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ドビュッシー

今年は作曲家ドビュッシーの生誕150年のアニバーサリー・イヤー。魅力的なCDがたくさん発売され、ドビュッシーの熱心な聴き手とはいえない私にとっては、ドビュッシーを知る良い機会になりそうです。

ドビュッシーといえば、「亜麻色の髪の乙女」(『前奏曲集第1巻』収録)や「月の光」(『ベルガマスク組曲』収録)といったピアノ曲、フルートの奏でる気だるい旋律が印象的な『牧神の午後への前奏曲』などは、きっと皆さんも耳にしたことがあるでしょう。

数ある名曲の中で、私が惹かれるドビュッシーの作品は、彼が完成させた唯一のオペラである『ペレアスとメリザンド』です。
私はこのオペラを、専らブーレーズ指揮コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団のCDで楽しんでいますが、ひんやりとして怜悧な演奏は、霧の立ちこめる森を彷徨うようなというよりも、森の中にひっそりと在る澄み切った泉に身を浸すような感触があります。
もう一曲挙げるとすれば、『夜想曲』。こちらは気分によって聴く演奏をかえますが、ハイティンク指揮コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏で聴くと、陰影が濃厚で、まるでレンブラントの絵画を観るよう。

クラシック音楽を聴く楽しみのひとつに、同じ曲を様々な演奏で聴き比べることが挙げられます。
アニバーサリー・イヤーを機会に、他の演奏でも『ペレアス』を聴いてみようと思っています。

 

今朝のお供、
桑田佳祐の『I LOVE YOU‐now & forever‐』。
10年振りのベスト盤。サブタイトルどおり、過去の名曲に加え、今を象徴する新曲5曲が収録されています。新曲のうち少なくとも2曲は、彼の新たな代表曲になるのではないでしょうか。

(佐々木 大輔)

たまにはゆったりと

台風が接近中ということで、この週末は出かけるのを取り止め、代わりに、「積ん読」ならぬ「積ん聴」状態になっていたCDを聴いて過ごすことにしました。

最初に聴いたのは、最近気になるピアニストのひとり、ユジャ・ワンの演奏でストラヴィンスキー作曲『ペトルーシュカ』他が収録されたCDです。『ペトルーシュカ』はおそらく技術的に最高難度を誇る曲と思いますが、彼女の余裕ある演奏からは、この曲の技術的な難しさを一切感じません。躍動感があり、人形たちが楽しそうにくるくる踊っている様子が伝わってきます。

次に、やはりお気に入りのピアニストであるアンスネスの演奏でラフマニノフ作曲ピアノ協奏曲第3番と第4番。派手な仕掛けは全くない正統派の演奏で、バックを務めるパッパーノ指揮ロンドン・フィルの演奏共々充実のひとこと。
新潟に住んでいた頃、アンスネスという名前すら知らずに彼の演奏会へ行った時のことを思い出します。その時の感動が未だに私の中に残っていて、彼のCDを聴くたびによみがえります。

続いて、以前テレビでN響との共演を観てから気になっていたチェリスト、ミュラー=ショットによるドビュッシー作曲チェロ・ソナタ他を。なめらかで飾らないチェロの音は、まさに私の好みにぴったり!個性を売りにしているタイプではないようで、聴き終えた後も「お腹いっぱい」となるわけではなく、思わず「おかわり」をしたくなるような演奏でした。

最後は、バティアシヴィリのヴァイオリンでショスタコーヴィチ作曲ヴァイオリン協奏曲第1番。たっぷりとした美音で集中力高く弾き切る姿には、「襟を正して聴かなくては」と思わされてしまいます。

たまにはゆったりとした気分で、日ごろの疲れをとるのも良いことですね。

 

今朝のお供、
JAY-Z&カニエ・ウエスト(アメリカのミュージシャン)の『Watch The Throne』。
私はあまりヒップホップ音楽を聴かないのですが、このふたりがコラボレーションするとなれば話は別です。
金ピカのCDジャケットに負けない豪華なゲストをフィーチャーして、破壊力抜群の音楽がスピーカーから飛び出してきます。

(佐々木 大輔)

お久しぶりです

こんにちは。ご無沙汰しておりました。
また今日からお付き合いよろしくお願いいたします。

秋田は暑い日が続いていますね。
暑いのが苦手な私は、こう暑くなってくると、なかなか好きな音楽にもゆったりと浸れなくなってしまいます。
そこで、仙台時代に素敵な音楽をたくさん教えていただいた方へメールをしたところ、「モーツァルトの室内楽曲などはいかがでしょう」とのアドバイス。中でも「ピアノと管楽のための五重奏曲」がおすすめとのこと。残念ながら、その方が紹介してくださった演奏家のCDは我が家に無かったのですが、代わりにグルダのピアノとウィーンフィルハーモニー管楽アンサンブルによる演奏で楽しむことにしました。

モーツァルトの音楽とともに、カズオ・イシグロの小説『日の名残り』を読んで過ごしました。
旅に出た主人公が、その道すがら執事としての過去を振り返る様子を、静かに描いています。読みさしのため、どのような結末が待ち受けているのかはまだ分かりませんが、抑制の効いた描写には、かけた音楽の音量を上げると壊れてしまいそうな繊細さが満ちており、先を急がず、描かれている品格ある世界を少しずつ味わう方が良さそうです。

しおりをはさみ、本から顔をあげると、素敵な夕焼けが広がっていました。部屋にもオレンジ色が溢れる中、もう一曲、モーツァルトのクラリネット協奏曲をプリンツのクラリネット(ベーム指揮ウィーンフィル)で聴いているうち、私の休日も暮れていきました。

 

今朝のお供、
FOO FIGHTERS(アメリカのバンド)の『WASTING LIGHT』。
いまどき珍しくアナログで録音されたアルバムです。
その証拠に?CDにはマスターテープの断片がオマケとして封入されていました。
NIRVANA(ヴォーカリストが在籍していたバンド)という大きな過去を乗り越えて前に進もうという気迫が、「WALK」という曲から伝わってきます。

(佐々木 大輔)