カテゴリー「映画」の記事

お久しぶりね

20年ぶりに映画館に行きました。本当に久しぶりです。

最近、すっかり映画づいています。

遅ればせながらアマゾンプライムビデオ(定額で映画などが見放題)なるものに加入したものですから(というか、知らぬ間にアマゾンのプライム会員になっていた)、今まで観たかったもの、もう一度観てみたかったもの、あれやこれやと手当たり次第に観ております。

ますます出不精になってしまいました。

ところがパソコンの画面で映画を観ているうち、やはり大きなスクリーンで観たくなりまして、これはもう映画館へ行かねばならないと、ついに映画館再デビューとなった次第です。

出不精、あっさり解消(この程度で解消と言えるのか)。

20年ぶりの映画館。完全に浦島太郎状態です。まず、チケットの買い方からしてよくわからない。今は窓口で店員さんから買うのではないんですね。そもそも20年前がどうだったのかすらも覚えていませんが。

今回映画館で観たのは『生きる』という映画。

この『生きる』は、黒澤明監督のオリジナル版『生きる』(志村喬主演。1952年)をノーベル賞作家のカズオ・イシグロが新たに脚本を書いてリメイクしたもの。観終えて少し調べてみたところ、カズオ・イシグロはオリジナル版の大ファンであるとともに、ずっと「笠智衆主演で観てみたかった」とも思っていたそうです。

今回、カズオ・イシグロ版で主演を務めたのはビル・ナイ。

たしかにここでのビル・ナイの静かな存在感は、私の中にある笠智衆のイメージと重なるものがありました。

ストーリーもありがちな英雄譚に終わらないリアリティがあって好感が持てましたし、観終えた後にしっかりと温もりが残る良い映画でした。近いうち、黒澤監督のオリジナル版も観てみよう。

映画館と言えば、小学生の頃は、大曲の祖父母の家に遊びに行き、「大曲月岡シネマ」でドラえもんの映画を観ることが春休みの楽しみでした。

そうそう、それで思い出したのですが、私が小学生の頃って長期休みに入る前、学校が推奨する映画の載ったチラシが配られていたように記憶しているのですが、今の小学校でもそうなのかな(あと、肝油ドロップの注文票とか。これは映画と関係無いか)。

映画館でたくさん映画を観たのは大学生の頃でした。

学割がききましたし、時間だけはたっぷりあったのでオールナイトで朝まで映画をはしごしたり、楽しかったなあ。キャラメルソースのかかったポップコーンでべとべとになった手のやり場には困りましたが。皆さんはどうしているのでしょう。え、ウェットティッシュをもらえるの?

この次はそれこそポップコーンとコーラが似合うような、ド派手なアクション映画を観に行きたいな。

あ、7月に『ミッション:インポッシブル』シリーズの最新作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』が公開されるのか。よし、これに決定。

それまでにアマゾンプライムビデオでシリーズ全作のおさらいをしておかないと。

観る映画がたくさんで忙しい、忙しい。

出不精に逆戻り。


今朝のお供、

The Birthday(日本のバンド)の曲「涙がこぼれそう」。

歌声が戻ることを、僕はパンを焼きながら待ち焦がれている。

                              (司法書士 佐々木 大輔)

寅さん

ふと思うことがあります。

――寅さんが今ここにいたら何て言うかな――

昨年末から今年にかけて、毎週1本ずつ、映画『男はつらいよ』シリーズ全50作品(※)の全てを、1作目から順に観ました。

何度か観た作品もありますが、観返すその時々で感じること、考えさせられることは変わります。

まあ、寅さんと同じく妹がいる私としては、やはり“兄としての”寅さんに感情移入することが多いのですけれど。

若い頃は、寅さんの恋愛(おじさんとおばさんの恋愛なんて…)にも、満男(吉岡秀隆さん)の恋愛(世代が近いとこそばゆくって…)にもあまり感情移入できなかったものですが、年を重ねて改めて観直した今回は、満男の恋模様に惹かれました。

ただしそれは満男の恋愛そのものにというより、“若い恋愛”が象徴する過ぎ去りし日々への郷愁だったのかもしれません。

寅さんのファッションは一貫して変わりませんが、さくら(倍賞美津子さん)をはじめとするほかの登場人物のファッションは時代を映します。劇中に登場する車は、一般の乗用車でさえもデザインに味わいがありました。このような“時代”を観るのも毎回の楽しみでした。

