一流であり続けること
こんにちは。田口司法事務所です。
週末、食道癌を克服した小澤征爾の特集番組をテレビで観ました。
今月のサイトウ・キネン・フェスティバルで復帰コンサートを行う予定でしたが、残念ながら今度は持病の腰痛が悪化してしまい、結局コンサートは代役を立て、自身は冒頭7分間チャイコフスキーの『弦楽セレナード』を指揮するだけの復帰になってしまいました。
その演奏、小澤自身の無念さが伝わると同時に、7分間にかける情熱の凄まじさが、室内楽的な精緻さを保ちながらも圧倒的なうねりとなって放射されていたように私は聴きました。
小澤征爾といえば、誰もが知る世界を代表する指揮者です。
ウィーン国立歌劇場の音楽監督のポストをはじめ、ベルリン・フィル、ボストン交響楽団など世界一流のオーケストラを指揮してきました。
ウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートを指揮したことをご記憶の方も多いでしょう。
しかし、その地位にいたるまでには、想像を絶する努力がありました。
ある本によると、小澤は世界中を飛び回る激務の日々を送りながらも、毎朝5時に起床し、机に向かって楽譜を読む。「勉強しなければ、指揮者を辞めなければならない」という指揮者人生を賭けた孤独な戦いを、75歳を迎えた今でも続けているのだそうです。
もちろん才能がものをいう世界でしょうが、それを支える「持続する力」に、私は敬服します。
一方、それだけ自分に厳しい人でありながら、気さくで人懐っこい人柄は、「本当に世界のオザワ?」と思わず目を疑うくらい。
カラヤン、バーンスタインという20世紀を代表する(しかもライバル関係にある)大指揮者両者の弟子であったことも、彼の人間性あってこその奇跡かな、と思います。
最後に。小澤征爾の演奏で好きなものと聞かれて私が真っ先に思いつくのは、サイトウ・キネン・オーケストラを指揮したブラームスの交響曲第1番です。
万年青年のような小澤らしい、若々しい情熱と瑞々しい感性にあふれた演奏だと思います。
(佐々木 大輔)