5 マイナンバー制度(参考)

(目次)

(1) マイナンバー制度の意義等について

① マイナンバー制度の意義

② 番号の付与

③ マイナンバー法の正式名称

(2)「法人番号」と「個人番号」の相違点について

(3) マイナンバー導入による企業への影響について

(4) マイナンバーが利用できる範囲について

(5) マイナンバーを追記しなければならない書式について

(1) マイナンバー制度の意義等について

ア マイナンバー制度の意義
マイナンバーとは、「社会保障・税番号制度」のことで、平成28年1月より、全国民を対象に利用が開始される番号制度のことです。

・マイナンバーは、住民票コードを基本にした「行政を横断する統一番号」として生成されており、交付に国が強く関与する法定受託事務とされたので、国民の利便性が高まることが期待されています。

* 法定受託事務の意義
法定受託事務とは、本来その実施が、国又は都道府県の義務に属す事務であるが、国民の利便性や事務処理の効率性などの観点から、国から都道府県又は市町村に、あるいは都道府県から市町村に委ねられた事務をいいます。

イ 番号の付与
番号の付与の方法は、下記のとおりです。

① 個人の場合
住民票を持つすべての国民に対し、12桁の番号が付与されます。

② 法人の場合
法人に対しては、法人番号が付与されます。

ウ マイナンバー法の正式名称
マイナンバー法の正式名称は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」といいます。


(2) 法人番号と個人番号の相違点について
法人番号と個人番号の相違は、下記のとおりです。

① 法人番号

(ⅰ) 管轄

国税庁

(ⅱ) 桁数

13桁(全て数字)

(ⅲ) 対象

設立登記された法人

(ⅳ) 送付場所

登記上の本店の所在地

(ⅴ) 番号の公開

公開

* インターネット等で公開されます。

(ⅵ) 利用制限

(ⅶ) 利用開始

平成28年1月から利用開始

* ただし、申告書提出分より利用開始

(ⅷ) 番号変更

原則としてできません。

② 個人番号

(ⅰ) 管轄

総務省・市町村

(ⅱ)桁数

12桁

(ⅲ)対象

住民票を有する全国民

(ⅳ)送付場所

住民票上の住所地

(ⅴ)番号の公開

非公開

* 厳重に取り扱われます。

(ⅵ)利用制限

有ります。

* 「a 社会保障・b 税金・c 災害対策」の3つの分野で利用されます。

(ⅶ)利用開始

平成28年1月より利用開始

(Ⅷ)番号変更

原則としてできません。


(3) マイナンバー導入による企業への影響について

ア 企業におけるマイナンバーの利用方法
企業において、マイナンバーは、「社会保険や雇用保険の加入手続・退職時の源泉徴収票への記載」等、日常的な人事労務手続に際して、従業員からマイナンバーを提供してもらう必要があります。

イ マイナンバー導入による企業の負担
マイナンバー導入により、企業への「短期的・中長期的な負担」は、下記のようになると思われます。

① 企業への短期的負担

(ⅰ) 総務業務

増加する。

(ⅱ) 企業の支出

増加する可能性がある。

(ⅲ) 書類の数

変わらない。

(ⅳ) 行政の手続

少し楽になる。

(ⅴ) 採用手続

手間が掛かる。

② 企業への中長期的負担

(ⅰ) 総務業務

減少する。

(ⅱ) 企業の支出

減少する。

(ⅲ) 書類の数

減少する。

(ⅳ) 行政の手続

楽になる。

(ⅴ) 採用手続

手間が減少する。


(4) マイナンバーが利用できる範囲について
企業の労務管理実務では、主に下記の3つの分野で利用されます。

① 社会保障分野

(ⅰ) 年金分野
年金の資格取得・確認、給付を受ける際

(ⅱ) 労働分野

a 雇用保険等の資格取得・確認、給付を受ける際

b ハローワーク等の事務等

(ⅲ) 福祉・医療・その他の分野

a 医療保険等の保険料徴収等の医療保険者における手続

b 福祉分野の給付

c 生活保護の実施等低所得者対策の事務等

② 税分野

(ⅰ) 国民が税務署に提出する確定申告書・届出書・調書等に記載

(ⅱ) 税務署の内部事務

③ 災害対策分野

(ⅰ) 被災者生活再建支援金の支給に関する事務等

(ⅱ) 被災者台帳の作成に関する事務等


(5) マイナンバーを追記しなければならない書式について
マイナンバーは、「社会保障分野」や「税分野」における様々な手続を行う際に、書類に記載しなければならなくなります。