2 ストーカー行為警告書

(当事務所の取扱業務)

① 「刑事告訴状・告発状」等検察庁へ提出する書類の作成
それらの書類作成事務の相談

② 「告訴状・告発状」・「ストーカー行為警告書」・「児童虐待防止申立書」 等警察署へ提出する書類の作成代理
提出手続の代理
警告書等作成の相談

③ 「DV防止法に基づく地方裁判所への保護命令申立書」の作成
保護命令申立書作成事務の相談

(目次)

(1) ストーカー行為等の規制に関する法律の略称と施行

(2) ストーカー規制法の目的と法律の規定

(3) ストーカー行為の具体的意義

(4) つきまといの被害者の申出でを受けて

(5) 具体的対応例

(6) ストーカー行為があったとき

(7) 改正ストーカー規制法の施行(平成25年10月3日)

(1) ストーカー行為等の規制に関する法律の略称と施行
「ストーカー規制法」と略称されています。この法律は、平成12年11月14日施行されました。


(2) ストーカー規制法の目的と法律の規定
特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨(えんこん)の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系もしくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者(例:恋人、会社の同僚・上司)に対し面会の強要、無言電話等による「つきまとい等」を行い、その者に「身体の安全、住居等の平穏もしくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安」を生じさせることを禁止し(ストーカー規制法3条)、同一の者に対して、つきまといを反復する「ストーカー行為」を処罰する(ストーカー規制法2条2項)ことが、ストーカー規制法の目的です。


(3) ストーカー行為の具体的意味
この法律でいうストーカー行為とは、同一の者に対し、つきまとい等(下記の①ら④までに掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る)を反復してすることと規定されています。

・ つきまとい等とは、特定の人物に対する恋愛感情や好意の感情が満たされなかったことによる怨恨(えんこん)の感情を充足させるために、本人、その配偶者、親族などに対し、以下のような行為をなすことと規定されています。

① つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居・勤務先・学校などの付近において見張りをしたり、そこへ押し掛けたりすること。

② 行動を監視していると思わせるような事柄を告げること。

③ 面会・交際など、義務のない行為を要求すること。

④ 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。

⑤ 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して電話をかけること。また、連続してファックスを送信すること。

⑥ 汚物・動物の死体など、著しく不快で、嫌悪の情を催させるような物を送付すること。

⑦ 名誉を害する事柄を告げること。

⑧ 性的羞恥心を害する事柄を告げること。また、性的羞恥心を害する文書・図画などを送付すること。

⑨ 相手に拒まれても繰り返し電子メールを送信する行為(執拗《しつよう》な電子メール送付行為)。

* 付帯説明

(ⅰ) 被害者の住所地はもちろんのこと、加害者の住所地の警察も警告や禁止命令を出せます。

(ⅱ) 警察が、警告を出したら被害者に知らせ、警告しない場合は理由を書面で通知します。


(4) つきまといの被害者の申出を受けて、警察本部長は、行為者に対して、

第1 「警告」を発します。

第2 警告を発しても効果がないときには、「聴聞を経た上で公安委員が禁止命令」を発します。


(5) 具体的対応例

① ストーカーが収集した被害者の写真及びそのネガを廃棄する。

② 緊急性があるときには、警察本部長が「仮の禁止命令」を発することもできる。

③ 禁止命令等の違反は処罰される。

④ ストーカー行為、つきまとい等の被害者が申し出でたときには、警察本部長等は必要な援助を行う。

・これには、被害者がストーカーと対決するときの立会いなども含まれる。


(6) ストーカー行為があったとき
被害者は、まず警察に相談に行き、ストーカー行為警告申立、警察による警告、援助を求めることになります。


(7) 改正ストーカー規制法の施行(平成25年10月3日施行)

ア 長崎県西海市や神奈川県逗子市などで相次いだストーカー殺人を教訓に、つきまとい行為への取り締まりを強化する改正ストーカー規制法が平成25年10月3日に施行されました。同法の改正は2000年の成立以来初めてです。つきまといに苦しむ人の保護策を進め、凶悪事件を未然に防ぐことが目的です。

イ 過去のストーカー殺人事件では、被害者の相談を受けながら凶行を防げなかった警察の対応が度々批判されてきました。

・ そのため、改正法は警察が被害の申し出を受けたのに警告を出さない場合、その理由を被害者に書面で通知することを義務付けました。

・ 警告した際も、警告申立人に対し速やかに知らせることや、警察のより積極的な対応と、丁寧な説明を促すのが狙いです。

・ さらに、警告や禁止命令は、加害者の住む地域やつきまといの現場を管轄する警察や公安委員会でも出せるようにしました。

* 従来は、被害者の居住地でしか出せず「相手に居場所を知られてしまう」と、申し出をためらう人が少なくありませんでした。

ウ 改正法は、しつこい電話やファックス送信などのほかに、執拗なメールもつきまとい行為に追加しました。なお、メールの規制は、先行して、平成25年7月に施行されています。

エ 一方で、会員制交流サイト(SNS)への書き込みを悪用したインターネット上のつきまといなどは対象外のため、改正法は今後の規制の在り方を検討する協議会の設置を付則に盛り込みました。

オ ストーカー規制法の主な改正ポイント

① 警察が警告を発しない場合には、その理由を被害者に書面で通知するよう義務化しました。

② 被害者の住所を知られないよう、加害者の住所地やつきまといの現場を管轄する警察も警告を出せるように拡大しました。

③ 「しつこいメール」をつきまとい行為に追加しました。(平成25年7月に先行施行されています。)

④ ストーカー行為等の相手方に対する支援(婦人相談所その他適切な施設による支援)

⑤ 今後のストーカー規制の在り方を検討する協議会を設置しました。