大鵬

先日、幕内最高優勝32回を誇る昭和の大横綱、大鵬が亡くなりました。秋田の老舗「菓子舗榮太楼」さんからお嫁さんをもらったこともあって、秋田にもゆかりのある方でした。
未だ歴代1位の座を譲らない優勝回数や2度の6連覇など、数々の記録を打ち立てた功績を称え、国民栄誉賞の授与が内定しています。

当然のことながら人気も絶大で、当時、通商産業省(現経済産業省)の官僚だった堺屋太一氏が記者会見で使用した「巨人、大鵬、卵焼き」(大鵬本人は好ましく思っていなかったとのことですが)のキャッチコピーや、取組時間には銭湯から人が消えると言われたことなど、その人気ぶりを示すエピソードには事欠きません。

私は、大鵬の取組をリアルタイムで観たことはありません。過去のVTRで触れることができるのみですが、懐の深さと柔軟な取り口で、いつの間にか自分の流れに持ち込み、得意のすくい投げで勝負を決する姿は、まさしく相撲の妙。

一方で、天才と呼ばれることを嫌い、常々「人より努力をしたから強くなった」と話していたそうです。その華やかな功績を支える実直な姿勢も、人々に好かれた要因だったのでしょう。

今年の初場所は、若貴なきあとの角界人気を支えた元小結高見盛の引退など、他にも寂しい話題がありました。
それでも、「美しい横綱」は、大鵬から貴乃花を経て、現在の白鵬へと受け継がれています。もう少し先のことになるかとは思いますが、この系譜に連なる新たな横綱の誕生をゆっくり待つのも、相撲ファンの楽しみですね。

 

今朝のお供、
ドナルド・フェイゲン(アメリカのミュージシャン)の『The Nightfly』。
音はもちろんのこと、ジャケットデザインが大好き。
週末(できれば土曜日)の夜、アナログ盤のジャケットを眺めながら、ウイスキー片手に聴きたくなる名盤です。

(佐々木 大輔)