどに目を通すと、私と同じセリフに共感した人がけっこういました。「みんなそういう思いを抱えて年齢を重ね、今を生きているのだな」と仲間意識が芽生え、一緒にお酒でも酌み交わしたい気持ちになったのはご愛嬌、ということで。
今朝のお供、
Carpentersの曲「I Need to Be in Love(青春の輝き)」。
(佐々木 大輔)
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
今年も田口司法事務所と当ブログをよろしくお願いします。
皆さんは年末年始をいかがお過ごしでしたか?
秋田市は雪のない年末年始でしたが、ここにきてついに冬将軍が重い腰を上げた模様です。
私は毎年のことながら、大晦日は紅白歌合戦、元日はウィーン・フィルのニューイヤーコンサートを楽しみました。あまり音楽の話題ばかりを取り上げるのも芸がないので・・・とも思いましたが、今回のニューイヤーコンサートについてはどうしても一言だけ。
今年指揮を務めたのはグスターボ・ドゥダメル。ベネズエラ出身の35歳、史上最年少での抜擢でした。
ラテン系ゆえにノリノリの演奏を予想していたのですが(ノリノリのワルツってどんなだろう?)、思いのほか正攻法。しかし、随所に若者らしい清々しさが見え、黄金の楽友協会大ホールを満たした弾けるような愉悦感は、さながらフルートグラスにきらめくシャンパンの泡のようでした。
若さとは可能性であり受け止める側には寛容性と覚悟が必要になるのだなあとか、果たして伝統とは保守が預かるのかそれとも革新が繋いでいくのかなど、いろいろと考えさせられた演奏会でした。
さて、今年は酉年。
誰かが言っていましたが、酉年は申年と戌年との間にあって、犬猿の仲を取り(酉)持つ年です。
私も皆様のご依頼に応え、多くの方々の間を取り持つような仕事が出来ればと思っております。
今朝のお供、
スティング(イギリスのミュージシャン)の『ブルー・タートルの
夢』。
(佐々木 大輔)
年末を迎え気持ちもそわそわしておりますが、心を落ち着かせるためにも、高校時代から毎年楽しみにしているバイロイト音楽祭の録音をFM放送で聴きながら(NHK-FMでは、毎年、今夏行われたバイロイト音楽祭の模様を年末に放送してくれます)、今年一年を振り返っています。
さて、クリスマスは皆さんいかがお過ごしでしたか。
私はクリスマスにぴったりの映画『ラブ・アクチュアリー』を観ました。何度目の鑑賞か分からないほど繰り返し観ている映画で、今さら紹介するのも・・・という感じですが。
映画の冒頭に流れるナレーション。
―人は言う。
現代は憎しみと欲だけだと。
実際そうだろうか。
・・・
9月11日の犠牲者がかけた最後の電話も憎しみや復讐ではなく愛のメッセージだった。
見回すと実際のところ、この世は愛が満ち溢れている―
映画は複数の愛の物語が並行して進行します。
愛の形はさまざま。親子、夫婦、友人、もちろん恋人。道ならぬ恋もあります。特に斬新な愛の形が提示されるわけでもなく、むしろ定番とも言える9つのストーリーで構成されています。
それぞれの愛は甘いばかりではなく、苦く、切なく、悲しい。それも当たり前のこと。
でも、これらのありふれたエピソードの数々こそが、「愛はいたるところにある(Love actually is all around)」ことの証左なんでしょう。
今年一年、周りの皆さんから頂いたたくさんの愛に感謝し、恩返しができるよう準備万端に整え、新しい年を迎える所存です。
なお、ブログは毎月中旬に配信させていただきます。
今朝のお供、
サザンオールスターズの曲「心を込めて花束を」。
(佐々木 大輔)