こんにちは。田口司法事務所です。
突然ですが、皆さんは1ヵ月にCDをどのくらい購入しますか?
去る8月22日、HMV渋谷が閉店しました。
HMV渋谷は、全世界CDチェーン店であるHMVの日本第1号店として、1990年に開店しました。
90年代には、小沢健二、ピチカートファイヴなどのミュージシャンたちがこの渋谷店により紹介され、“渋谷系”と呼ばれる音楽が人気を博したことを懐かしく思い出される方も多いのではないでしょうか(特に私と同世代)。
閉店の原因には、最近のCD不況があると言われています。
CD全体の売上額が10年前の半分以下に落ち込んでいるとのこと。
代わりに、ネット上で音源だけを購入(ダウンロード)し、iPodなどのデジタルオーディオプレイヤーで音楽を聴くのが主流なのです。
かくいう私もiPodを愛用していますが、実は音楽をダウンロードしたことはなく、専ら手持ちのCDなどを取り込んで外出先へ“持ち運ぶ”道具として使用しています。
ポケットにCD500枚分の音楽を入れて歩けるのですから、たしかに素晴らしい発明です。
しかし私は、音楽をデータとしてではなく、形として手元に置いておきたいという気持ちが強く、ジャケットを眺めながら、あるいは歌詞や解説を読みながら音楽を聴くのが好きなのです。
ダウンロード派からは、「CDの保管場所も必要ないし、ジャケットもダウンロードできるから問題はない」との反論が聞こえてきそうですが。
さらに最近、レコードで音楽を聴くことも多くなってきた私などは、完全に時代に逆行している人間なのでしょう。
時代遅れと言われても、私は仕事帰りにCDショップを覗き、仙台でお世話になったレコード店のホームページで掘り出し物が入荷していないかチェックするのです。
今朝のお供、
ビリー・ジョエルの『ニューヨーク52番街』。
1982年、世界で初めてCDとして発売されたアルバムです。
(佐々木 大輔)
こんにちは。田口司法事務所です。
週末、食道癌を克服した小澤征爾の特集番組をテレビで観ました。
今月のサイトウ・キネン・フェスティバルで復帰コンサートを行う予定でしたが、残念ながら今度は持病の腰痛が悪化してしまい、結局コンサートは代役を立て、自身は冒頭7分間チャイコフスキーの『弦楽セレナード』を指揮するだけの復帰になってしまいました。
その演奏、小澤自身の無念さが伝わると同時に、7分間にかける情熱の凄まじさが、室内楽的な精緻さを保ちながらも圧倒的なうねりとなって放射されていたように私は聴きました。
小澤征爾といえば、誰もが知る世界を代表する指揮者です。
ウィーン国立歌劇場の音楽監督のポストをはじめ、ベルリン・フィル、ボストン交響楽団など世界一流のオーケストラを指揮してきました。
ウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートを指揮したことをご記憶の方も多いでしょう。
しかし、その地位にいたるまでには、想像を絶する努力がありました。
ある本によると、小澤は世界中を飛び回る激務の日々を送りながらも、毎朝5時に起床し、机に向かって楽譜を読む。「勉強しなければ、指揮者を辞めなければならない」という指揮者人生を賭けた孤独な戦いを、75歳を迎えた今でも続けているのだそうです。
もちろん才能がものをいう世界でしょうが、それを支える「持続する力」に、私は敬服します。
一方、それだけ自分に厳しい人でありながら、気さくで人懐っこい人柄は、「本当に世界のオザワ?」と思わず目を疑うくらい。
カラヤン、バーンスタインという20世紀を代表する(しかもライバル関係にある)大指揮者両者の弟子であったことも、彼の人間性あってこその奇跡かな、と思います。
最後に。小澤征爾の演奏で好きなものと聞かれて私が真っ先に思いつくのは、サイトウ・キネン・オーケストラを指揮したブラームスの交響曲第1番です。
万年青年のような小澤らしい、若々しい情熱と瑞々しい感性にあふれた演奏だと思います。
(佐々木 大輔)
こんにちは。田口司法事務所です。
今年はショパンのメモリアル・イヤーです。テレビでもラジオでもショパンの音楽を耳にする機会が多いですね。今年の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(熱狂の日)」のテーマもショパンでした。
ショパンといえば、思い出すのは法科大学院時代に音楽が好きな友人と集まって、勉強の合間におこなっていた試聴会のことです。
ある回のテーマはショパン。あまりショパンを好まないというある友人のために、各人お気に入りのピアニストのCDを持ち寄り、その友人に紹介するというものでした。
聴き比べに選んだ曲はピアノ・ソナタ第2番。
以下、その時の様子です。
「ショパンといったらホロヴィッツ。ホロヴィッツ好きでしょ?」
CDをかけて演奏を聴く。
「やっぱりホロヴィッツ良いね。でも、これはショパンを聴いたというよりホロヴィッツを聴いたという感じがする」
「そう?だったらルービンシュタインなんかどう?」
聴く。
「う~ん、ちょっと明るくて健康的すぎるような・・・。そうだ、祖国を思う熱い心を持った激情家としてのショパンを表現したような演奏はないかな?」
「それならアルゲリッチがいいんじゃない?彼女の演奏には野生動物のようなしなやかな力強さがあるよ。音楽を極限まで追い詰めるような激しさは、まさに激情家としてのショパンを表していると思うよ」
・・・・・・
このようにして、毎回話は尽きることなく、夜が更けていくのでした。
※あくまでも一介の音楽ファンによる自由な会話ですので、軽く受け流していただけると幸いです。
(佐々木 大輔)