8 成年年齢引下げ

(目次)

1 成年年齢引下げ(令和4年4月1日から施行)

2 成年年齢引下げに伴う疑問点

1 成年年齢引下げ(令和4年4月1日から施行)

(1) 民法の定める成年年齢の意味
民法が定める成年年齢を18歳に引き下げると、18歳に達した者は、一人で有効な契約を締結することができ、また、父母の親権に服さなくなることになります。

① 「一人で有効な契約を締結することができる年齢」という意味は
法改正前は、未成年者が契約を締結するには父母の同意が必要であり、同意なくして締結した契約は、後で取り消すことができましたが、今後は、単独で有効な契約を締結することができます。

② 「父母の親権に服さなくなる年齢」という意味は
法改正前は、父母は未成年者の監護及び教育をする義務を負っていましたが、今後はその義務がなくなります。

(2) 女性の婚姻開始年齢
18歳に引き上げられました。

* これまでは、結婚できる年齢が男性18歳、女性16歳とされていましたが、男女共18歳にならなければ結婚することができないことになりました。

2 成年年齢引下げに伴う疑問点

(1) 成年年齢と女性の婚姻開始年齢は、いつから18歳になるのか?

 改正法施行日である令和4年4月1日の時点で、18歳以上20歳未満の方(誕生日が2002年4月2日から2004年4月1日までの方)は、施行日に成年に達することになります。誕生日が2004年4月2日以降の方は、18歳の誕生日に成年に達することになります。

 女性の婚姻開始年齢引上げについても、令和4年4月1日から施行されます。なお、令和4年4月1日時点で既に16歳以上の女性(誕生日が2006年4月1日までの女性)は、引き続き、18歳未満でも結婚することができます。

(2) お酒やたばこが解禁される年齢も18歳になるのか?

 民法の成年年齢が18歳に引き下げられても、お酒を飲んだり煙草を吸ったりすることができるようになる年齢は、20歳のままです。

 公営競技(競馬、競輪、オートレース、モーターボート競走)の年齢制限についても、20歳のまま維持されます。

* これらは、健康面の影響や非行防止、青少年保護などの 観点から、従来の年齢要件を維持することとされています。

(3) 消費者トラブルに巻き込まれた場合や困ったことが起きた場合は、どこに相談すればよいか?
消費者トラブルに巻き込まれた場合や困ったことが起きた場合は、次の窓口に相談してください。

 消費者ホットライン「188」
地方公共団体が設置している身近な「消費者生活センター」や「消費者生活相談窓口」を案内しています。

 日本司法支援センター(通称:法テラス)
法的トラブルの解決に役立つ法制度や相談窓口を無料で紹介します。

* TEL:0570—078374
IP電話からは:03-6745-5600
【平日】
午前9時~午後9時
【土曜日】
午前9時~午後5時

* 祝日・年末年始を除く。

* メールによるお問合せは、法テラスホームページで24時間受け付けています。

(4) 成年年齢が引き下げられた場合には、養育費の支払期間は18歳までになるのか?
直ちに養育費の支払期間が18歳までになるわけではありません。

* 理由
養育費の存否及び具体的内容は、子が未成熟で自ら働いて経済的に自立することを期待することができない場合に、両親の経済状況等の個別の事情を踏まえて判断されるものであり、その支払義務があるのは、子が未成年である場合に限定されるものではありません。

(5) 既に「子が成年に達するまで養育費を支払う」といった合意がなされている場合には、成年年齢の引き下げにより、養育費の支払期間が変更されるか?
改正法が施行され、成年年齢が引き下げられたとしても、一般的には、養育費の支払期間が変更されるものではなく、従前どおり20歳まで養育費の支払義務を負うことになります。

* 

① 法改正前に既に確定している養育費の審判で「成年に達する日が属する月まで」としているものについて?
審判確定時の成年年齢である20歳まで養育費を支払うという内容であるとされる場合が多いです。


② 今後、新たに養育費に関する合意をする場合の注意点
支払期間についての争いが生じないように、「22歳に達した後の3月まで」というように、明確にしておくべきです。

(6) 成年年齢の引下げによって、成人式に影響があるか?
「成人式の対象年齢・時期・あり方」に関しては、法律による定めはなく、各自治体の判断に任されています。