アーカイブ:2011年2月

1票の価値

1月25日、仙台高等裁判所秋田支部において、昨年7月の参院選で生じた1票の格差が、「違憲状態」であるとの判決が出されました。全国8高裁6支部で選挙無効を求めた裁判のうちのひとつです。
同日の福岡高裁那覇支部では同じく違憲状態、高松高裁では昨年の東京高裁(午後の部)に次ぐ2件目の「違憲」判決が出されました(1月28日の福岡高裁でも「違憲」判決)。
投票価値の不平等が一般的に合理性を欠く状態であれば違憲状態と判断され、これが合理的な期間内に是正されない場合には違憲となります。
ただし、選挙無効の請求は、いずれの裁判においても棄却されています。

私たちは20歳以上であれば、1人1票の選挙権が与えられています。これだけを見ると、投票価値の平等は守られているのではないか、と思いますよね。しかしこれは形式的な平等であって、実際には住んでいる地域によって、投票価値に不平等な状態が生じているのです。
私の住んでいる秋田県を例にとると、鳥取県を1票とした場合、先の参院選では0.52票しかありませんでした。
これはどういうことかというと、鳥取県の有権者が投じた1票に対して、私が投じた1票は半分の価値しか無かったということです。
もちろん私は、少しでも日本が良くなればという願いを込めて1票を投じたわけですが、残念ながら私の切なる声は、鳥取県の有権者の声に比べると半分の重さでしか受け止めてもらえなかったということなのです。
悔しいと思いませんか(決して鳥取県の有権者を恨んでいるわけではありません)。
そしてこれは、悔しいという感情論ばかりで済む問題ではなく、結果として「重みのある1票」を与えられた一部の有権者によって選出された議員が、法律を制定したり、総理大臣を選出したりするという、非民主主義的な状態を生むことになるのです。
一方で、地域の実情もあるでしょうから、調整は必ずしも簡単ではないとも思われます。
しかしながら、いかに難しい問題であろうとも、法律家などの専門家に解決を任せきりにするのではなく、私たちも一緒になって、法の下に平等であることを保障した憲法第14条を守っていかなければならないのです。

 

今朝のお供、
THE DOORS(アメリカのバンド)の『ハートに火をつけて』。
思い入れのあるロック・アルバム10枚に入るCDです。
私の部屋には、ヴォーカリストであるジム・モリソンのポスターが飾ってあります。

 

(佐々木 大輔)