11 不動産譲渡担保登記

(当事務所の取扱業務)

① 登記申請の代理、登記申請手続事務の相談

② 登記添付書類の作成、取寄せ

③ 不動産の譲渡担保契約書等各種文案書類の作成代理

④ 文案書類作成の相談

⑤ 登記に関する審査請求手続(不服申立手続)についての代理

(目次)

(1) 譲渡担保の意義

(2) 所有権担保の種類

(3) 譲渡担保の種類・分類

(4) 譲渡担保の登記

(1) 譲渡担保の意義等

 譲渡担保とは、広義では、債権(貸付金・売掛金等)を担保することを目的とした資産の譲渡いいます。

・財産を譲渡する者は、これにより資金調達を行い、財産を譲り受ける者は、債権担保 のためにこの方法を利用するのが通常です。譲渡担保は、民法に定める制度ではなく非典型担保の一つです。

イ 譲渡担保の対象物
不動産、動産、債権の他、あらゆる財産が譲渡担保の対象になります。

ウ 譲渡担保の法律効果
当事者の契約内容を基礎としつつ形成された「判例法理」により決せられます。


(2) 所有権担保の種類

ア 所有権担保の意義
譲渡担保は、財産を移転する方法による担保手段ですから、いわゆる所有権担保の一つでもあります。

イ 民法が規定する担保権(典型担保)と所有権担保の相違

(ア) 民法が規定する担保権(典型担保)の効力
担保の目的たる対象は、被担保権の「債務不履行の事後」に、かつ、「第三者」 に移転されるのが原則です。

(イ) 所有権担保の効力
「債権者」自身が、「債務不履行の事前」に、その担保の目的たる対象についての権利を取得します。

ウ 所有権担保の分類
その態様の相違により、「① 広義の譲渡担保 ② 仮登記担保 ③ 所有権留保」の三 つに分類することができます。

(ア) 広義の譲渡担保
債務不履行の事前に、その対象の権利を債権者に移転する担保です。

* ① 広義の譲渡担保は、狭義の譲渡担保と売渡担保に分類されます(その説明は、下記に記載しています。)。

② かかる分類からは、「買戻し」や「再売買の予約」も譲渡担保の一種ということになります。

(イ) 仮登記担保
事前に、その対象の権利を、移転の効力までは生じさせないものの、債務不履行があった場合の処置について、予約又は停止条件を付すことにより、所有権者から債権者への所有権移転を事前に約定する権利です。

(ウ) 所有権留保
売主が、買主に移転すべき所有権を、買主に移転することなく代金の完済まで留保するものです。


(3) 譲渡担保の種類・分類

ア 狭義の譲渡担保と売渡担保
広義の譲渡担保は、「①狭義の譲渡担保」と「②売渡担保」に分類されます。

(ア) 狭義の譲渡担保
金銭を貸し付けて、その貸金返還請求権を被担保債権とする目的で財産の譲渡契約をするものです。

(イ) 売渡担保
売買契約の法形式が用いられ、被担保債権がないものの債権担保機能を有するものです。

イ 抵当権型と質権型
譲受人が対象の占有を取得する「質権型」と、譲受人が対象の占有を取得せずに譲渡人が占有を継続して使用する「抵当権型」に分類されます。その利用の仕方 によって、「①譲渡抵当、②譲渡質、③売渡抵当、④売渡質」に分かれます。

ウ その他の分類

(ア) 譲渡担保については、「外部的にのみ移転型(弱い譲渡担保)」と、「内外部共に 移転型(強い譲渡担保)」の分類がなされていましたが、「大審院13・12・2 4判決」が、譲渡担保を設定した場合は「内外部共に移転(強い譲渡担保)」するとして以来、所有権移転構成が判例の基本となってきました。

(イ) 清算の有無に関して、「流担保型(担保権者が所有権を取得する)」と「清算型」がありますが、「最高裁昭和46年3月25日判決」が清算型とする旨の判じをしました。以来、清算型となっています。

・その清算方法については、「処分清算型」と「帰属清算型」の両方が採りいれられています。


(4) 譲渡担保の登記
「譲渡担保による登記」の概要について説明します。

ア 譲渡担保設定の登記
債務(借受金・買掛金・請負代金債務等です。)の担保 として、債務者又は物上保証人の不動産の所有権を債権者(譲渡担保権者)に移転する場合の登記事項は、下記のとおりです。

① 登記の目的 所有権移転

② 原因    平成○○年○○月○○日譲渡担保

③ 登記の当事者
登記権利者 譲渡担保権者
登記義務者 譲渡担保設定者

④ 登録免許税 課税価格×1000分の20

イ 譲渡担保の債務弁済による登記
債務を担保するため、譲渡担保による所有権移転の登記がなされた場合において、その債務が弁済されたときは、その不動産の所有権が、当然債務者又は物上保証人に復帰 するので、その所有権復帰による所有権移転登記をなすことになります。その登記事項は下記のとおりです。

① 登記の目的 所有権移転

② 原因    平成○○年○○月○○日債務弁済

③ 登記の当事者
登記権利者 譲渡担保設定者
登記義務者 譲渡担保権者

④ 登録免許税 課税価格×1000分の20

ウ 譲渡担保契約の解除による登記
債務を担保するため、譲渡担保による所有権移転の登記がなされた場合において、その譲渡担保が解除されたときは、その不動産の所有権が当然債務者又は物上保証人に復帰するので、その所有権復帰による所有権移転登記をすることになります。その登記事項は下記のとおりです。

① 登記の目的 所有権移転

② 原因    平成○○年○○月○○日解除

③ 登記の当事者
登記権利者 譲渡担保設定者
登記義務者 譲渡担保権者

④ 登録免許税 課税価格×1000分の20