アーカイブ:2011年4月

裁判員制度の合憲性

先日、新聞に興味深い裁判の記事が載っていました。
すっかり定着した感のある裁判員制度に対して、「憲法違反ではないか」との訴えがあり、最高裁判所の大法廷がその合憲性を判断することになったという記事です。

裁判の対象となった事件とは、被告が、海外から覚せい剤を密輸したとして、覚せい剤取締法違反などの罪に問われたというものです。
この事件について、千葉地方裁判所で開かれた第一審の裁判員裁判では、被告に対し、懲役と罰金を科すとの判決が言い渡されました。
そこで被告側は、控訴審の東京高等裁判所に対し、「裁判官ではない裁判員が刑事裁判に関与するのは違憲」であると主張しましたが、「憲法は裁判官以外を裁判所の構成員とすることを禁じていない」として退けられたため、被告側が最高裁判所に上告したのです。
上告審で被告側は、裁判員を市民から抽選で決めることは、「地裁の裁判官は内閣が任命すると定めた憲法に反する」として、公平な裁判を受ける権利を侵害されたと主張しています。

今回、最高裁の裁判官15人全員で審理するため、大法廷に回されたことにより、裁判員制度について初めて最高裁の憲法判断が示されることになると思われます。
私たちにとっても少なからず影響のある裁判です。
審理の結果を待ちましょう。

(佐々木 大輔)