アーカイブ:2011年9月

本といつまでも

皆さんにとって「幸せだなあ」と思うのはどんなときでしょう。
私にとっては、夜、ベッドに入って好きな本を開くその瞬間が、至福の時です。

当ブログでも、村上春樹や太宰治、カズオ・イシグロなど好きな作家をとり上げてきましたが、彼らのようないわゆる「純文学」と呼ばれるジャンルの作品だけではなく、エンターテインメント作品も大好きです。中でもミステリーは特別で、休日の前夜など、明日を気にしなくてもよい夜は、「今夜はこの1冊だけにしよう」と決心しておかなければ、2冊、3冊と読みふけってしまいます。

ミステリー好きの原点は、子供の頃夢中になって読んだ江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズにあります。父の読んでいた同シリーズが、祖父母の家に当時のまま揃えられており、幼い私は祖父母の家に遊びに行くと、いつも書斎に籠って読んだものでした。
乱歩が少年少女向けに書いた同シリーズ、とはいえ、そこは日本を代表する推理小説の大巨匠、子供だましや手抜きは一切ありません。
「ですます調」の柔らかく品の良い文章で書かれているものの、大人になった今読み返しても、夕暮れの描写や夜の闇に包まれた洋館が醸す怪しさには、思わず振り返り背後を気にしてしまうほど。
そういえば、小学校からの帰り道、小説の一場面を思い出し、「あの角を曲がった途端、そこに怪人二十面相がいるのではないか」と、風に草木がざわめく薄暮の中、身を縮めながら家路を急いだこともありました。

その後もコナン・ドイルやアガサ・クリスティなどの名作から、日本の乱歩賞受賞作まで、好きな作品を挙げるときりがありません。
また、中学生の頃は、綾辻行人ら京大推理小説同好会出身者を中心とした「新本格派ブーム」にもはまりました。

そんな懐かしい思い出と、新しく手にしたミステリー数冊によって、この連休はちょっと夜更かしをし過ぎたかな。

 

今朝のお供、
RED HOT CHILI PEPPERS(アメリカのバンド)の『I’m With You』。

(佐々木 大輔)