これまでとこれから
秋田市文化会館が9月30日をもって閉館しました。
思い出たくさんの文化会館。
その中でも特に印象に残っているイベントをいくつか思い出してみます。
まずひとつ目は、イングヴェイ・マルムスティーン(スウェーデン出身のギタリスト)のライブコンサート(1994年)。
高校1年の3月でした。
発売されたばかりのCDアルバム『THE SEVENTH SIGN』に伴うツアーで秋田に。
しかし先行販売ではチケットを入手できず、一般販売に最後の望みをかけ、真冬の朝4時、友人が秋田駅ウィロードのプレイガイドに並んでくれたのです。
おかげさまで私の分も含め4枚のチケットを無事入手。友人4人で仲良く観ることができました。
終演後、文化会館横の道路に多くのファンが集まって名残を惜しんでいると、イングヴェイが何度も楽屋の窓から顔を出し、ギターピックやライターなどの私物を投げてくれたのもいい思い出です。
そんなことをしているうちに帰宅時間が遅くなり、親に怒られたこともいい思い出・・・かな。
ふたつ目はSKID ROW(アメリカのバンド)のライブコンサート(1995年)。
高校3年の6月でした。
この時は、友人が親御さんの仕事の関係で取ってくれたチケットで(要はコネ?)、前から5列目くらいの席で観た記憶があります。
いつも友人頼みという他力本願な私。持つべきものは友ですね。
そしてライブ翌日、秋田ビューホテル(現ANAクラウンプラザホテル秋田)で私の親戚の結婚式があったのですが、同じホテルにSKID ROWのメンバーが宿泊していたため、ロビーでメンバーと会うことができたのです。
残念ながらヴォーカルのセバスチャン・バックと会うことはできませんでしたが、ドラムのロブ・アフューソ(こうしてすぐに名前が出てくるあたり、青春時代の記憶ってすごいと思う。)とは握手もしてもらいました。
そういえば足を怪我していて松葉杖をついていたなあ。どうやってドラムを演奏していたんだろう。
もうひとつは、藤原歌劇団でヴェルディのオペラ『椿姫』を観たこと(1998年)。
20歳の9月でした。
この前年にクライバー指揮のCD『椿姫』をきっかけにオペラに開眼し、あわせてゲオルギューが主役を歌うショルティ指揮コヴェントガーデン王立歌劇場の映像で『椿姫』に夢中になったことは、以前当ブログでも触れましたが、ついに『椿姫』の生舞台に触れることができたのです。
幕が開くと同時に押し寄せる合唱の圧力や、ピアニッシモでも会場の隅まで届くヴィオレッタの声。CDで聴いている時には気づかなかった迫力や美しさにとらわれて、観劇後数日間は夢見心地で過ごしていました。
幕切れの演出が慣例と違うものであったことから、開演前(終演後?)に演出家が、当の演出について解説してくれたことはぼんやり覚えています。
さて、これからは「あきた芸術劇場ミルハス」。
文化会館と県民会館をあわせて新たな文化芸術拠点となるホールです。
楽器と同じようにホールも育つもの。
ただし、ホールがより良く育つためには、県民の文化芸術度の成熟も必要かと思います。
今は開館記念のご祝儀として多くの優れた公演が催されていますが、“新しもの好き”と言われる秋田県民が飽きて関心を示さなくなれば、演者もまたしかりです。
中身の伴わない豪奢な箱物だけが残るようなことにしてはなりません。
素晴らしい公演とともにホールが育つ過程を見続けられることを楽しみにしています。
今朝のお供、
Måneskin(イタリアのバンド)の『Teatro d’ira: Vol. 1』。
イタリア語で歌われるロック。違和感なし。1曲目から駆け抜けること30分弱。久しぶりに若いバンドに心が躍りました。
(司法書士 佐々木 大輔)