大相撲雑感

令和最初の大相撲。千秋楽にはトランプ大統領が升席で観覧することとなり、異例の大フィーバー。終わってみれば「トランプ場所」とでもいうべき様相で、すっかり15日間の内容がかすんでしまい、好角家としてはちょっと寂しさも覚えました。

振り返ってみると、幕内最高優勝は平幕の朝乃山という快挙。注目の新大関貴景勝は残念ながら怪我により途中休場。先場所大関から関脇に陥落した栃ノ心は10勝を挙げ来場所は大関に復帰。陥落から一場所で大関に復帰したのは、平成17年の栃東以来史上5人目とのことですからよく頑張りました。
その栃ノ心、前半戦は体つきにも調子の良い時のハリがあり、大関復帰どころか優勝も十分に狙えるのではとの盤石の強さでしたが、10勝を目前にしての足踏み。大関復帰の重圧は相当のものだったと察します。

今場所初入幕で楽しませてくれたのは炎鵬。小兵の力士ながら、素早い動きで大きな相手を崩し勝利を収める姿は、さしずめ令和時代の舞の海といったところ。勝ち越しまであと1勝に迫った7勝目から6連敗を喫し、惜しくも勝ち越しは逃しましたが、来場所も幕内に残る番付ですので楽しみです。

さて、「トランプ場所」について。
国技館の出入り口には金属探知機が設置され、座布団投げは厳禁とされるなど、何かと警備が厳しかったようです。
女性初の横綱審議委員を務めた内館牧子氏の著書によると、座布団投げのルーツは「投げ纏頭(はな)」と呼ばれた着物投げにあるとのこと。客がひいきの力士に身に着けているものを投げ、力士本人が客にその着物や帽子を返しがてらあいさつに行くと、客からご祝儀を貰えるという習慣があったそうです。この投げ纏頭が形を変えたものが、現在の座布団投げであると言われています。
格闘技好きだというトランプ大統領であれば、伝統を踏まえつつ、国技館に座布団が舞う光景を楽しめたのではないかとも思いますが、警護のためとなれば仕方ありませんね。そもそも座布団を投げる行為自体に賛否がありますが。

「イベント」として見れば大成功の場所となった令和初場所。しかし、力士よりも外野が目立ってしまったのは、好角家としてやはり残念に思うのでした。

今朝のお供、
VAN HALEN(アメリカのバンド)の『VAN HALEN』。

                                   (佐々木 大輔)