春なのに

新型コロナウイルスが猛威を振るい、感染者数が急増しています。
東京オリンピック・パラリンピックの延期も決まり、多くのイベントが延期あるいは中止されています。
その結果、経済的に本当に苦しい日々を送られている方々がたくさんいらっしゃることも存じています。
社会を覆う自粛ムードが、皆さんの心身を疲弊させていることも十二分に感じています。

それでも。
これ以上の感染拡大を防ぐためには、私を含め各人が、今一度、自らの行動を見直すことが必要でしょう。
「うつらない」ことはもちろんですが、「うつさない」ことをもっと意識しなければなりません。
軽率な行動を慎み、今できることを少しずつ積み重ねることが、自分の、誰かの、そして大切な人の健康や命を守ることになります。

「桜は必ず来年も帰ってきますが、亡くなった方の命は絶対に戻ってはきません」。
先日、NHKのニュースで取り上げられていた山中伸弥教授の言葉をしっかりと受け止め、責任ある行動により、一日も早く、お花見も旅行もエンターテインメントも、心から楽しめる日々を迎えられることを願っています。

今朝のお供、
オーネット・コールマン(アメリカのジャズミュージシャン)の『Dancing in Your Head』。
プリミティヴなエネルギーに満ち溢れた音楽で、少しでも元気を。
そして、音楽を愛した日本最高のコメディアンに捧ぐ。

                                   (佐々木 大輔)

ショパン・コンクール

今年は5年に1度のショパン国際ピアノ・コンクール(ショパン・コンクール)の年。
ショパン・コンクールは世界最高峰のコンクールのひとつとして広く知られています。

過去には、マウリツィオ・ポリーニ(第6回1960年)、マルタ・アルゲリッチ(第7回1965年)、クリスティアン・ツィメルマン(第9回1975年)といった錚々たるピアニストが優勝しています。また、1985年に優勝したブーニンの日本における熱狂的な人気ぶりをご記憶の方も多いのではないでしょうか。

ショパン・コンクールは予選からファイナルまで、一貫してショパンの楽曲のみを演奏します。そこで、(技術的に少々難があっても)魅力的なショパンを演奏するピアニストを評価するのかそれとも総合的にみてハイレベルなピアニストを評価するのかということが問題となり、ショパンの解釈については「ロマンティック派」を推すのか「楽譜に忠実派」を推すのかということが問題になります。
「正しい演奏とは何か」とは永遠の課題であり、青柳いづみこ氏の著書によると、それは多分に政治的な駆け引きの中で揺れ動き、若き才能を発掘するはずが、審査員同士の争いに化けてしまうこともしばしばというちょっと嫌な現実も。
そもそも“芸術”に点数をつけること自体に無理があると言えばそれまでかもしれませんが。

ところでショパン・コンクールは、開始当初から是が非でもショパンの祖国ポーランドから優勝者を輩出したいという思惑がありながら、第1回大会ではソ連のピアニスト(レフ・オボーリン)が優勝するという幕開けでした。それは、冷戦真っただ中のソ連が、国の文化的威信をかけて開催したチャイコフスキー国際コンクールの第1回大会(1958年)ピアノ部門において、アメリカ人であるヴァン・クライバーンが優勝したのと似たようなものでしょうか。
その後ショパン・コンクールは、ソ連とポーランドのピアニストの優勝が続き、第6回大会で初めて西側(イタリア)のピアニストであるポリーニが優勝したという経緯があります。

どうしても政治的な色を帯びてしまうのは、国レベルでもそれだけ重要なコンクールであることの表れとは思いますが、審査の裏側を覗いてしまうと、純粋にコンクールを見ることができなくなってしまうのは悲しいものです。
それでも私は、私情も政治もねじ伏せるだけの圧倒的な才能の出現を毎回期待しています。
そしてコンテスタントの皆さんには、結果に一喜一憂することなく、自分の才能を信じて、将来にわたり素晴らしい演奏を聴かせてもらいたいと願っています。

今朝のお供、
マウリツィオ・ポリーニの演奏によるショパンの『練習曲集』。

                                   (佐々木 大輔)

新年

あっという間に月末ですが、今年もよろしくお願いいたします。

気がつくと1月ももう終わり。今年も12分の1が過ぎていきます。決してボーっと生きていたわけではないのですが、今日が何日で何曜日かも忘れちゃうような毎日を過ごしております。

誕生日プレゼントに頂いたスパークリングワインもまだ開けることができず、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートも録画したまま未視聴。これはせっかくなので頂いたスパークリングワインを飲みながら視聴したいものです。
今年の指揮者はアンドリス・ネルソンス。私と同い年。現在ウィーン・フィルと最も親密な関係を築いている指揮者と言われています。
今年生誕250年のアニヴァーサリーイヤーであるベートーヴェンの楽曲が演奏されるなど、例年のニューイヤーコンサートとは一味違ったプログラムとなっているとのこと。すでに視聴されたクラ友(クラシック音楽好きの友人)さん達の評判も上々のようなので、ますます楽しみ。

そういえば、先日、久しぶりにお店でCDを購入しました。しかも私にしては珍しくジャズのCDを。普段はレコードばかりをインターネットで購入しているので、直接CD屋さんに行くのも久しぶり。しかしながらその品揃えは寂しい限りで・・・。デジタル配信全盛の今にあっては仕方ないのでしょうね。時代の移り変わりを感じ、少し悲しい気持ちで帰路につきました。

ほかにパッと思い出せるのは、手帳用に使用している万年筆のインクを入れ替えたことくらい(毎年恒例?今年の色はパイロットの色彩雫「山葡萄」にしました)。
あ、もちろん、今月のシーガルクラブにて、秋田今野商店(麹菌の製造販売)の今野社長様から伺ったレクチャーの内容はしっかり覚えています。

美術館を巡ったり、花鳥風月を愛でたり、チコちゃんに叱られてもいいから、たまにはボーっと過ごしてみたい。

今朝のお供、
アート・ペッパー(アメリカのジャズミュージシャン)の『Art Pepper Meets the Rhythm Section』。

                                   (佐々木 大輔)