雨の季節に

ドビュッシーの弦楽四重奏曲ト短調(op.10)とラヴェルの弦楽四重奏曲ヘ長調。

どちらも雨の季節になると聴きたくなります。

理由は単純なもので、最初に購入したメロス四重奏団のCDジャケットが、傘をさしているメンバーの写真だったので、自然と雨のイメージができただけなのですが。

ドビュッシーとラヴェル。近代フランスを代表する作曲家です。

そのようなこともあってか、両者の弦楽四重奏曲は演奏会でも録音でも組み合わされることが非常に多いのです。カップル成立率は90%を超えているのではないでしょうか(佐々木調べ)。

ちなみに、カップル成立率第2位は、録音だけで言えばメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲とチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、演奏会も含めればマスカーニのオペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』とレオンカヴァッロのオペラ『道化師』あたりと思われます(佐々木調べ)。

ドビュッシーの弦楽四重奏曲は夜の波間に身を漂わせているかのような不思議な浮遊感。静かな熱を秘めたオリエンタルビューティーを思わせる(たたず)まいの曲ですが、未だにその正体をつかみ切れないというのが正直な感想です。

一方、ラヴェルの弦楽四重奏曲は精緻で華やか。官能的でもあります。弦楽器4挺でありながら多彩な音色を感じるのは、さすが「管弦楽の魔術師」の異名をとるラヴェルの作品といったところでしょうか。

ラヴェルはドビュッシーの弦楽四重奏曲をお手本として作曲したこともあり、両者の弦楽四重奏曲は構成が似ている気がします。お手本とされたドビュッシーもラヴェルの弦楽四重奏曲に対し、「1音たりとも変更してはなりません」と最上級の賛辞を送っています(結局ラヴェルはこの曲の出版に当たり全面的に改訂してしまったようですが・・・)。

恥ずかしながら私は、何度も聴いているにもかかわらず、曲の断片だけを聴かされた場合、どちらの曲か瞬時には判断できないと思います。

ドビュッシーとラヴェルには大変申し訳ないのですが、私にとってはやはり2曲でひとつなんです。

切り離せない相思相愛の2曲。

雨の季節であるとともに今月はジューンブライド。

皆さんも幸せなカップリングの2曲に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。


今朝のお供、

桑田佳祐feat.佐野元春、世良公則、Char、野口五郎の曲「時代遅れのRock ‘n’ Roll Band」。

明日が楽しみと思える世の中にしなければ。

                              (司法書士 佐々木 大輔)