5 遺留分・相続回復請求権

(当事務所の取扱業務)

① 遺産分割協議書等文案書類の作成代理、文案書類作成の相談

② 官公署への届出書の作成、提出手続代理、届出書作成の相談

③ 家庭裁判所の調停申立書・審判申立書・訴状等の裁判書類作成
裁判書類作成事務の相談

④ 簡易裁判所の「民事訴訟・民事調停」の代理
法律相談

⑤ 地方裁判所・高等裁判所の訴状等裁判書類の作成
裁判書類作成事務の相談

⑥ 相続登記申請代理
登記申請手続事務の相談

⑦ 遺産整理手続の業務執行

(目次)

(1) 遺留分・遺留分権利者

(2) 遺留分減殺請求権

(3) 遺留分減殺請求権の消滅時効

(4) 遺留分の放棄

(5) 相続回復請求権

(6) 相続法の改正による「遺留分の見直し」(令和元年7月1日施行)

遺留分

(1) 遺留分・遺留分権利者 (民法1028条)
遺留分とは、被相続人(亡くなった人)の「兄弟姉妹以外の一定の近親者」に留保された相続財産の割合(最低の相続分)であり、被相続人の生前贈与(相続発生の一年以内の贈与)又は遺言によっても奪うことのできない相続財産のことをいいます。
(遺留分の額)
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として下記の額を受けます。

① 直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1

② その他の場合は、被相続人の財産の2分の1


(2) 遺留分減殺請求権
遺留分は、請求しなければ効力を生じません。

・民法には、「遺留分は奪うことのできない権利」と規定されていますが、遺留分を侵 害する遺言等が当然に無効になるわけではありません。

・遺留分を請求するためには、遺留分を侵害する贈与や遺贈の減殺を請求しなければなりません。

・この権利を、遺留分減殺請求権といいます。


(3) 遺留分減殺請求権の消滅時効
遺留分減殺請求権は、「遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与や遺贈があったことを知った時から1年間行わないとき」、あるいは、「相続開始時から10年を経過したとき」は、時効によって消滅してしまいます。


(4) 遺留分の放棄(民法1043条)
相続開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を得たときに限り、その効力が生じます。

・共同相続人の一人がした遺留分の放棄は、他の共同相続人の遺留分に影響を及ぼしません。


(5) 相続回復請求権(民法884条)

ア 意義
共同相続人でない者(自称相続人)が、相続権を侵害している場合、自分の相続分を侵害された相続人が、その侵害を排除して相続権を回復させる権利のことをいいます。

・相続人以外の第三者の侵害に対してはもちろんのこと、共同相続人が自己の相続分を超えて他の共同相続人の相続分を侵害している場合も、その侵害を排除できます。

イ 相続回復請求ができる期間
下記の期間を過ぎると、相続回復請求権は時効により消滅します。

① 相続権を侵害された事実を知った時から5年

② 相続開始時から20年


(6) 相続法の改正による「遺留分の見直し」(令和元年7月1日施行)
民法の相続編に関し、現代社会とマッチしない点が多々あったところ、その是正の一つとして、下記のように「遺留分の見直し」がなされました。

① 遺留分を侵害された者
遺留分を侵害された者は、遺贈や贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることができます。

② 「遺贈」や「贈与」を受けた者が金銭を直ちに準備できない場合
遺留分権利者は、裁判所に対し、支払期限の猶予を求めることができます。

* 見直しによるメリット

 遺留分減殺請求権の行使により、共有関係が当然に生ずることを回避することができます。

 遺贈や贈与の目的財産を受遺者等に与えたいという遺言者の意思を尊重することができます。