カテゴリー「法律」の記事

相続法の改正

約40年ぶりに民法(相続法)が改正されました。残された配偶者の生活を保護するために「配偶者居住権」という新たな権利が創設されるなど、相続に関する規律が大きく変わります。

なお、今回の改正法は、自筆証書遺言の方式の緩和に関する部分は平成31年1月13日、配偶者居住権の新設等は令和2年4月1日に施行されるなど一部例外はありますが、大部分は今年(令和元年)7月1日に施行されました。
主な改正点として、「遺産分割前の預貯金の仮払い制度」、「遺留分制度に関する見直し」、「相続の効力等に関する見直し」、「特別の寄与分規定」などが挙げられます。

詳細は、当事務所のホームページをご覧ください。
http://www.taguchi-shihou.com/works/02-01.html

現時点において、改正法が社会にどのような影響を与えるのかは未だ不明ですが、当事務所としましては、皆様に最新の情報を提供できるよう態勢を整える所存です。

「相続」と「遺言」についてのセミナー報告

3月9日(土)、10日(日)の2日間にわたりアトリオンで開催された「第3回あきた終活フェア」(あきた終活支援センター主催)において、「相続」と「遺言」について講演をしてきました。私が当フェアで講師を務めるのは今年で3回目です。

当日は、多くの方々にお集まりいただきありがとうございました。準備していた座席を急遽増やすこととなったほか、立ち見でご聴講いただいた方もいらっしゃるなど盛況のうちに終えることができました。
今年の1月13日には自筆証書遺言に関する法改正があったため、例年よりも講演内容のボリュームが多くなったかとは思いますが、約1時間、熱心に耳を傾けてくださり、改めて皆様の「相続」や「遺言」に対する関心が高いことを強く感じた次第です。

当フェア成功のためご尽力された事務局の皆様及び関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

                                   (佐々木 大輔)

(写真は秋田魁新報社様より)

遺言(自筆証書遺言・公正証書遺言)

今回は、最近依頼が増えている遺言書について少しお話を。

遺言書を残すことで、法定相続分の修正をすることが可能となります。
例えば、相続人が配偶者(夫にとっての妻、妻にとっての夫)と子供が2人という場合、配偶者の法定相続分は2分の1となりますが、配偶者のみに全財産を相続させることも可能となります。
一方で、法定相続割合で相続させる場合でも、それを希望するのであれば、その旨書き残しておくことが望ましいでしょう。
また、遺言書には、「残された相続人のみんなで協力しながら仲良く暮らしてほしい」といった思いを残すこともできます。ただし、この部分には法的な効力はありませんので、「付言事項」という形で記載されることとなります。とはいえ、残された相続人の方々にとって、亡くなった方が明示した気持ちや思いというのは、大きな意味を持つものです。

ところで、遺言書は、民法に定められた方式に従って作成しなければ効力が生じません。民法で定められた遺言の方法には7種類ありますが、今回のブログでは、その中で活用されることの多い自筆証書遺言と公正証書遺言に絞って説明します。

(1)自筆証書遺言
自筆証書遺言の要件は、遺言の全文・日付・氏名を自書し、押印すること、です。

(2)公正証書遺言
公正証書遺言の要件は、以下のとおりです。
①証人2人以上が立ち会うこと。
②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授。
③公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させる。
④遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、押印する。
⑤公証人が、その証書は方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押す。

(3)自筆証書遺言のポイント
正確に作成するにはハードルがけっこう高いことです。厳格な形式を求められ、ミスがあると遺言書全体が無効になってしまう危険性があります。
また、被相続人が亡くなった後、原則として、家庭裁判所に相続人全員が集まって、「検認」という手続が必要となります。

※「検認」とは、相続人に対し、遺言が存在することとその遺言の内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日時点における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

(4)公正証書遺言のポイント
一般的に、専門家である弁護士又は行政書士が文案を作成し、この文案を基に公証人が公正証書の形式に調えます。

(5)遺言書作成業務
遺言書作成業務は弁護士又は行政書士の業務です。

(6)費用
専門家による調査及び文案作成の報酬のほか、戸籍等取寄せ等の経費がかかります。また、公正証書遺言の場合、公証人の手数料がかかります。
詳細につきましては、当事務所宛お問い合わせください。

遺言書の作成をご検討されている方は、どちらの方式で遺言書を残すのが適当であるのかも含めてご相談いただければアドバイスいたしますので、一度当事務所までご連絡ください。

(佐々木 大輔)