アーカイブ:2021年10月

モーツァルトで秋

前回のブログで、「今年はスポーツの秋に」と誓ったものの、やはり芸術の秋が恋しい私。

例年であれば、ブラームスやブルックナーの交響曲のように、重厚な音楽を聴きたくなるのですが、今年はなぜかモーツァルトの気分。爽やかな秋もいいものです。

なんて言ったものの、きっかけは先日手に入れたモーツァルトのレコードが気に入ったからという季節とはあまり関係ないもの。ボスコフスキー指揮ウィーン・モーツァルト・アンサンブルのセレナード全集(全10巻)の中から3枚、オリジナル盤(初回プレス盤)のレコードが手に入ったのです。これがまた肩肘張らずにリラックスして聴くことができる逸品で、秋の夜長にとても合うのです。

演奏するウィーン・モーツァルト・アンサンブルも楽しそう。

これらのレコードで指揮をするボスコフスキーは、ウィーン・フィルのコンサートマスターを務めた人物であり、ウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートを世界的に有名なイベントに成長させた立役者。演目の主要レパートリーを担う作曲家ヨハン・シュトラウス2世よろしく、ヴァイオリンを弾きながら1955年から1979年まで、ニュー・イヤー・コンサートを指揮していました。

その後、ニュー・イヤー・コンサートは指揮者マゼール(この人も多才で、前任者を踏襲し、余興としてヴァイオリンを弾きながら指揮していました。)が引継ぎ、1987年に指揮者カラヤンが登場してからは、毎年いろいろな指揮者がタクトを振ることで話題となっています(2002年には小澤征爾氏も指揮)。

閑話休題。

このような名演に接すると私の悪い癖である蒐集癖がうずきだし、セレナード全集をコンプリートしたくなります。オリジナル盤は入手困難なため、全てをオリジナル盤でそろえることは至難かと思いますが、再発盤(できればオリジナル盤に近い時期のもの)でもいいのでコレクションしたい。

ほかには大好きなオペラ『フィガロの結婚』と『コジ・ファン・トゥッテ』も楽しみました。こちらはベーム指揮による定番中の定番の演奏です。

オペラの内容自体はとるに足らないコメディ、どころか、オペラの中で繰り広げられる男女のやり取りが現実に起こり、それが現代のワイドショーあたりで取り上げられでもしたら、たちまち大炎上してしまうような不道徳なもの。

今では“オペラ”という“芸術”扱いにより、内容に目くじらを立てる人は(あまり)いませんが、そもそもオペラの題材なんて、ほとんどが切った張った惚れた腫れたの世界。ですから、紳士淑女の皆様には、なるべく人前で「オペラ鑑賞が趣味です」などとは口になさらぬようお勧めいたします。

それにしてもなぜモーツァルトは、(不道徳かどうかはさておき)男女の揺れ動く気持ち、「嫌よ嫌よも好きのうち」のような心の機微を、こんなにも見事に音楽で表現できるのでしょう。

ただ、オペラをレコードで聴くのは拷問に近い。

片面が終わるごとにリスニングポイントから立ち上がり、レコードプレーヤーのところへ。そして例えば『フィガロ』(4枚組)なら都合7回、盤の返しと取換えをしなければなりません。

でも、考えようによっては少しの運動?も兼ねられるので良しとしましょう。

今月は「芸術の秋」と「スポーツの秋」とのコラボレーションということで。


今朝のお供、

桑田佳祐の『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼きfeat.梅干し』。

                                   (佐々木 大輔)