カテゴリー「音楽」の記事

たまにはゆったりと

台風が接近中ということで、この週末は出かけるのを取り止め、代わりに、「積ん読」ならぬ「積ん聴」状態になっていたCDを聴いて過ごすことにしました。

最初に聴いたのは、最近気になるピアニストのひとり、ユジャ・ワンの演奏でストラヴィンスキー作曲『ペトルーシュカ』他が収録されたCDです。『ペトルーシュカ』はおそらく技術的に最高難度を誇る曲と思いますが、彼女の余裕ある演奏からは、この曲の技術的な難しさを一切感じません。躍動感があり、人形たちが楽しそうにくるくる踊っている様子が伝わってきます。

次に、やはりお気に入りのピアニストであるアンスネスの演奏でラフマニノフ作曲ピアノ協奏曲第3番と第4番。派手な仕掛けは全くない正統派の演奏で、バックを務めるパッパーノ指揮ロンドン・フィルの演奏共々充実のひとこと。
新潟に住んでいた頃、アンスネスという名前すら知らずに彼の演奏会へ行った時のことを思い出します。その時の感動が未だに私の中に残っていて、彼のCDを聴くたびによみがえります。

続いて、以前テレビでN響との共演を観てから気になっていたチェリスト、ミュラー=ショットによるドビュッシー作曲チェロ・ソナタ他を。なめらかで飾らないチェロの音は、まさに私の好みにぴったり!個性を売りにしているタイプではないようで、聴き終えた後も「お腹いっぱい」となるわけではなく、思わず「おかわり」をしたくなるような演奏でした。

最後は、バティアシヴィリのヴァイオリンでショスタコーヴィチ作曲ヴァイオリン協奏曲第1番。たっぷりとした美音で集中力高く弾き切る姿には、「襟を正して聴かなくては」と思わされてしまいます。

たまにはゆったりとした気分で、日ごろの疲れをとるのも良いことですね。

 

今朝のお供、
JAY-Z&カニエ・ウエスト(アメリカのミュージシャン)の『Watch The Throne』。
私はあまりヒップホップ音楽を聴かないのですが、このふたりがコラボレーションするとなれば話は別です。
金ピカのCDジャケットに負けない豪華なゲストをフィーチャーして、破壊力抜群の音楽がスピーカーから飛び出してきます。

(佐々木 大輔)

お久しぶりです

こんにちは。ご無沙汰しておりました。
また今日からお付き合いよろしくお願いいたします。

秋田は暑い日が続いていますね。
暑いのが苦手な私は、こう暑くなってくると、なかなか好きな音楽にもゆったりと浸れなくなってしまいます。
そこで、仙台時代に素敵な音楽をたくさん教えていただいた方へメールをしたところ、「モーツァルトの室内楽曲などはいかがでしょう」とのアドバイス。中でも「ピアノと管楽のための五重奏曲」がおすすめとのこと。残念ながら、その方が紹介してくださった演奏家のCDは我が家に無かったのですが、代わりにグルダのピアノとウィーンフィルハーモニー管楽アンサンブルによる演奏で楽しむことにしました。

モーツァルトの音楽とともに、カズオ・イシグロの小説『日の名残り』を読んで過ごしました。
旅に出た主人公が、その道すがら執事としての過去を振り返る様子を、静かに描いています。読みさしのため、どのような結末が待ち受けているのかはまだ分かりませんが、抑制の効いた描写には、かけた音楽の音量を上げると壊れてしまいそうな繊細さが満ちており、先を急がず、描かれている品格ある世界を少しずつ味わう方が良さそうです。

しおりをはさみ、本から顔をあげると、素敵な夕焼けが広がっていました。部屋にもオレンジ色が溢れる中、もう一曲、モーツァルトのクラリネット協奏曲をプリンツのクラリネット(ベーム指揮ウィーンフィル)で聴いているうち、私の休日も暮れていきました。

 

今朝のお供、
FOO FIGHTERS(アメリカのバンド)の『WASTING LIGHT』。
いまどき珍しくアナログで録音されたアルバムです。
その証拠に?CDにはマスターテープの断片がオマケとして封入されていました。
NIRVANA(ヴォーカリストが在籍していたバンド)という大きな過去を乗り越えて前に進もうという気迫が、「WALK」という曲から伝わってきます。

(佐々木 大輔)

ハーフタイムショー

2月6日(日本時間7日)、アメリカンフットボールのチャンピオン決定戦であるスーパーボウルが行われました。私は全くの素人で、アメフトのルールもあまり分からないのですが、ハーフタイムショーを目当てに毎年観てしまいます。豪華なミュージシャンが出演することでも知られているハーフタイムショー、今年はBLACK EYEDPEAS(アメリカのグループ)がパフォーマンスを披露しました。

そんなハーフタイムショーについて、先日、SPINNERという海外の音楽サイトが、「史上最高のハーフタイムショー」と題してトップ10を選出していました。
「きっと1位はU2かマイケル・ジャクソンだろうな」と思いながら結果を見ると、やはり1位は2002年のU2(ちなみに、マイケルは2位)。

02年といえば、前年にN.Y.の9.11テロが起こり、アメリカ最大のスポーツの祭典であるスーパーボウルもテロの標的になるのではないかとの危惧から、開催が危ぶまれた年でもありました(そのような年のアクトがU2というのも凄いブッキングですが)。
内容はというと、彼らが代表曲の「WHERE THE STREETS HAVE NO NAME(約束の地)」を演奏するその後ろで、テロ犠牲者全員の名前を次々と映し出すスクリーンが、天へと昇るように上空へ伸びていくという演出がされた、犠牲者追悼のステージでした。
「肌の色や国籍で判断されることがないような、ストリートに名前が無くて、誰もが平等でいられる場所で再び会おう。我々ならできる」という力強いメッセージを振り絞るような歌声に乗せて、ヴォーカルのボノがハート型のステージを疾走します。
途中、胸の前にハートマークを作ると、温かい声で「それを可能にするのは愛なんだ」と訴えかけます。
そして曲のエンディング、世界中に中継しているTVカメラに向かって、ボノが、着ていたジャケットをパッと開くと、なんとそこには縫い付けられた星条旗が!
スタジアムの熱狂は爆発。
テレビの前の私も、友人と一緒に思わず絶叫。
彼らのまっすぐな信念が、当時のアメリカ人にとってどれだけの希望と力を与えたことでしょう。

後日、私は、ジャケットを広げた写真が表紙を飾った『TIME』誌を買い、今でも大切に保管してあります。

 

今朝のお供、
The Beatlesの曲「ALL YOU NEED IS LOVE」。
今日はバレンタインデーですね。

 

(佐々木 大輔)