アーカイブ:2023年3月

あきた芸術劇場ミルハス

先月今月と、続けて「あきた芸術劇場ミルハス」に行く機会がありました。

先月は青山学院大学陸上競技部原晋監督の講演会と司法書士制度150周年記念イベント(こちらには司法書士として運営に参加)。

そして今月は、念願かなってようやく演奏会を大ホールで聴くことができました。

読売日本交響楽団の演奏会で、モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲に始まり、メインがドヴォルザークの交響曲第9番「新世界から」という(昭和の香り漂う?)王道のプログラム。

しかし、当夜の真のメインプログラムは、前半に演奏されたガーシュウィンのピアノ協奏曲でしょう。

ソロを務めるピアニストは角野隼斗(すみのはやと)さん。

東大出身という異色のピアニストで、YouTubeでも“かてぃん”の名で活動し、その名を広く知られたピアニストです。

と書いてはみたものの、恥ずかしながら私は角野さんのことを最近まで存じ上げず、2021年のショパン国際ピアノコンクールを追ったドキュメンタリー番組を観て初めて知りました(角野さんはセミファイナリスト)。

会場には角野さんお目当てと思われる若い方々もたくさんおられたようで、クラシックの演奏会独特のしかつめらしい雰囲気はあまり感じられませんでした。

さて、肝心の演奏ですが、これが本当に素晴らしかった!

生粋のクラシックピアニストではあのような演奏にはならなかったんじゃないかなあ。

オーケストラも大奮闘。この手の曲は日本人にとって最も苦手とするところと思いますが、指揮者、ピアニスト、そしてオーケストラが一丸となって成功させようとする気合い、難曲に挑戦するスリル、音楽を奏でることへの純粋な喜びが伝わってきました。

予習と称して手持ちのCDを聴き込んで臨んだ演奏でしたが、第1楽章終結部は生で聴くとこんなにも迫力があるのかと興奮しましたし(思わず拍手しちゃった方々の気持ちもわからないではない)、第2楽章では高層階からニューヨークの夜景を眺めているかのような美しさにうっとり。第3楽章で角野さんはカデンツァに同じガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」を盛り込むなど遊び心も満載。

「なんて素敵な曲なんだろう」と曲そのものの良さを存分に感じることができた演奏でした。

あれ、そういえばオーケストラのチェロパートに遠藤真理さんもいらっしゃいましたよね?

これらの演奏を見事にまとめ上げた29歳の若き指揮者松本(しゅう)利音(りひと)さんについても触れないわけにはいきません。松本さんは珍しい名前の方ですが、なんと往年の名指揮者シューリヒトの奥さんが名付け親なんだとか。

指揮姿は若々しく、これからの成長を期待したい部分もありましたが、指揮者とオーケストラが互いに敬意を払い良好な関係を築いている様子が演奏からもよくわかりました。

その名に相応しい指揮者として飛躍されることを楽しみにしています。

最後に。ところどころ目をつぶり視覚からの情報を閉ざして演奏を聴いてみたところ(寝ていたわけではありませんよ。生音とオーディオで聴く音との比較です)、我が家のオーディオによる再生音も(もちろん生音には及ばないものの)なかなか悪くないな、と思えたこともまた収穫でした。


今朝のお供、

PINK FLOYD(イギリスのバンド)の『The Piper at the Gates of Dawn(夜明けの口笛吹き)』。

                              (司法書士 佐々木 大輔)