また、俵万智さんの『サラダ記念日』がベストセラーになった年は軽やかな短歌を取り入れるなど、各作品で時代のトレンドを扱いつつも、どんなときでも変わらない寅さんの人となりにはホッとさせられました。

寅さんの温かさについては、「電気ストーブのような温かさじゃなくて、お母さんがかじかんだ手をじっと握ってくれたときのような、体の芯からあたたまるような温かさ」(46作目)という表現がまさにぴったりです。

寅さんこと渥美清さんが亡くなったのは1996年。

48作目(1995年)の寅さんは阪神・淡路大震災後の復興ボランティアとして神戸へ。

天災、戦争、コロナ禍・・・どんな時代にも人々の悲しみがあります。

そんな人々の気持ちにそっと寄り添い続けた寅さん。

48作目のラスト、「みんな苦労したんだなあ。本当に皆さんご苦労様でした」が寅さん、そして渥美清さん生涯最後のセリフでした。

寅さんも本当にお疲れさまでした。


※ 渥美清さんが生前に収録した48作品と没後に制作された2作品


今朝のお供、

AC/DC(オーストラリアのバンド)の『Power Up』。

変わらないことの偉大さ。

                              (司法書士 佐々木 大輔)

1日1本

このところすっかり映画にはまってしまい、1日1本を目安に観ています。といっても、手にする初見の映画と馴染みの映画の比率は2:8といったところで、結局、馴染みの映画を繰り返し観ているだけのような気もしますが・・・。
今回は、最近観た中から、何度観てもいいなあと思う映画を紹介します。

『スティング』。
鮮やかな逆転劇。大どんでん返し。内容に触れてしまうとせっかくの仕掛けが台無しになってしまうので、まだご覧になられていない方はぜひ見事に騙されてください。
なので、今回取り上げるのは衣装。私の大好きな『ローマの休日』でも衣装を担当したイーディス・ヘッドが担当しています。『ローマの休日』ではアン王女の可憐な雰囲気を演出していましたが、本作では伊達男のスーツファッションを堪能させてくれます。それにしても、若かりし頃のロバート・レッドフォードは、(全盛期の?)ブラッド・ピットそっくりだなあ。

『セント・オブ・ウーマン』。
盲目の偏屈な退役軍人フランク中佐を演じるアル・パチーノの迫力に圧倒される作品です。
帰省の費用を稼ぐため、苦学生チャーリーがすることとなったアルバイトは、中佐の姪一家が家族旅行に出掛けている間、中佐の身の回りの世話をするというもの。
レストランで出会った若い女性とタンゴを踊るシーンや、チャーリーの必死の説得で自殺を思いとどまるシーンなど、徹頭徹尾アル・パチーノの熱演に引き込まれますが、物語としては、最後、中佐がチャーリーを救うために一席打つという、いかにもアメリカ的な結末によって尻すぼみになってしまうのがとても残念。ただし、この演説シーンにおけるアル・パチーノもやはり凄いので、一見の価値ありです。

『ノッティングヒルの恋人』。
ジュリア・ロバーツ扮するスター女優アナ・スコットと、ヒュー・グラント扮する流行らない書店の経営者ウィリアム・タッカー。映画撮影のためロンドンの平凡な街ノッティングヒルに滞在していたアナが、偶然ウィリアムの書店を訪れたことから始まるラブストーリーです。
立場の違うふたりの恋愛という設定は、まさしく『ローマの休日』(何度も取り上げてすみません)と同じ設定です。恋に落ちるのが唐突すぎるなどツッコミどころは多々ありますが、そもそもスター女優と一般男性が恋に落ちるという夢物語ですから、細かい理屈は抜きでいきましょう。
「私だってひとりの女性。目の前の人に愛されることを願っている」というアナの告白は、何度観てもウルッときます(言われてみたいものだ)。
そして最後の記者会見。『ローマの休日』へのオマージュとして、これ以上素敵な結末は考えられません。

さて、皆さんのお気に入りの映画は何ですか。

 

今朝のお供、
桑田佳祐の『がらくた』。
がらくたという名の15の宝物。

(佐々木 大輔)