美酒に酔う

昨年末からいろいろな方のご厚意で、美味しい秋田の地酒を頂く機会が多くありました。

まずは、昨年末、秋田が世界に誇る企業今野商店(麹菌の製造販売)の今野社長様から教えていただいた天の戸(浅舞酒造)さんのお酒『天黒樽熟成』。『天黒』というお酒は知っていたのですが、『樽熟成』はその『天黒』をオーク樽で熟成させたお酒。『天黒』は焼酎などに使われる黒麹で仕込んだお酒で、その効果により生じたクエン酸由来の酸味が特徴のお酒です。その酸味がオーク樽で寝かせたことにより角が取れてまろやかになり、上手な例えが思い浮かばず悔しいのですが、レーズンのような甘酸っぱさに樽香が乗って、「これが日本酒!?」という衝撃的な味わいでした。

もうひとつの驚きは、新政酒造さんの『涅槃龜(にるがめ)』。
名前だけは知っていましたが、お初です。
最近は「お米をどれだけ磨いたか」という精米技術が話題となりますが、その流行にあえて逆らったかのような精米歩合90%(表層部を10%しか削っていない)、つまりほとんどお米を磨いていないお酒です。ちなみに、60%以下のお酒は「吟醸」を、50%以下のお酒は「大吟醸」を名乗ることができます。お米を磨くのは雑味が出ないようにするための作業とのことですので、磨きが少なければそれだけ雑味が残ってしまうのが道理でしょうが、飲んでみると近年の新政さんらしいきれいな味。品の良さの中にふっくらとしたお米の味がしました。

また、3月4日にはNHKのテレビ番組『プロフェッショナル』で、『雪の茅舎』などの銘柄で有名な齋彌酒造さんの杜氏高橋さんが取り上げられていました。私も大好きなお蔵のひとつで、毎年『美酒の設計』というお酒を楽しみにしているのですが、今はちょうど火入れ前の生酒が出る時期。今年の発売日は3月1日との情報を得た私は、放送後となると入手が難しくなると思い、発売と同時に今年の分を購入。いつ開けようか楽しみにしていたところ、先日、税理士長谷部光重先生が主催されている異業種交流会シーガルクラブで早速テーブルに並びました。
旬を外さない。さすが最良を知る光重先生です。多種多様なゲストの講話はもちろん、幅広い知識と教養に裏打ちされた光重先生のお話をうかがえるシーガルクラブは、私にとって貴重な学び場です。それも給食の充実した学校。
そのシーガルクラブの会場である割烹「大内田」さん。絶品のお料理とお酒を、趣味の良い器で頂くことができます。素敵なテーブルセッティングも毎回の楽しみ。そしてこの時期は何といっても自家製鰰(はたはた)すし。大内田さんの鰰すしを知ってしまった以上、他の鰰すしには手が伸びません。

このほかにも、裏阿櫻(阿櫻酒造)、山本アイスピンク(山本合名)、角右衛門ピンク(木村酒造)・・・美味しいお酒をたくさん頂きましたが、忘れてならないのは四十ウン年の人生で初めて飲んだひれ酒。お世話になっている方とお食事をご一緒した際にお勧めいただいたのですが、これが美味しかった!
またひとつ、大人の味を知ってしまいました・・・。

あ、私はただの呑兵衛ではありませんよ、念のため。すべては秋田の良さを知るための実地調査です。

今朝のお供、
Primal Scream(イギリスのバンド)の『XTRMNTR』。

                                   (佐々木 大輔)

「相続」と「遺言」についてのセミナー報告

3月9日(土)、10日(日)の2日間にわたりアトリオンで開催された「第3回あきた終活フェア」(あきた終活支援センター主催)において、「相続」と「遺言」について講演をしてきました。私が当フェアで講師を務めるのは今年で3回目です。

当日は、多くの方々にお集まりいただきありがとうございました。準備していた座席を急遽増やすこととなったほか、立ち見でご聴講いただいた方もいらっしゃるなど盛況のうちに終えることができました。
今年の1月13日には自筆証書遺言に関する法改正があったため、例年よりも講演内容のボリュームが多くなったかとは思いますが、約1時間、熱心に耳を傾けてくださり、改めて皆様の「相続」や「遺言」に対する関心が高いことを強く感じた次第です。

当フェア成功のためご尽力された事務局の皆様及び関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

                                   (佐々木 大輔)

(写真は秋田魁新報社様より)

オペラは優雅?

年が明けてバタバタとしているうち、あっという間に2月も下旬となってしまい、毎月下旬に更新するはずの当ブログも1月分はお休みしてしまいました。
当ブログを楽しみにしてくださっていた皆さん、申し訳ありませんでした。
遅くなりましたが今年もよろしくお願いいたします。

そんな慌ただしい毎日の締めくくりとして私が楽しみにしているのは、毎晩寝る前に聴くオペラです。
「オペラだなんて優雅ですねえ」と思われた方もいらっしゃると思いますが、最近聴いている作品は、ベルク作曲の『ヴォツェック』やバルトーク作曲の『青ひげ公の城』、R.シュトラウス作曲の『サロメ』など、ここで内容に触れるのは憚(はばか)られるような、優雅とは程遠いものなのです。寝る前に聴いて、よく悪夢にうなされないものだと自分に感心してしまうくらい。

では、なぜオペラばかり聴いているのか。
考えるに、どうやら先日アトリオンで上演されたプッチーニ作曲のオペラ『ラ・ボエーム』を聴きに行けなかったから(聴きに行かなかったから)その反動で、というのが原因のようです。秋田ではオペラの生演奏に触れられる機会はそうそうありませんから。その反動が勢い余って、ロマンティックな『ボエーム』とは対極にある凄惨な?内容のオペラに手が伸びているようです。

先日の『ボエーム』をパスした理由はいくつかあるのですが、ひとつには演奏会形式であったこと。演奏会形式とは、舞台装置などは一切なく、歌手、合唱団そしてオーケストラ――通常のオペラ上演では、オーケストラは、舞台と客席の間に設けられたオーケストラピットの中で演奏します――がステージ上に並び、オペラを「演奏」する形式のことです。せっかくのオペラなので、ちゃんとしたオペラの形として観たかったという私のわがままです。もちろん、せっかくの希少な機会だからこそ演奏会形式でも観に行けばよかったのに、というツッコミは受け付けます。

ちなみに、『ボエーム』は万人にオススメできるオペラです。
夢見る若き芸術家たちの悲恋物語で、全4幕を通じて美しいアリアが散りばめられている贅沢な作品です。
第1幕でさっそく歌われる名アリア「冷たい手を」(テノール)と「私の名はミミ」(ソプラノ)。
特に「冷たい手を」が大好きな私。力強くどこまでも伸びやかなパヴァロッティの歌声で聴くのが一番ですが、ステファノの甘い歌声も捨てがたい・・・。

あ~、書いているうち頭の中に『ボエーム』の旋律が溢れてきました。
四の五の言わず、やっぱり行けばよかったな。

今朝のお供、
アバド指揮ミラノ・スカラ座他によるヴェルディ作曲のオペラ『シモン・ボッカネグラ』。
通勤時はちょっと渋いこちらを。

                                   (佐々木 大輔)