11 相続土地国庫帰属制度

(相続に関する当事務所の取扱業務)

① 相続登記申請の代理
相続登記申請手続事務の相談
相続登記に関する審査請求手続(不服申立手続)についての代理

② 遺産分割協議書等各種文案書類の作成代理
契約書等各種文案書類作成の相談

③ 公正証書作成の手続代理
公正証書作成手続の相談

④ 「相続放棄」・「限定承認」の申立

⑤ 遺産分割協議の調停申立書作成(裁判所への申立)
遺産分割協議の訴訟書類作成
調停申立書・訴訟書類作成事務の相談

⑥ 相続土地の国庫帰属申請手続

(目次)

(1) 相続土地国庫帰属制度の意義

(2) 国庫に所有権を帰属させることができる土地とは

(3) 申請権者・手続の順序・申請方法・費用・申請代理人・相談先

(4) 所有権の国庫帰属時点

(1) 相続土地国庫帰属制度の意義

ア 制度の意義
相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により土地の所有権又は共有持分を取得した人が、その土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度です。

イ 制度の開始日
令和5年4月27日からスタートしました。

(2) 国庫に所有権を帰属させることができない土地

ア 次の土地は、所有権を国庫に帰属させることができません。
① 建物がある土地
② 担保権や使用収益権が設定されている土地
③ 他人の利用が予定されている土地
④ 土壌汚染されている土地
⑤ 境界が明らかでない土地
⑥ 所有権の存否や範囲について争いがある土地

イ 上記ア以外にも、所有権を国庫に帰属させることができない土地
① 崖(勾配が30度以上であり、かつ高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり、過分の費用又は労力を要するもの。
② 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
③ 除去しなければ、土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
④ 隣接する所有者その他の者との争訟によらなければ、通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの
⑤ 通常の管理又は処分をするに当たり、過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの

(3) 申請権者・手続の順序・申請方法・費用・申請代理人・相談

ア 申請権者

あ 単独所有者
対象土地を相続又は遺贈により取得した相続人であり、単独所有ある場合は、単独所有者から申請できます。

い 共有者
対象土地を相続又は遺贈により取得した相続人であり、共有である場合は、共有者全員から申請できます。

イ 手続の順序
① 事前相談(司法書士等の法律専門職又は法務局本局)
② 申請書の作成、提出(申請者本人又は司法書士等の法律専門職)
③ 要件の審査(法務局本局)
④ 承認(法務局本局)、負担金の納付(申請者)
⑤ 国庫帰属

* 審査に要する期間
約半年から1年程度

ウ 申請方法

あ 法務局本局の国庫帰属申請窓口に申請書を持参し申請する場合
法務局本局に連絡の上、申請者本人又は法定代理人(成年後見人等)が、申請書を持参することになります。

* 使者、代理人による申請
① 使者による申請書の提出は認められています。
② 代理人による申請書の提出は認められていません。

い 法務局本局へ郵送申請する場合
「国庫帰属の申請書」が入っていることを明記した「書留郵便」又は「レターパックプラス(書留扱い)」に申請書と添付書類を封入し、土地の所在する法務局本局へ送付します。

* ① 法務局の申請窓口
本局に限られており、支局や出張所では受け付けていません。

  ② 申請書の作成権限と申請
司法書士や弁護士等の法律専門職が申請書を作成することができ、かつ、使者として法務局本局へ申請することができるので、利用されると便利です。

エ 費用(審査手数料・負担金

あ 審査手数料
土地一筆当たりの審査手数料は、金14,000円です。

い 負担金
国庫帰属が認められた場合、負担金を納付する必要がある。負担金は、土地の性質に応じた標準的な費用を考慮して算出した10年分の土地管理費相当額をいいます。

* ① 計算方法 
法務省ウエブページに、負担金自動計算シートが掲載されています。

  ② 納付方法 
納入告知書を用い、日本銀行(本店、代理店、歳入代理店)に納入する必要があります。
* 法務局に現金を支払うことはできません。

オ 相談先
司法書士や弁護士等の法律専門職はもちろんのこと、法務局本局にも相談窓口が設置されています。

(4) 所有権の国庫帰属時点
負担金が納付された時点で、土地の所有権が国に移転します。

* 負担金を期限内(負担金の納入通知が到達した日から30日以内)に納付しなかった場合
国庫帰属の承認が失効します。